鹿児島でビブリオバトルをする男【ビブ人名鑑#6:峯苫幸多さん】
ビブリオバトル普及委員会で活躍中の方へのインタビュー企画、「ビブ人名鑑」。
今回のゲストは、鹿児島県で、次々とビブリオバトルの開催やサポートを行っている峯苫幸多さん。
東京でビブリオバトルと出会い、地元で普及活動を続ける峯苫さんに、その魅力について伺いました。
峯苫 幸多(みねとま こうた)さん
ビブリオバトル普及委員会会員。「鹿児島でビブリオバトルをする男」として、鹿児島県を中心にビブリオバトルの普及活動を行う。BIbliobattle of the Year 2019 新人賞受賞。Twitter:@biblio_kago
大人ばっかりずるいぞ
ー 峯苫さんは、最近鹿児島県を中心に、活発にビブリオバトルを開催していらっしゃいますが、ビブリオバトルと出会ったきっかけはなんだったんですか?
2010年に、勉強用の本を買いに行った紀伊国屋書店で、イベントのポスターを見て知りました。
当時は、大学通学のため東京在住だったんです。
ビブリオバトルを初めてやってみると、全員でコミュニケーションの場を作り上げてチャンプ本を選ぶ過程、バトラーにしても観戦にしても、積極的に場に関与できるのが、本当に面白いゲームでした。
そして、ビブリオバトルだけじゃなくて、その前後にゼロ次会や二次会の飲み屋さんに連れて行ってもらえて(笑)、そこでいろいろな人たちと交流するのがとても楽しかったんです。
ー ゼロ次会も(笑)!いきなり濃いですね。
そこから、東京を中心に、色々な団体のビブリオバトルに参加させてもらうようになりました。
当時、関東の社会人の方々、大人たちがやっていた企画が、どれもとても魅力的だったんです。
興味あるものと組み合わせた「妖怪ビブリオバトル」や、大人だからこそ企画出来る「アダルトビブリオバトル」、「泥酔ビブリオバトル」とか(笑)
当時も大学生大会が盛り上がっていたんですが、そこで仲良くなっても、その後学生同士が継続的にビブリオバトルをする機会がなかなか無くて。
大人だけじゃなく、若者も主体となって何かしたいと思い、大学生・新社会人メインのビブリオバトル仲間で集まって、2013年に「若手ビブリオバトル」という団体を立ち上げることにしました。
ー 「若手ビブリオバトル」っていう概念がすごいな、って当時思っていました。関東はどれだけ層が厚いんだ!?って。峯苫さんがメンバーだったんですね!
言い出しっぺ、ということで、1年くらい主催に携わっていました。
ただ仕事で地元の鹿児島に戻り、その後仕事が忙しいこともあって、なかなかビブリオバトルを主催したりすることができなかったんです。
でも、「ビブリオバトルかごしま」という団体さんが開催していただいていたおかげで、1年に1回くらいの頻度でビブリオバトルと関わりを持つことができていました。
なぜ再び開催を始めたのか?
ー そこからまた主催をされるようになるんですよね。どんな開催をされているんですか?
2019年の4月から、ほぼ毎月一回以上ビブリオバトルを開催しています。
図書館や文学館などでの、いわゆる普通のビブリオバトルや体験会に加え、防災研修センターで、災害とその対策についてのお話を伺った後に、防災に関するビブリオバトルをしたりしています。
参加者の方から企画を提案してもらって、サバイバルゲームをした後にビブリオバトルをする、なんてこともありました。
参加者で実際に戦った後に、テーマ「戦い」の本を紹介しあったり(笑)
でも一番人が集まるのは、「飲み会ビブリオバトル」ですね。
やっぱりお酒に強い、そしてお酒が好きな県民性なのかと思います(笑)
2020年に入ってからは、感染症の影響で対面のイベントが難しいと感じたので、早くからオンライン開催を始めています。
すでに「鹿児島」をテーマに開催したり、鹿児島と熊本の対抗戦、みたいなビブリオバトルも行いましたね。
ー 魅力的なイベントだらけですね!また主催を始めることにしたのは、何か理由があるんでしょうか?
