【読書感想文】銀河の片隅で科学夜話
久々に面白い科学エッセイに出会いました。
天空編、原始編、数理社会編、倫理編、生命編それぞれに興味深い話が、わかりやすく読みやすい文体で書かれていて、毎日読むのが楽しみな本でした。
ただ、私は数学が激しく苦手なので、数理社会編はちょっと難しかったです。途中で思考が停止してしまった話もありました。
私が一番印象に残ったお話を紹介します。
生命編 第20夜 アリと自由
「アリには心がないんだから、絶望も悲痛もないですよ」
筆者がある大学院生から言われたことがです。それに対して「アリに心がないなんて断言できるかなぁ」と反論し、議論が始まります。
「いやもしその奴隷アリが反乱を起こしたり、アリの社会に革命があったり、なんていうのが見つかったら、私もアリに心があって、自由意志があるって認めますよ」
そう、大学院生いい、筆者はなるほど、と思います。大学院生に言い負かされてしまいどうにも釈然としない筆者は、ネットで検索すると、奴隷アリの反乱についての論文を見つけるのです。
アリに心があるのか、それは依然として不明である。しかしアリも人間と同じく自由を愛し、そのために命さえ投げ出すのである。
アリはただ、本能に従って芸術的な巣を作っているだけではない。でも、その反乱さえも本能なのかもしれない。この話を読んで混乱したけれど、アリが反乱を起こすという面白い現象をわかりやすく紹介してくれて、興味が湧きました。
このような、学校で習わないようなちょっとした科学トピックスを柔らかい文体でわかりやすく教えてくれるのがこの本です。一話がさほど長くなく、毎日少しずつ読むのに適していると思います。
何かの本と並行して読むにもいいと思います。世の中の科学書に、こういう読みやすい本が増えるといいなぁ。
【8/7-8/20 #14日間連続投稿チャレンジ 9日目】