「紙」の発明は人類に何をもたらしたのか?
こんにちは。
株式会社 Co-Lift 共同代表 木下です。
これまでの投稿とは少し趣向を変えて、本を読んだりして「なるほど!面白い!すごい!」と思ったことを、「なぜ面白いと思ったのか」という視点で構造的に整理してみようと思います。
まずは、NewsPicksの『コンテンツ黄金時代』という特集の第4弾の『メディア進化史』という記事を読んでいて、
『サピエンス全史』や、『銃・病原菌・鉄』や、『魔法の世紀』を読みながら感じた、
「紙 (可搬記録媒体) の発明」が人類に何をもたらしたのかという論点への、現時点での理解をまとめてみます。
まず、横軸に情報伝達の距離の長短を取ってみます。
縦軸に、情報の正確性を取ります。
ここで、正確性というのは、「オリジナルの情報」と「伝達された情報」がどのくらい一致しているのかということを意味しています。
「紙」のような可搬記録媒体が発明される以前の世界を考えてみます。
統治者が地方の長に指示を伝達しようとした時、人を介した口伝しか方法がないと、伝言ゲームにより、
「オリジナルの情報」と「伝達される情報」にはどうしてもズレが生まれてしまいます。
こうした情報の劣化を防ごうとすると、壁画や石版に等、持ち運びが不可能 / コストが大きい媒体に記録するしか手段になってしまい、遠くまで情報を伝達することが出来ません。
つまり、情報伝達の「距離」と「正確性」がトーレオドフの関係にあったということになります。
「紙の発明」は、情報伝達の「距離」と「正確性」のトレードオフを解消するブレークスルーを起こした
「紙の発明」は、この伝達距離と正確性のトレードオフを解消するブレークスルーだったと考えられます。
では、このブレークスルーは人類の歴史にとってどんな意味合いがあったのでしょうか?
距離が離れると情報伝達の精度が落ちるということは、指示やルールを遠くに伝達することが困難ということを意味しています。
それはつまり、支配や統治が及ぶ範囲が限定的だったということにつながります。
紙の発明よって、遠くまで正確に情報を伝達することが可能になるということによってこの制約が飛躍的に小さくなります。
つまり、特定の思想やルールに準ずる支配圏を拡大することが紙の発明以前に比べて飛躍的に容易になることを意味しました。
言い換えると、「紙の発明」は、人類の支配領域の拡大に対して、最も重要なイノベーションの一つだったと考えたのが今回の結論です。