『デイ・アンド・ナイト〜同じ顔を持つ二人の追撃者』(中国)
2017年の中国ドラマ。今年2023年の秋にテレビ放送されていたのを視聴した。
日本のドラマでは刑事ものは基本見ないのだけれど、中国語ドラマだと何故かわりと見る。
一家5人殺人の罪の濡れ衣をきせられ逃亡者となった弟・関宏宇(グアン・ホンユー)と、その冤罪を晴らそうとする元警察官の兄・関宏峰(グアン・ホンフォン)。瓜二つの双子のこの兄弟が物語の主人公だった。一人二役を演じたのはパン・ユエミン(潘粤明)。
このメインの冤罪事件のほかに、様々な事件が絡んでくるのだが、それらの事件の謎解きよりも、なんと言っても面白かったのはパン・ユエミンの双子の演じ分けだった。
元警官の兄ホンフォンが正義感が強く真面目で堅物なのとは対照的に、弟の関宏宇はちょっとワルい感じで調子のいいところがあり、何より女好きのするタイプ。顔はそっくりなのに、性格が全然違う。兄のホンフォンは警察を辞めたが、顧問として復職した。そして様々な事件の捜査の側、弟の冤罪をはらす証拠を手に入れようと密かに警察内部で動く。そして、過去の捜査が原因で兄は暗闇恐怖症を患っているため、夜の捜査だけ弟が兄のふりをして出動することになった。弟は殺人事件の容疑者として追われている身だし、元警察官の兄とは違って一般人。外見こそそっくりでも元の性格はかなり違うし、バレそうでバレないようでいて結構周りにだんだん気付かれていくところが面白かった。
中国の刑事物を見ていると、被害者の遺体の映像にボカシがかかっていることが少なくないが、あれは大陸でのオリジナルもそうなのだろうか。それとも日本での加工だろうか。私はこういうものは見たくない派なのでボカシで結構だけれど、大陸ではどうなのかなぁとよく疑問に思う。
それから、弟のホンユーは女好きのするタイプなので結構いろんな女性との絡みが出てくる。新米女性刑事との捜査の時のシーンなどには、「セクハラじゃない?」と思う言動もあって、この辺は今の日本のドラマだと結構厳しく排除されるところかもしれないなぁなどと思いながら見た。大陸ではその辺の世間の見方ってどうなのだろう。このドラマは2017年の作品で今から6年も前だから、職場でのセクハラ問題への関心や対処は日本も中国も今ではかなり違っているはず。今だったらいくつかのシーンの描き方はだいぶ変わるのだろうなぁ。
全体的に大人向けの(小さいお子様にはうっかりお見せしない方がいいような)作りのドラマだった。
ドラマも終盤になると一人二役の演じ分けもそろそろこのくらいでいいかなぁという気分になり、結末だけが気になって見ていたのだが、終わりは結局何も分からず仕舞いのぼんやりとしたものだった。このドラマは大陸で放送時に人気が出たらしいのだが、放送途中で続編を作ろうというような話でも出たのかもしれない。続編につなげるためだったのだろうか、ドラマの終わりは意味深な、というかはっきりしないまま含みを持たせて終わってしまった。結末を楽しみにしてみてきたのに、結局モヤモヤだけが残ってしまいとても残念だった。
一人二役は満喫したので続編を見たいという気は今はしないが、兄の本当の意図は何だったのか、それだけは気になる。