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【横浜に恐竜出現!?】中小企業が実戦する人的資本経営と組織活性化の裏側
こんにちは。
Colorvox広報担当の室戸華です。
突然ですが、もし皆様が社長だとして、
こんな提案を受けたら、どう感じますか?
「鉄でオブジェを作って組織の一体感を強化しましょう」
これからご紹介するのは、まさにそれを実施した鉄鋼加工業を営む中小企業様での組織開発事例となります。
1年以上かけた壮大なプロジェクトの裏にある中小企業のリアルな組織の問題。この局面で皆様ならどうするか、ぜひ一緒に考える機会にしてもらいたいです。
恐竜の正体
2023年11月、横浜に姿を現した恐竜の巨像。
夜のライトに照らされ、今にも動き出しそうな迫力があります。
「一体これはなんだろう??」と、ショッピングモールから駅に向かう人たちの注目を浴びています。
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冒頭ご紹介した通り、これは鉄鋼加工企業が製作した鉄のオブジェクトです。
車一台程の大きさで、高さは台座も合わせて4メートル近くあります。
顔、手足、骨の形が細かさの躍動感と、鉄素材ならではの重量感があります。
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元々は、数百キロから数トンの巨大な鉄板でした。2022年12月からスタートして完成したのは2023年11月ごろ。何を作るかの構想から制作・完成まで1年かかる大規模プロジェクトでした。
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完成までの主な行程は、完成図と各パーツを図面に起こし、専用機械を使ってパーツの形毎に鉄板を切断。そして、職人の手で各部品を繋ぎ合わせていきます。曲面や立体を意識した加工には、熟練した技術が必要になります。
![](https://assets.st-note.com/img/1726453230-UX52NysniWwtAmGdF4RK0LpP.png?width=1200)
安全面にも備えるため、設計時から重量計算や耐震耐風などは綿密に。この恐竜のアイデアは、市販の「恐竜のおもちゃの木の模型」から着想を得たそうです。
![](https://assets.st-note.com/img/1726453044-jafDxPi7J3HO1yhFpzrVS9UX.png?width=1200)
これだけの労力をかけてまで、「なぜ、鉄でオブジェを作ろう!」と思ったのか。その背景と狙いについて、プロジェクト責任者の弊社代表の山田に話を聞きました。
なぜ恐竜を作ったのか
中小企業が向き合う深刻な問題
A社では、経営層、従業員の高齢化に伴い、人材流出が懸念されていました。
特に、鉄鋼加工業界では、人に紐づく技術、信頼はまさに資本そのもの。
人材流出は深刻な問題となります。
「何が会社成長の課題なのか。」
「今から何を始めるべきか。」
そんな問と正面から向き合うべき局面にありました。
社長の思い
高い技術をもつ技術者集団だからこそ。
技術や情報が個人に属しやすい業界。
同じ会社にいながらも、隣のチームがどんな技術を持っていて、何が得意でどんな連携ができるのかが曖昧な状態でした。
また、数年後には従業員のみならず、経営者の入れ替わりも必要になるほど高齢化が進んでおり、次期リーダーや若手の育成無くしては、
会社存続すらも危ういと感じておられました。
課題は組織成長
そのような問題意識があり、
「チーム連携による付加価値」こそがお客様の期待に応えていける方法だと考えていました。そこで「組織に一体感を持たせる」ために様々な取組みをスタートさせます。
プロジェクト発足
最初のご依頼
弊社Colorvoxへの最初のご依頼は、コロナ禍で失われた社内イベントの復活によるコミュニケーション活性化でした。
採用支援プロジェクトが大成功を納めた頃で、「組織にも変化を起こしてくれるのでは」と期待を寄せていただきました。
課題の解像度を高める
経営者との議論は重ねて施策をスピーディに進める一方で、全従業員との個別面談を実施し、組織内の問題把握を進めました。
実は社長との肝煎り施策へ批判的な意見が寄せられていたこともあり、このままトップダウンで施策を進めるべきではないと考えていました。
従業員の方々から本音を聞けるようになるまで、足繁く会社に訪問し、会話を重ねました。
社員と同じように出社して常駐もし、休憩時間には喫煙所で話す中で、組織の違和感に気づきはじめます。
従業員間のコミュニケーション不足だけではなく、従業員と経営層との考えの隔たりがあることがわかりました。
50名規模以下の中小企業において経営層は絶対的な発言権があります。トップダウンな風土もあいまり、本来の意図や想いが伝わっていない状況でした。
コミュニケーションを変える
この状況で最初に取り組んだのは、全社会議の組成と社内コミュニケーションツールの導入でした。
