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【イタリア旅行記🇮🇹7日目:フィレンツェ①】ダヴィデ像が傑作と言われる理由を知ればアカデミア美術館は行かずにはいられない

*3週間のイタリア周遊記の7日目です。6泊するフィレンツェの2日目で昨日に引き続きフィレンツェ市内で観光します。

8:15 早朝のアカデミア美術館へ

昨日のウッフィツィ美術館と同じ作戦で、
ミケランジェロの《ダヴィデ像》で有名なアカデミア美術館も
朝一番のチケットを購入して挑みます!

ちょっと朝早いの心配だったけど、場所もホテルのちょうど裏側で近いし
時差ボケもあって6時前には目が覚めちゃうから全く問題なかった〜

ホテル横のサンマルコ修道院
今日はここにも行くんだ!

アカデミア美術館のチケット事情

イタリアは本当にどの観光地も予約が必須なくらい混んでるし、
チケット事情も複雑で、事前準備を怠ると
「イタリア来たのにどこも入れないじゃん!」という感じに陥るので、
見たいものがある場所は各所事前によく調べます。

アカデミア美術館はフィレンツェでは2、3番目に混んでるスポット。
(1番は圧倒的にウッフィツィ美術館)
オンシーズンは予約必須、11月のオフシーズンも予約をしておいたほうが安全かなって具合。
私の目的としてはここでも同じく、
空いてる状態でミケランジェロを独り占め鑑賞したいというものなので、
迷うことなく朝1番のチケットを一か月前くらいにゲットしました!

ここでひとつアカデミア美術館ならではのチケット事情があって、
実は事前予約チケットは当日券より3€ほど高くなります
なので、絶対見ないと気が済まないってわけでもなければ
予約なしで並んでもいいのかもです。

1人17€
この書類と引き換えにチケットをくれます

8:30 アカデミア美術館入館

また美術館の入口とか何も撮ってないけど、
工事してるのもあって入口どこかわからないくらい辺鄙な感じの入口で。
ついた時に数人が並んでてやっと、
「ここっぽい」ってわかったくらいわかりづらかった。

入ってすぐの部屋

朝早いから案の定結構空いてて、
気を抜いてこの最初の絵画ゾーンをじっくり楽しんでしまった。
ミケランジェロ独り占めしたかったら最初にそっちの部屋に行けばよかったなって、後になって思ったけど、
この後に向かってもそれなりに空いた状態ではあったから後悔はないです!

ちなみにアカデミア美術館は18世紀にメディチ家の後継者が美術学生のために、
メディチ家のコレクションの一部をここに集めたのが始まり。
「いいものたくさん見て勉強しろよ」って公開したスペースなので、
フィレンツェでは王道の絵画、彫刻たちが並びます。
なので、当時にならって勉強するつもりで鑑賞スタートです。

シニョーリア広場にあったジャンボローニャ《サビニの掠奪》の模型
それを中心に周りにはルネサンス期の優等生絵画が並びます
外で見たのと同じなのに
ライティングでよりドラマチック
フィリッピーノ・リッピ/ペルジーノ《キリストの降架》
リッピが亡くなったためにペルジーノのが引き継いだらしいけど
ナイス巨匠たちの合作

ミケランジェロ ゾーン

こここそ、この美術館の大人気ゾーン
ミケランジェロ作の奴隷通りの先のダヴィデ像。
ミケランジェロラヴァーとしてはこの奴隷たちも見逃せないけど、
圧倒的に人が群がってゆっくり見られなくなりそうなダヴィデ像の元に
先に駆け寄ります!

ジャーン!
感動の対面

ダヴィデ像の持つ意味

念願のダヴィデ像を前にして、最初の感想はといえば、、
「どこからどうやって観ても美しすぎる」
写真を撮れば映えてしょうがない!
(結局単純なことしか思えないよね、、)

そんなミケランジェロの傑作ですが、なぜこの像が有名で傑作と言われるのか
それにはちゃんと理由があります。

まず一つに、
ダヴィデ像はフィレンツェの象徴であり、擬人化した姿のような存在なんです。

ダヴィデの物語自体が少年ダヴィデがゴリアテという巨人を1人で倒す逸話なのですが、中世のフィレンツェといえばイタリアの中でも小国。
その小国フィレンツェが周りの大きな国に勝つんだという意味をこめて
ダヴィデに自分たちの国を重ねて見るのが伝統的な当時の習わしでした。

まだほぼ独占で観れる
想像より圧倒的に大きい

ミケランジェロのダヴィデ観

そしてその中でもなぜミケランジェロが作ったこの像が傑作だったのかといえば、
今までの伝統を覆したことは結構大きな理由になってるようで。

そのひとつが
巨人と戦う前、今にも石を投げようとする直前を表現したこと。
今までもいろいろなダヴィデ像が作られてきてたけど
(他のダヴィデ像たちは後日見に行きます!)
どれも戦いに勝った後を表してるのに、まさかの勝つ前!
敵を見据え、勇気を持って挑もうとするその決意ある姿を
フィレンツェ市民と重ねて表現したそう。

