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戦争を知らない世代が考える戦争

 今年は戦後75年の年です。それに当たりカラフルデモクラシーではzoomで小さなお話会を開催しました。僕たち戦争を知らない世代はどんな風に戦争のことを考えていったらいいのか、そんな話から始めましたが、実際これから日本の軍事はどんな風になっていくんだろう、という話まで発展しました。今回の記事ではその一端を共有したいと思います。以下、文字起こしに多少の修正を加えて書こうと思います。みんなそれぞれあだ名で失礼します。(後から加わったゆのの発言内容は適宜加えながら書きます。)

僕たちにとっての戦争

おるっくす 戦争について皆はどんなイメージを持ってる?或いは 戦争を身近に感じたこととかある ?

もやし おじいちゃんとかその世代が経験したことっていうイメージ。おじいちゃんとかから話を聞いたりすると少し身近に感じるかなー。

うちょこ おばあちゃんから空襲で逃げたって言う話を聞いたりしたことはある。

もやし でもやっぱり実際にはあんまり身近じゃないよね。あったんだなとは思うけど、実際には自分がそういう目に遭うっていうのは想像できない。北朝鮮がどうのって言ってもあんまり危機感を感じない。

おるっくす そうだね。東京も大空襲があって人が沢山なくなってっている場所だと思うんだけど、すっかりきれいになっていてあんまり身近に感じる事はないよねー。僕は沖縄にいったときに少し身近に感じたかな。戦争の跡がそのまま残っている場所が沢山あって。

ゆの 映画見たりすると身近に感じることもあるかな。イメージがそれだけになっちゃうのもそれはそれでどうかなとも思うけど。おじいちゃんの話を聞いたりしても身近に感じるかな。

今の社会に残っている戦争の影響

おるっくす 今の社会にも戦争の影響って残っていると思うんだけど、なんか思い付く ?

もやし 反日感情とか反韓感情とか  ?

うちょこ 北方領土の問題とか竹島の問題とかかなー。

おるっくす 終戦75年だけどロシアとは講和条約結んでないし、戦争の影響っていうのは今も色濃く残ってるよね。北朝鮮と韓国がいま2つの国に別れているのは、第二次世界大戦中に朝鮮半島を日本が占領していたっていうことが大きく影響してるよね。日本の社会事態も戦後ものすごく大きく転換してる。新憲法ができて天皇制が象徴天皇制になって、日本の戦後史のなかではアメリカとの関係が大きいけど、その関係も第二次世界対戦の結果生まれたものだしね。

第二次世界対戦が生んだ負の遺産

おるっくす さっきもやしが言っていた反日感情とか反韓感情についてみんなはどうしていったらいいんだろうね。

もやし どうしていったらいいか ?

おるっくす 例えば僕なんかは中国も韓国もお隣の国な訳だし、これからもずっとお互い嫌いあっていちゃ建設的じゃないよなって思うんだけど。

もやし 気持ちとしてはそう思う。でもしたくてしてる訳じゃないけど、なんかお互いそういう感情がないことはないよなっていう気がしちゃう。

うちょこ 僕はどういうところが理由で中国が嫌いになるのかとか、そういう知識がないからあんまりわかんないけど、よく知らないでも回りの空気に流されそうに思ったりするから、知らないとなーって思う。

おるっくす 反日感情とかっていうのはやっぱり第二次世界大戦中やその前の戦争で日本軍が行ったとされていること(一部に事実関係についての争いがある)に対しての怒りや悲しみっていうのが根本にあるんだと思うんだよね。例えば韓国と日本の関係は最近荒れているけれど、これはやっぱり第二次世界大戦が残した負の遺産だよね。

 日本ではそういう問題の根本にある日本の戦争での加害の歴史を知る機会が少ないな、僕は思うんだけど。

うちょこ 僕もあんまり聞かない。

もやし 慰安婦問題とかは少し見るけどね。でも、被害の歴史にも加害の歴史にもどっちにも触れる機会は少ないなって思う。自分たち日本人が被害者だとか加害者だとかそういうこと事態意識することがないかな。

