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わたしの一球入魂タイム

夕食づくりにかける時間は45分、長くても1時間と決めている。原則として、それ以上の時間はかけない。

今日のメニューは鶏肉のクリーム煮だ。

塩と胡椒で下味をつけてから小麦粉をまぶした鶏肉を炒め、玉ねぎとしめじを投入してさらに炒める。牛乳とコンソメ顆粒を加えたら15分ほど煮込んで、できあがり。料理が苦手なわたしでもささっとつくれて、中央にくぼみのあるプレートによそえば見ばえもする一品だ。

今日の午後、スーパーマーケットで「オルニチンが豊富!」と書かれたPOPに目をとめたわたしは、気づいたらしめじをカゴに入れていた。忙しいから今夜はクリーム煮でかんたんに済ませようと思った。レンジで加熱してつくる、もやしと人参のナムルをつけておけばいいだろう。「よし、夕食はこれだ!」と決めたのだった。

それらと同時並行でお味噌汁をつくったら、夕食の完成である。

娘たちはよく食べてくれた。よかった。

料理下手な母親を持って生まれた彼女たちには申し訳ないけれど、あまり手のこんだお料理はつくれない。舌を噛みそうなほど繊細な名がつけられたものや、仕込みに一晩かかるようなものはわたしには無理だと思う。

苦手なことと格闘していると、2時間、3時間はあっという間に過ぎる。苦手ゆえに段取りがうまくいかないし、うまくいかないとよけいに躍起になる。だから、あえて夕食づくりにかける時間は1時間までとしている。

例外として、漬け込みレシピだけは活用している。午前中にカレー液に漬け込んでおいた鶏肉を焼くだけでいいタンドリーチキンは家族みんなが喜んで食べてくれるので助かる。

こう書いてみると、わたしはなんて雑にお料理と向き合っているのかと情けなくなる。本来、食事をこしらえるとは、もっと充実した営みであってほしい。

お料理を心の底から楽しめる性格であったならよかったのに、と思うこともある。

けれど、わたしにとってこれがベストな選択な気もしている。無理をすると長続きしない。ハイペースで飛ばしすぎて、育児というマラソンを走りきれないのは嫌だ。

自分のペースを貫くことで健全な状態を保てるなら、それってけっこういいんじゃないだろうか。苦手なことこそ一球入魂。時間制限を設けて集中し、そのときだけは全力を傾けてこなしていこうと思う。


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