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台湾ドラマ『おんなの幸せマニュアル2』をもう一度観た

半年ほど前に見てこのnoteに感想を書いたのだけれど、この数ヶ月自分の周りでいろんなことが起きて、家族・人間関係についていろいろ感じることがあり、なんとなくもう一度見たくなった。

前に書いたこのドラマの感想にも書いたが、一つの家族の物語というだけでなく、女性を取り囲む様々な社会的な問題も盛り込まれていて、更年期の女性を描いていたためかちょっと騒々しいなぁという感じは受けたけれど、面白かった。日台の女性が同じような問題に悩まされているのだと実感した。

主人公チェン・ジアリンのことで言えば晩婚、高齢妊娠・出産、英語でのツアーガイドという仕事のキャリアと結婚・育児の選択や女性の自立の問題などが描かれていた。彼女を取り囲む人々のことで言えば、恋人ツアイ・ヨンセンの仕事・収入の問題(結婚するならいつまでも夢を追いかけて好きな仕事で低収入というわけにはいかず、ある程度の収入を得るために好きなことを諦めざるを得ないという周りからの期待や圧力)、ジアリンのお父さんの浮気疑惑、従妹の受けたDV問題、ジアリンの弟・ジアミンの同性との恋愛(自分の正直な気持ちに向き合った結果の別れと新しい恋)。それ以外にも、弱者が受ける性被害(中学生のジアリンは塾にいくバスの中で痴漢にあった。本当に可愛そうだった。あの男、絶対許せん!)、女性の学歴の問題(ジアリンのおばあちゃんは字の読み書きができず、お母さんは確か中卒でそのことに引け目を感じているため娘のジアリンの教育にはとても熱心で、遠くの塾にまで行かせていた。ジアリンが大学を出て堪能な英語を生かしてツアーガイドができているということは、おばあさん世代に読み書きができない人がいたことを思えば女子の教育は驚くほどの進歩があったということだ。おばあちゃんが中学生の孫のジアリンに自分の名前"(陳)李月英"の書き方を習うシーンはとてもいいシーンだった)。

かつて幼い我が子を亡くし、自分の不注意だったとずっと何十年も自分を責め続けてきた祖母・ユエインのエピソードでは、若い家庭教師と対峙したときの悲しみに満ちた寛容さや最後シーンで赤ちゃんを見つめる優しさ溢れる彼女の表情がとても印象的でジーンときた。
また、ユエインおばあちゃんが友人の留守宅を借りてしばらく一人暮らしを楽しむエピソードには共感した。あの気持ちがよくわかる!家族が嫌なわけじゃない。自分のうちは家族のいるところ、その気持ちは変わらない。ずっとどこかにどこかに行ってしまいたい訳でもない。ただ、ちょっと一人になって、束の間でいいから自分を取り戻したい気持ち。誰かの為に何かをする自分ではなく、"私"として時間を過ごしたい気持ち。私の中にも、実はこの数年芽生えている気持ちなので、月英に自分を重ねて見ていた。一人暮らしのユエインおばあちゃんを訪ねてきたおじいちゃんとの静かな会話も自然で優しい雰囲気がとてもよくて、私にとってはとても印象深いエピソードだった。
このドラマのなかで、おばあちゃんのエピソードには共感するところが度々あった。"おばあちゃん"といっても、おそらくジアリンが中学生くらいの頃の月英はまだそれほど高齢ではないと思う。誰かにお世話してもらいながらのんびり暮らす隠居おばあちゃんではなく、嫁の秀琴ほどではないにしても、孫や子供(もういい歳だけど)や夫の世話で忙しい現役主婦の役割があった。まだまだ家庭内で現役選手として活躍する分、夫や子供や孫から容赦無くいろんな言葉や気持ちをぶつけられてストレスが溜まることもあり、その辺が共感できるところだったのかなぁ。
おじいちゃんとおばあちゃんのエピソードは、1でも2でもとても味わい深い。

前の感想にも書いたことだが、お国柄も違うし、コメディーなので誇張もあり、出演者が大声で怒鳴り散らす場面も多いため騒々しい感じはするのだけれど、今昔の色々なエピソードが上手く盛り込まれていて、混乱することなく過去と現在を行き来しながら物語を楽しむことができた。

台湾の役者さんたち、やはりとてもよかった。

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