おるっくす そうだね。当事者意識は持ちにくいよね。

戦争をどうやって伝えていけるんだろう

おるっくす 当事者意識を持ちにくい僕らが、次の世代に戦争を伝えていくにはどうしたらいいんだろうね。

うちょこ 自分が体験していないから、頭では二度と起こってはいけないと思っても、伝える言葉に力がでないよね。でも、少しでも伝えられるようになった方がいいと思う。

もやし 当事者じゃないから自分が知らないことを伝えたくないって思うから、伝えるためにはきちんと話を聞いておかないといけないと思う。曖昧な知識で戦争って良くないことだよっていうことを伝えるんじゃなくて、事実だけをきちんと伝えるのがいいと思う。

おるっくす うん。どこに責任があるかとか、すぐそういう話になりがちだけど、それはおいといてどう言うことが起こったのかっていうことを知っておくのは大事だよね。

もやし 戦争はいけないものです、悪ですっていう風に伝えるよりも、こういうことがあったんだっていう事実を正確に伝えられることが大事だと思う。

うちょこ 価値観によってやっぱり、ダメだっていう人と自衛のためならしょうがないっていう人と、まあ、積極的にやりたいっていう人がいるかわかんないけど、事実もどの立場の当事者かによって変わってくるっていうのもあるし、できるだけ、自分の思惑っていうのを入れずに伝えられたら、話を聞いた人が自分の中で考えていけるんじゃないかなって思う。意図のある伝え方をすると誤解も生みやすいから。何かを強要しようという意図を持って話さない方が聞く方も聞きやすいのかなって思う。

ゆの 価値観って時代によって変わるから、経験した世代がどんどん減っていっちゃうと、その人たちから聞いた話に自分の価値観を付け加えて話すことになっちゃうから、事実だけを話して、後はその時代の価値観にそって考えるっていうのが流れに逆らわずに行く方法なのかなって思うけど。

おるっくす あと僕は戦跡を訪ねるっていうのも大事だなって思う。実はまだ広島長崎はいかないとと思いながら行けてないんだけど、沖縄で集団強制死(一般には集団自決という表現を用いるが、当時の社会的背景を考え、集団強制死という表現を使う。)のあったガマの中に入れてもらったことがあって、普段人を入れていない所だったのもあって、なんか当時の空気感が色濃く残っている気がして、肌で戦争を感じた気がしたんだよね。少しだけど。

これからの時代にとっての戦争

おるっくす じゃあ、今のそれぞれの価値観ではみんなは戦争についてどう思う?

もやし 侵略戦争は良くないと思う。でも、防衛戦争はしかたないって思うかな。例えば喧嘩とかでやられたら防衛はするし。でも、先走り過ぎて相手につぶされないように先につぶすっていうのは、自分から手をだしてるし違うかなって思うけど、やられて、それから相手の基地をつぶすっていうのは、自分を守るために仕方ないと思う。自分からあえて開戦しに行くのは違うかなって思うけど。

うちょこ 武力によって解決しようとすると結局人は死ぬし、そうすると悲しむ人はいるし、国にとってプラスになるかマイナスになるかっていったら、やっぱりマイナスになるじゃん。そしたら、国際法で訴えるとか、周りの国の協力で排除してもらうとか。コスタリカとかが、そんな風な解決の仕方をしてるんじゃなかったかな。そういうやり方は新しいし面白いなって思う。だから、必ずしもやられたとしても対応が武力じゃなくてもいいのかな。防衛にしろ、お互い傷つけないで済む方法を考えられたらいいんじゃないかな。

おるっくす 今の話はたぶん実際の社会にもあり得る話で、例えば某政党の中では敵基地攻撃能力を持った方が良い、っていう議論がある。けど一方でそういう能力を持つことが戦争によらない国際問題の解決に支障をきたすっていう意見もあって、今の二人の意見はそういう議論と重なるなって思った。

もやし うちょこが言ったようにできたらいいんだろうけど、例えば周りの国の力に頼るっていうと、武力だけじゃなくて経済制裁とかもあると思うけど、何かしらの強制力のある力を使うわけで、暴力がダメっていう社会の中で、自分は力を持っていないけど、周りの人の力で圧力をかけて解決するっていうのはちょっと・・・

うちょこ 結局武力に頼っていることになっちゃうってこと?

