魅力は、縛りがあること。【ビブ人名鑑#2:明石友貴さん】
ビブリオバトル普及委員会で活躍されている方々を紹介する、「ビブ人名鑑」。
第二弾は、関西のビブリオバトルを支え続けている、明石友貴さんです。
人前で話すのは「今でも苦手」だと語る明石さん。
そんな明石さんは、なぜ9年間もビブリオバトルに惹きつけられ続けているのでしょうか?
明石友貴さん
奈良県生駒市在住。ビブリオバトル普及委員。ビブリオバトル普及委員会関西地区地区担当。アワヒニビブリオバトル主催。生駒ビブリオ倶楽部クラブ員。オーブリー・ヴィンセント・ビアズリーの作品をこよなく愛している。
ー 明石さんと言えば関西各地のビブリオバトルに携わっているイメージなのですが、最近はどのような関わり方をされていますか?
感染症拡大の影響で、オンラインのビブリオバトルをする機会がぐっと増えました。
主催しているアワヒニビブリオバトルや、運営に関わっている生駒ビブリオ倶楽部でも、オンライン開催をしていますね。
ー 新しい動きですよね。オンライン開催を運営してみていかがですか?
オフラインとは全然違うな、という印象です。
特に生駒ビブリオ倶楽部ではBIBLIOHEROチャンネルのやり方を参考に、ZoomでのビブリオバトルをYouTubeライブで配信したんですが、聞き手の反応を掴みづらくていつもより発表が難しいと感じるバトラーさんが多かったです。
でもコメントでのリアクションは新鮮で面白いです。
アワヒニビブリオバトルの場合はZoomだけを使ってオンライン開催していますが、そちらは聞き手の表情が見えるので話しやすく感じます。
ー 明石さんとビブリオバトルとの出会いについて教えてください。
2012年4月に、奈良県立図書情報館でビブリオバトルが行われることを、Twitterで知ったのがきっかけでした。
そこでバトラーとして参加させてもらい、『宇宙女子』という本を紹介しました。
ー いきなりバトラーだったんですか!抵抗感はなかったんですか?
どちらかと言うと、「自由にお話ししてください」という形式の読書会の方に苦手意識を持っていました。
ビブリオバトルはルールを読んだだけでも、「発表は5分間だけ」という制限があることがわかるので、逆に参加しやすく感じました。
ー なるほど!初参加の結果はどうだったんですか?
チャンプ本でした。
ー いや当然みたいに!笑
ー その後はどんな風にビブリオバトルにハマっていったんですか?
他の場所でもやっていないかネットで調べたら、天満橋ビブリオバトルという団体を見つけました。
奈良県立図書情報館のビブリオバトルと主催者が重なっていたこともあって、毎月その2つの開催に顔を出すようになったんです。
その後、生駒ビブリオ倶楽部の運営にも携わるようになり、関西を中心に多くの団体さんとも関わりを持つようになりました。
ー すでに多くの団体の運営に多かれ少なかれ関わっている中、ご自身でアワヒニビブリオバトルを主催しようと考えたのはなぜだったんでしょうか?
アワヒニビブリオバトルを立ち上げたのは2015年6月だったんですが、生駒ビブリオ倶楽部で関西大会運営を経験したり全国大会の企画を走らせたりしているタイミングでした。
大きな大会運営もそれはそれで面白かったんですが、逆に「小さなコミュニティ」をコンセプトにした運営もしたくなって、自分で主催することにしました。
ー そんなきっかけだったんですね。様々なスケールのビブリオバトルを運営されていますが、一番お好みなのはどんなスタイルですか?
やっぱり、アワヒニビブリオバトルくらい(10名程度)のサイズ感ですね。
8割は顔見知りだけど2割は知らない方もいて、コミュニティいつ入ってきても出ていってもいい、という雰囲気が気に入ってます。
ー ところで、明石さんはこれまで何回くらいビブリオバトルに参加されてるんですか?
途中から数えるのをやめちゃったんですが、2012年からこれまで400回近く参加していると思います。
ー ものすごい数ですね…!その中でも特に印象に残っているビブリオバトルはどれですか?
2015年7月に生駒ビブリオ倶楽部で行った、テーマ「カレー」のビブリオバトルですね。
ビブリオ倶楽部の図書館員さんが全日本カレー工業協同組合に掛け合ってくれたところ、なんとスポンサーになっていただけて、大量のカレーを送っていただけたんです。
チャンプ本の景品だけでなく参加賞もすべてカレーにできて、とても盛り上がりました。
カレーの本なんてあまりないかな、と思っていたところ、とても面白そうな本が沢山紹介されたので、そのギャップも楽しかったですね。
ー カレーの塔ができてる!(笑)
当時東京の方では、ビブリオバトルに有名人を呼んだり、文房具屋さんとコラボするなど、SNSで楽しそうな企画をよく目にしていたので、生駒でもこんなに盛り上がる企画ができるんだ、と思ったことをよく覚えています。
ー それにしても、400回近く参加し続けられるビブリオバトルの魅力って、どういうものなんでしょうか?
参加したきっかけもそうだったんですが、やはりルールという縛りがあることだと思います。
ー 縛りがあること?
はい。
特に発表時間が5分間という制約があることで、立場や声の大小を問わず、平等に同じ時間だけ話すことができます。
投票しないといけないので、みんな真剣に耳を傾けてくれますし。
また、5分間で言いたいことをまとめないといけないので、内容を練ってくる方も多く、聞いていても楽しいですね。
逆に「紹介された本を読まないといけない」というルールがないので気楽に参加できるということもあります。
ー これから明石さんがビブリオバトルを通してやってみたいことはなんでしょうか?
もともと各地で行われている面白そうな取り組みを参考にさせてもらうことが多くて、これからも楽しい企画には敏感でいたいと思っています。
今気になっているのは、関東で行われていた「100殺!ビブリオバトル」ですね。
100冊の本が紹介されるまでビブリオバトルを続ける、という企画だったんですが、オンライン開催が流行っているので、Zoomを使って全国を巻き込んだ企画にできるかもしれないな、と思っています。
それから、ここ一年くらいでそれまでバトラーに専念されていた方が立て続けに主催を始める、という動きがあって、そんな方々の企画に乗っかるのもとても楽しみです。
ー 最後に、明石さんにとってビブリオバトルとは?
ビブリオバトルは、日常ですね。
ー つ、強い!今日はありがとうございました。
ありがとうございました。
明石さんが主催されているアワヒニビブリオバトルのページはこちら。
生駒ビブリオ倶楽部のページはこちら。
「ビブ人名鑑」シリーズでは、ビブリオバトル普及委員会で活躍されている方々のインタビュー記事を不定期に掲載していきます。
どうぞお楽しみに!
お読みいただきありがとうございました。
インタビュー・執筆:益井博史
取材日・場所:2020年8月5日(水)Zoomにて
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