そしてもうひとつの理由は、
弱々しい美少年のダヴィデではなく、
ヘラクレスのように強い肉体を持った裸の戦士青年ダヴィデをつくったこと。
古代ギリシャ彫刻から学んだ人体表現はこのあとルネサンス以降の主流ともなる技術表現であるうえに、
武器をもつけずに立ち向かう行為は当時の政治の新しい考え方(マキャベリ論)とも一致する、
色々な意味で時代の最先端を行っていたんですね。

この右手に握るのがこれから敵に投げつけようとしてる石
血管の浮き出方で手にこもる力の感じがリアルに伝わります
本来は上の方に設置する予定だったから
パースがついてもいいプロポーションに見えるように
頭は少し大きめに作ってある
元々は他の人がすでに彫り始めて
長い間放置されていた大理石の塊だったそう
そこからこの形を彫り出すんだからすごいよね
石って一度彫ったら戻せないもんね

奴隷ゾーン

ダヴィデ像もゆっくり堪能できたので、
一歩手前の奴隷ゾーンに戻ります。
これのどれかが一体でも日本に来れば大騒ぎで人だかりになるだろうけど、
ここではみんなダヴィデ像がお目当てなので
ゆっくりみれてすごくいいよね〜

奴隷(囚われ人)とは

ミケランジェロ作品の中でも彫りかけの奴隷たちはよく知られてて。
日本の美術教育でも石膏像としてよくデッサンの授業に出てくるけど。
ここにあるのは、私も学生の頃はよく描かされたあの奴隷の片割れたちです。
(デッサンでよく描くにはルーヴル美術館にあります)

本来はユリウス2世という当時のローマ教皇のオーダーで
教皇自身のお墓のためにつくり始めたもの
教皇としては自分が征服した国の奴隷の姿をお墓に従えることによって
自分の権力の強さを象徴したかったんだろうね。
でもこの仕事もミケランジェロを羨む作家たちからの妨害が相次いで
結果完成せずにこの状態というのがアカデミア美術館に並んでいます。

《若い囚われ人》越しのミケランジェロの胸像
昔よくデッサンで描いたこの胸像は
名美術館各所にありますね
《パレストリーナのピエタ》
ミケランジェロの真作かどうかずっと議論されていた作品
弟子の手も入っているけど、現在はミケランジェロ作と認められたよう
《アトラスといわれる囚われ人》
すごい彫りかけだけど
なるほど、こーやって彫り出すのかって
よくわかるよね
《目覚める囚われ人》
この囚われ人シリーズは実質作品タイトルが無いから
そういう感じっていうイメージで名前がついてます
《髭のある囚われ人》越しに、もう一度
ダヴィデ像

ミケランジェロ自身も教皇のお墓作りには相当な気合が入ってたから、
実現できなかったことは相当ショックだったはず。
そして自信家だけどネガティブなミケランジェロらしく
「奴隷」という囚われているものに、自分自身とか人間自身がそもそもこの世界に囚われている悲しき姿も重ねていたようです。
そう思うと、この未完の像たちを見てると切なさが込み上げてきますね。

30分後にはもうこの人だかり
独占タイムは終了

想像どおり9時過ぎにはダヴィデ像周りはヒトの群れと化していたから
8時台に来てみたのは大正解〜

あとこの時間くらいに修学旅行中の日本の高校生たちもやってきて
高校時代にこんなところに連れてきてもらえるなんて
なんて羨ましんだろ〜って、
そういえば思いました。

ビザンチン絵画ゾーン

ダヴィデ像がすぎてしまえば、あとは観たいものをゆっくりみられる
混んでないゾーンが続きます。
すごい有名作品があるってわけでもないけど、
いい作品とか貴重なものが近距離で見られるから結構楽しい。

《マグダラのマリアの生涯》
作者は不明らしいけど、かわいい絵すぎて見惚れた作品
ポストカード2枚も買っちゃった
《生命の樹》
木に実ってるのはキリストの生涯
時間が無限にあるならじっくり絵解きがしたい
聖人の持ってる巻物みたいのは
この当時主流の喋ってる言葉の吹き出し
漫画と同じ手法が中世であったんだよね
《慈悲の聖母》
ずっとみたかったマントでみんなを守る聖母像!
ペストの時代に流行した図像
ローマ皇帝のコインがモデルにもなってるらしい

彫刻ゾーン

ここは細かく見てたら抜けられなくなりそうなので、
ざっくり観ます!
そんなに大きな美術館じゃないんだけど、
ミケランジェロ好きには刺激が多くてすでに疲れモード。

こんなに彫刻だらけだと
デッサンはしたくなる
同じ像の模刻も多くて
勉強してる感ある
まさに当時の美術学校って感じだね
写真だと全景をつい撮り逃してるから
動画から切り出してみました
こんな感じの部屋
もう、いろんなものがひしめき合ってる

10:00 お土産買って退館

そんなに広い美術館ではないからサクッとみられるかな〜
って思ってたけど、楽しくてつい
時間かけてみてしまった、、
お土産はフィレンツェの大きい美術館はどこもそんなに売ってるもの変わらないんだけど、好きな作品のポストカードはここでしか買えないから要チェック!

気がつけばアカデミア美術館だけで結構書いてしまった、、、
(ミケランジェロラヴァーだからここはしょうがない)
このあとはもうひとつ美術館を見て、市場でランチを食べてって続くけど、
それはまた次の投稿にします〜

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