ビブリオバトルを開催したいな、という気持ちはずっと持ち続けていました。
ビブリオバトルって、年齢や立場といった上下関係を問わず、フラットに5分間話ができるじゃないですか。
20歳以上年上の友達ができたり、「その本面白そう」って小学生に話しかけられたりすることって、ビブリオバトルがなければなかなかないんですよ。
本を通したコミュニケーションが楽しくて、それを続けていたいんです。
また、それをやってみたいという方々のサポートもしたいですね。
あともう一つの理由としては、付き合っていた彼女と遠距離恋愛になったタイミングだったので、時間ができたということもあります(笑)
ー なるほど!(笑)
彼女も発表に参加したり観戦したりしているんですが、彼女と読んだ本の結末について語り合ったり、彼女が意外な作家を好きなことがわかったりしたのも、ビブリオバトルのおかげだなって思いますね。
ー のろけやがって。書いてやるからな!(へぇー!素敵ですね!)
言葉と気持ち、逆になってますよ。
ビブリオバトルの先にあるもの
ー 峯苫さんにとって、一番印象深いビブリオバトルはなんでしょうか?
後に若手ビブリオバトルのメンバーになったノンシュガーくんが、初めて参加してくれたビブリオバトルですね。
彼の喋りは流暢という訳ではないですけど(笑)、めちゃめちゃ面白いんですよ!
「この本について話したい」という気持ちがある人のビブリオバトルは、「輝いていたなぁ」と印象に残ります。
あとは涙もろいので、あるお母さんがお弁当の本を紹介しながら、家族のお弁当作りに対する思いを話してくれた時はうるっとしちゃいました(笑)
また、親子で参加されたお母さんから「高校生の息子が本だけじゃなくて、自分の事を話してくれて驚きました」と感想をいただいたときも、ジーンとしちゃいました。
泥酔ビブリオバトルで多大な迷惑をおかけしたことも、悪い意味で印象深いです。
この場を借りて改めてお詫びいたします…
ー 峯苫さんのこれからの野望を教えてください。
鹿児島県で、私が主催しなくても至るところでビブリオバトルが行われている状況になることですね。
みんなもっと、うかつに主催をしてほしいんですよ(笑)
私はそこにふらっと遊びに行って、お酒飲んで笑って帰って行くおじさんになりたいんです。
ここ数ヶ月、オンラインビブリオバトルがたくさん開催されているので、みなさんどういう運営しているんだろうと気になって、色々な団体さんのゲームに参加するようにしています。
同じ公式ルールでも、団体さんごとにビブリオバトルの「空気感」は確実に違っていて、そこが面白いんですよね。
どこが「良い」「悪い」ではなくて「合う」「合わない」はどうしてもあるので、選択肢やビブリオバトルに触れる機会が増えればいいなと考えています。
あと単純にビブリオバトルの運営って楽しいので。
最近では、主催したビブリオバトルをきっかけに、「うちでも開催するので来てください」って誘っていただいたり、参加者の方が自作小説の合評会などを開催されたりと、地域でのビブリオバトルを超えた読書イベントの広がりを感じるので、嬉しく思っています。
一方、鹿児島の中高生は、おそらくビブリオバトルといえば大会、というイメージがついているのではないかな、と思います。
それ以外の様々なビブリオバトルの魅力も知ってほしいので、そういう意味では20~30代が中心の今の参加者層の幅も広げていきたい、と思っています。
ー 最後に、峯苫さんにとってビブリオバトルとはなんでしょう?
準備運動、ですね。
自分と本が仲良くなったり、人と人が仲良くなったり、次のビブリオバトルやビブリオバトル以外の新しい取り組み・人や本との出会いに向けての、きっかけなんだと思っています。
ー ありがとうございました!
ありがとうございました!
峯苫幸多さんのブログはこちら。
「ビブ人名鑑」シリーズでは、ビブリオバトル普及委員会で活躍されている方々のインタビュー記事を不定期に掲載していきます。
どうぞお楽しみに!
お読みいただきありがとうございました。
インタビュー・執筆:益井博史
取材日・場所:2020年8月13日(木)Zoomにて
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