孤独と孤独が惹かれ合う|ロストイントランスレーション
人生において繰り返し何度も何度も見ている映画がいくつかある。でも、私はその映画の細部をだいたい覚えていない。
真剣に見た1回目、なんとなく見た2回目、こんなシーンあったっけ?となる3回目……そう思っちゃうのは、私が好きな映画にはイマイチ起承転結がないからだろうか。ただただ日常が過ぎていく、そんな映画が好きだ。
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ロストイントランスレーションはそんな映画、いくつかあるうちのひとつだ。
東京という街にやってきて、孤独を感じている2人が惹かれ合う。それは惹かれ合うという言葉が適切で、恋ではない。恋なのかもしれないが、2人は決して最後まで I love you .だなんて言わない。お互いにパートナーがいるからなのか、それともこの関係の終わりがあまりにも近すぎるからなのか。
その意図はわからないけど、ただただ甘い言葉を囁き合って、思いを確かめ合って、寝て……そんな映画だったらここまで何度も何度も見ないと思う。
言葉にしないし、お互いの心の内を確認しないし、最後まで関係を持たない。
それなのに2人の間には、たしかに好意がある。孤独からの逃避行ができたのは、きっと1人じゃなくて2人だから。
2人のこれからだなんて、正直知らない。あの恋は、最後にサヨウナラと別れるから美しい。
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雨の東京、東京タワーは今日も霞んでる。そんな日にはこの映画が見たくなる。
4回目にしてやっと、映画の魅力を言語化できた。
次に見るときは、どんな感想を持つのだろう。
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