
アートの晩餐|究極のエコ?
私が美術展に行って、心に残ったとっておきの作品をご紹介。
皆さんと一緒に自由に楽しく味わう「アートの晩餐」。
今回は、金沢21世紀美術館の「コレクション展1」で出会ったSUPERFLEX《発酵作用》です。

SUPERFLEX
1993年結成のアーティストユニット(ヤコブ・フィンガー、ビヨンスティヤン・クリスチャンセン、ラスムス・ニールセン)
コペンハーゲンを中心に世界各地でプロジェクトを展開。
グラフィック、映像、建築など、様々なメディアを駆使し、プロジェクトに多角的な視点を織り込み、コミュニティに内在する課題や関係性に、そこで生活する人々自身が気づくことのできるプラットホームの創出を得意とする。
彼らは、作品を「ツール(道具/手段)」と考え、展覧会やプロジェクトを今日的課題について人々が自ら考えることを促すための思考/試行的空間とみなしている。
この作品は
①会場に設置された除湿機で集めた水(来場者の吐く息や湿気など)を、茶葉、紅茶キノコの菌を使って発酵飲料(コンブチャ/紅茶キノコ)に生成して保管。
②その発酵飲料を使って美術館で使っているコピー用紙を染めて、館内で乾燥。
③紙は新しい持ち主の元で使用され、乾燥の過程で気化した水分は空気中に還元。
という循環を作るもの。
『アートを介在して、地域の人々とどのような関係を作るかという、21世紀美術館の実践を形にしたもの』だそうです。

私がキョロキョロしていたら、案内役の女性が丁寧に説明をしてくださいました。
その方も説明しながら、きょとんとした顔の私に途中でおかしくなったのか、
「もーなにやってんだか、笑っちゃいますよねー」と、
2人して笑ってしまいました。
こんなコミュニケーションが生まれる作品って素敵ですね。

除湿機で集めた水でお茶を抽出して紙を染める。
水の無限ループ
水は川や湖から得るものと思い込んでいる私には、そんなことを思いつきもしません。
私の吐いた息や汗(湿気)も作品に取り込まれていく。
何だか循環に貢献できた気分で楽しかったです。

アートって何の役に立つの?
そうと思われがちですが、こうした新たな気づきを私たちに与えてくれるもの。
梅雨時などに洗濯物の部屋干しをするとき、除湿機を使うことがありますが、結構な量の水が溜まります。
え?空気中にこんなに水分があるの!?と驚きつつも、植木の水やりに使う程度です。
実はこうして生み出された水って、ものすごく大切な資源なのかもしれませんね。
アーティストの発想に、楽しみながら関心しきり。
ヒラメキにつながる作品でした。
皆さんはどう感じられましたか?
また、素晴らしい作品をご一緒しましょう。
コレクション展1
会場:金沢21世紀美術館(デザインギャラリー)
会期:2024年6月22日(土)ー9月29日(日)
時間:10:00ー18:00
休館:月曜日(要確認)
https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=17&d=1823