主に経営層から従業員に対する、会社の方針や施策導入経緯を説明する場を設けました。
コミュニケーションに双方向性をもたせるための工夫も行いました。
そして次に中小企業にマッチするビジネスチャットツールのSlackを導入しました。
会話を気軽に促進させる狙いに加えて、スタンプやコメントをするルールを作ることで、良いアイデアに対して称賛する文化作りを進めました。
組織開発プロジェクトの副反応
一方、当初依頼を受けた社内イベントは、月例で実施しており、マシュマロタワーをはじめとした複数のイベントを実施しました。
チームビルディングの基本に沿って、安心安全の場作りや、仕事からの解放のため、非日常性を重視した企画立案に注力しました。
しかし、ここで新たな課題に直面しました。
「非日常性だけでは、一過性になる」
これは、あらゆる人事研修の問題点でもある業務との非接続感が本来のチームビルディングの障害になっていると考えました。
業務に接続する組織開発施策
このような経緯から、同社の事業と業務を最大限活かした
鉄鋼加工をテーマにした完全オリジナルの組織開発プロジェクトを立案。
プロジェクト推進に経営層も巻き込みながら、現場社員にも企画のアイデアを相談し、フィードバックとコンセサスを取った上で、納得して参加してもらいました。
鉄のオブジェの制作はこの組織開発プロジェクトの一環で生まれたものになります。施策実施時はチームに分かれ、それぞれのチームが独自のオブジェを完成させていきました。
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人的資本経営の実践
人的資本経営とは
人的資本経営はまだ曖昧さを残した言葉ですが、人材を資本と捉える経営の考え方のことです。
資源:設備や備品など取り換え可能なもの
資本:情報やブランドなど代替し難いもの
実際に、人的資本経営を世に知らしめた伊藤レポートに対して次のような定義がされています。
人的資本経営とは人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことにより、中長期的な企業価値の向上につなげる経営の在り方を指す言葉
これまでの経営のあり方の違いは、
人的資源の管理をコストと見なしてきました。
終身雇用によって人材をいかに囲い込むかが重視されていました。
一方、人的資本経営においては人的資本を価値創造に向けた投資と考えています。積極的な人材戦略を志向するのが特徴です。
企業と人材の双方が共に成長していける関係を築くことを目指します。
A社の取組み
その中でも本取組みは、次の点で人的資本経営の実践であったと考えてよいのではと思います。
・人は資本だと捉え
・企業と人材の成長を目指して
・付加価値を出す組織作りと向き合った
現場の反応
普段と異なるメンバー、普段と異なるプロジェクトの進め方ということもあり「何をどのように作るか」構想段階の議論は各チームとも特に白熱。
価値観や解釈、意見の違いから、チームが真っ二つに割れてしまう事態も。
共通の目的のために、お互いを理解しつつ、話し合いを繰り返しながらプロジェクトを進めていきます。
「Bさんとは入社から18年の付き合いだが、〇〇が得意なのを再発見した」
「これウチの技術で出来ちゃうんだ!と、新たな気づきと驚きもあった」
「意見が割れてぶつかった時は大変でしたね。。ただ、何故その意見なのか深堀をしてみると””そういうことだったのか”と納得できることも。理解しようとする姿勢と会話の大事さを実感しました」
「実は仕事で試したかったアイデアがあり、この機会を活かしてチャレンジしてみました。結果は上手くいきませんでしたが、普段の業務に生かせそうな経験もできて、満足です」
紆余曲折ありながら、各チームとも無事完成まで繋げることができました。
最後に
組織開発は座学研修、会社行事、飲み会など短期的なものから、実践を通してコミュニケーションや文化に変革を起こす施策まで様々あります。
課題解決につながるものであれば、何をやってもいいはずです。しかし、企業ごとに置かれてる境遇や習慣、働く人たちに根付く考え、あるべき目指す姿は全く異なります。
組織変革とは社員一人一人の変革と同義であり、経営層、従業員それぞれに変革が必要です。成果が目に見えにくい取り組みだからこそ、外部の視点と推進力を得て初めて向き合える課題があると考えます。
一般的なコンサルであれば、客観性こそが大切ですが、深く組織を知ることで、COOやHRBPのような役割を果たせると考えます。
大企業でもまさにCOOの機能を外部に求める動きがあることから、中小企業ではさらに呼び声が高まると予想しています。
私たちColorvoxはこのA社様との経験があるからこそ、会社主語の組織開発プロジェクトだけにならぬよう、社外パートナーだが、まるで社内のCOOのような存在でありたいと考えています。
最後までご拝読ありがとうございました。
株式会社Colorvox
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