課題の難易度を調節をする【5歳の息子の学習習慣づくり手伝ってみたVol.7  】

息子君の生活に学習を取り入れ始め2ヶ月経った頃

モチベーションが下がっているような言動が多くなってきたので、その原因を探ってみた。


前回の記事はこちら


課題が難しすぎると何が起こるか

妻や息子君の話を聞くに、要は問題が難しくなって分からないということが原因だったようです。

もともと溜まりにたまったポピーをどうにかしようと始めたことだったけれど、仕掛けがうまくいって、結構なスピードで終わらせていくことができた

調子がいいときは1日で10ページ取り組んだりと、1ヶ月分の教材が1週間ほどで終わるときもあった。

おかげで3月の半ばには、たまっていたポピーを片付けるどころか、3月号まで終わらせてしまった。

そのため、3月半ば以降教材がなくなり、小学生号の案内か何かに入っていた小学生の内容の教材に取り組みだしていたようだった。

進み過ぎてしまって、大人のサポートなしには問題が解けなくなってしまっていた。

課題が難しすぎると何が問題なのか。

①前進感が得られず、習慣が崩れやすくなる
②自分はできないということを学習し、固定的知能観が強くなる
③好奇心が失われ、学習しなくなる

前進感が得られず、習慣が崩れやすくなる

まず、最初に起こるのは習慣が乱れる。

今までずっと続けていたことでも、ちょっとしたことをきっかけにやめてしまうことは多々ありますよね?


何かを継続するためには前進感が必要。

自分の中に積みあがっていっている感覚。


それがなくなると、脳の報酬系は活性化されず、ドーパミンの分泌も抑制され、いわゆる「やる気」がおきなくなってくる。


自分自身で実験してもこれは起こった。

夜仕事後に筋トレをしていて、少し慣れてきたのでメニューを変えたら、ハードすぎて途中でギブアップした。

その次の日、仕事終わりにまず感じたのは、「筋トレやりたくないなー」だった。

強い動機がない場合、困難な課題にぶつかると、習慣はあっさりとくずれさる。


自分はできないということを学習し、固定的知能観が強くなる

それでも、親がサポートして無理やりにでもやらせるという選択肢もあるが、あまりお勧めできない。

親がサポートするので、最終的には課題はこなせる。

しかし、そのときに本人に残るのは「達成感」ではない。

「自分はできない」ということを学習してしまう。


実際、息子君も小学生の課題に入ってから、一人で学習することを嫌がるようになった。

すぐに「できないー」と言うようになった。

このときに、「できないんだから、努力しないと!」という声掛けして、勉強に向かわせようとするのは止めたほうが良いと思う。

特に子どものうちは。

この言葉は子どもの固定的知能観を強化してしまう。


※「固定的知能観と拡張的知能観」についてはこちら


固定的知能観が強くなると、自分の能力が向上する・成長するとは考えていないので、工夫をしなくなる。


1を10に100にするという感覚ではなく

ー10をどうにか0にするという感覚


楽しくはないですよね?

勉強が嫌いという子の多くの感覚はこんな感じ。

辛いもの、我慢するもの。勉強は修行のようなものだ。

親御さん自身もそう思っていることが非常に多い。


好奇心が失われ、学習しなくなる

学習に必要なのは好奇心

「新しいことを知れた」「新しくできることが増えた」

この経験自体が報酬であり、ドーパミンの分泌を促進する。

その結果、「楽しい」という感覚や「もっとうまくなりたい」という向上心がうまれる。

「やったらできるかも?試してみようかな?」この好奇心が子どもを学習に向かわせる。

結果、うまくいくこともあるし、もちろん、うまくいかないこともある。

それでも、本人の中に好奇心がある限り、また挑戦しようとする。


そして、この好奇心は他の対象にも伝搬していく。

親としては子どもが好奇心を持ち続けられる環境をどう維持していくかを考えたい。


逆に、好奇心がない状態での学習(新しく何かを学ぶ)は発生しないといわれている。

人は自分の予想と違った結果が返ってきた時に、何かを学ぶ。

この予想と結果のギャップを「予測誤差」と呼ぶ。

この予測誤差をうめる行為がいわゆる「学習」なのだ。


「これでうまくいくと思ったけど、うまくいかないなぁ、なんでだろう??」

「ダメだと思ったけど、案外うまくいったぞ、何がよかったんだろう?」

など、結果の良し悪しは関係なく、予測誤差が生じればそこに学びがある。


結果の予想をしないことには、予測誤差はうまれない。

そして、好奇心がなければ、結果の予想はしないので、何かに取り組んだとしてもそこから何かを学び取る事はない。予想をしていないのだから、結果との間にギャップも生じようがない。


課題の難易度を調整する

では、どうするのか。

あまり難しく考えずに、課題の難易度を調整してあげればよい。


難しい課題でも本人が自ら向かっていっている時は、見守っておけばよい。

しかし、拒否反応を示すようになったら、少し介入したほうがよい。


難易度の調整の方法は2つ。

①課題を変える
②補助ツールを渡す

一つ目の課題を変えるは言葉のとおり、本人にちょうどよい課題に変えてしまう。

息子君も進み過ぎてしまい、課題が難しすぎてできなくなってしまったので、学校がおいつくまで、課題をかえることを検討していた。

卒園したタイミングで終わり切らなかった教材をもらって帰ってきたので、ちょうどいいからそれを終わらせようとなり、今は幼稚園でもらった教材に取り組んでいる。

幼稚園の課題といっても、最後の方の教材なので、くりあがりの足し算など、小学生で学習する内容をやっているようだ。


二つ目は補助ツールを与えることで、難易度を下げる方法。

計算の場合だと、おはじきや棒など、何か計算に使えるものを渡してあげると良い。

息子君は年中ぐらいからアプリで計算はやっていたが、ゲームが進み、引き算や繰り上がりの足し算に入ったタイミングでつまづくようになったので、コインを使って考えるように促した。

そうすることでゲームの難易度を彼に適した形に変えた。


文字の場合は、まだ試したことは無いけれど、粘土などを使って、文字の形を作ってみるなどの学習法があるらしい。

試したことがないので、実体験は書けないけれど、効果的らしい。


どちらも「具体的操作性」というものを加えた支援だ。

ピアジェの発達段階では、抽象的な概念を使って思考できるようになるのは12歳ぐらいからとされている。それまでは具体的なものを使って思考する。

頭の中だけで処理できない時は、実際にものを動かしながら考えることが効果的とされる。


どういう方法であれ、「これならできそうかも?」と本人が思える状態になるよう課題を調整することが、親が子どもにしてあげられる学習支援だと私は思う。

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