もやし うん。戦争ってある意味直接的な殺し合いじゃん。でも、経済で、関税高くしたり貿易やめたりっていうのも、直接的に殺さなくても、貧困に陥ったりして間接的に人が苦しむ可能性があるわけじゃん。そうすると結局武力じゃなくても何かしらの力に頼ってることになっちゃうのかなって思う。

うちょこ 今も日本は核兵器とか持ってないけどアメリカの核の傘があるって言われるし、どこかで武力に頼ってることになっちゃうのかな。結局圧力が必要になっちゃうわけだから、戦争っていう事態にならないとしても、武力は必要っていうことになるかな。そういう風に考えると周りの国が武力を持ってる以上、なかなか武力によらない解決っていうのは難しいのかなって思っちゃう。

おるっくす 理想としてはさ、武力とか関係なく話し合いで解決できたらいいんだろうけど、「私たちは武力を使いません!対話による解決をやります!」っていって武力を捨てることができたらそれは凄いことだし、勇気のいることだと思うんだけど、ただ対話による解決が必ずできるっていう担保がないからね。万が一戦争という事態になってしまった場合、持っていないことで自分の周りの人が死んでしまう可能性があるから、簡単にそういう風に言うことはできないなって思う。

もやし つまり少なからず兵力は必要だっていうこと?

おるっくす 理想としてはそういいたくないんだけど・・・。(泣) 現実的にかんがえると・・・・。ただ理想として武力を減らしていこうっていうのを持ち続けているのはすごく大事だと思う。

ゆの なんかコロナでも最初は感染者がどんどん出てきて危機感が結構あったけど、今は一日当たりの感染者数とか前より大きい数字が出たりするけど、前よりは危機感ないじゃん。だから、武力でも段階的に少しづつ増えてくると危機感ないうちになれちゃうんだろうなって思う。恐怖を感じないようになっちゃうと思うな。いきなり今の状況で戦争って言われたら抵抗を感じるけど、防衛力は必要だと思う。だけど、防衛力を必要って言っていると、武力の量を増やしていくことになるから、それをどこで区切りをつけるかだよね。

おるっくす でもさ、僕らは今こうやって話しててもやっぱり戦争ってどこか遠いところの話なんだよなって思っちゃうよね。小学校高学年から中学初めぐらいの時の同級生で、兵役のある国とのダブルの子がいて、その子はその国の方にたぶん結構アイデンティティを感じてて、将来は兵役に行くって言ってたの。それで何人かで話してて正確な文脈は覚えてないけど、「じゃあ人を殺せるの?」みたいな話になって、そしたらその子が「自分の国の仲間が戦っているのに、自分がそれを黙ってみていることはできない。」って言っててね。今でも時々その話を思い出すんだけど、やっぱり僕らは戦争から遠いところで生きてるんだよなって。でも、考え続けるのは大事だよね。



というところで長くなってしまうのでこの記事は一旦まとめます。僕たちが普段どれだけ戦争から離れた場で生きているかということを確認する機会になったし、それぞれが正直に思うことを話せる環境はいいなと思いました。今の段階では僕たちにも知識が足りない部分もあるけれども、考え続けていくことの大切さを感じました。

実はこの後、もやしさんの喝によりさらに踏み込んだ議論もしたので、別の記事にまとめてみたいと思います。

そちらも是非読んでください。

             カラフルデモクラシー 松浦 薫

今回の記事に関しては実際に話したことに若干の修正を加えながら文字起こしで作成しています。事実関係にかんする誤りなどございましたら遠慮なくご指摘いただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

colorfuldemocracy e-mail colorfuldemocracy@gmail.com



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