【論文レシピ】白身魚とシャインマスカットのピンチョス
東北大学COI-NEXT3拠点の合同シンポジウム(2024/10/10)の開催に合わせて作成しました。自然・食・健康の視点からウェルビーイングと持続可能性を考えることをテーマに、未利用魚の活用に繋がる白身魚をメインに開発したレシピです。
*さっぱりとした白身魚とシャインマスカットを合わせた一品。お口の中で味わいの変化をお楽しみください。
【白身魚とシャインマスカットのピンチョス】
★材料(8個分)★
白身魚(刺身用柵) 100g
セロリ 4cm分
パプリカ(赤・黄) 各1/8個
レモン汁 大さじ1
黒胡椒 少々
オリーブオイル 少々
大根 3cm分
キュウリ 1/2本
シャインマスカット 4個
黒オリーブ(スライス) 8枚b
★作り方★
【下準備】
①白身魚の柵を流水で洗い、水分をよく拭き取り、塩(分量外)を全体にまぶす。
②表面に水分が浮き、塩がしっとりしてきたら(5分~)、流水で洗い、水分を拭き取る。
❶下準備をした白身魚を斜め薄切りにする。セロリとパプリカも薄切りにする。
❷白身魚にセロリとパプリカを重ね、レモン汁と黒胡椒、オリーブオイルでマリネする。
❸大根は厚さ5mm、3センチ角に切る。キュウリは厚さ5mmの輪切りにする。バットに並べて軽く塩(分量外)をし、水分が出てきたらしっかり水分を拭き取る。
❹大根の上にマリネした白身魚をのせ、キュウリ・セロリ・パプリカを白身魚で挟む。その上に半分に切ったシャインマスカットをのせ、ピンで刺す。
❺お皿に並べ、黒オリーブを飾り、黒胡椒をふる。
本レシピで使用した食材に紐づく論文の紹介
白身魚:ビタミンD
ビタミンDはVEGF(血管内皮細胞増殖因子)を制御する.涙液中のビタミンDとVEGF濃度を検討した際、ROP(未熟児網膜症)初期ステージでは生の相関、ROPステージが進むと負の相関がある。ビタミンD補充によるROPの重症化を制御できる可能性がある.(Ponnalagu Murugeswari. Sci Rep. 2023 Sep 27;13(1):16175. doi: 10.1038.)
ビタミンD欠乏の小児において、脈絡膜厚が薄く、脈絡膜血管が少ない、補充によって値は改善した.(Funda Kocaay. Int Ophthalmol. 2023 Oct;43(10):3767-3775. doi: 10.1007. )
糖尿病患者におけるビタミンD欠乏(血中レベル<20ng/ml)は年齢、性別、DM(糖尿病)罹病期間、HbA1c、BMI、アルブミン尿で調整したモデルにおいて、糖尿病網膜症の重症度に関連した. 後ろ向き観察研究3226人のmedical recordから検討.(Beteal Ashnne. Diabetes Res Clin Pract. 2018 May:139:308-313. Association of se+A12:F12 M.J.Taverna. Diabetologia, 05 April 2014.)
638人の来院した患者データの横断研究、ビタミンD欠乏は、糖尿病患者における網膜症網膜症と関連. (Abdulbari Bener. BioMed Research International 09 July 2018.)
網膜に発現されているビタミンD受容体の遺伝子多形が、糖尿病網膜症と関連. (M.J.Taverna. Diabetologia, 05 April 2014 Volume 45, pages 436–442, (2002).
In vivo vitro(試験管内および生体試験)において、高グルコース処理による網膜色素上皮への炎症性サイトカインの増加、酸化ストレス障害に対して、vitDは抗炎症、抗酸化作用を呈した. (Ali Mohammad Tohari. Exp Cell Res. 2020 Jul 1;392(1):112023.)
1.骨の発達・理モデリングに関与、骨折予防に有効. 2.乾癬治療に有効、光保護作用あり. 3.ビタミンDの欠乏は肥満やメタボリックシンドロームに関与、糖尿病のインスリン抵抗性に関与する. 4.In vivo vitro(試験管内および生体試験)では、がん細胞の増殖抑制効果(細胞周期の制御、アポトーシス誘導、血管新生抑制など)が認められた. 5.ビタミンD受容体は心筋細胞に発現し、心肥大抑制する.Vivo(試験管内)にて、ビタミンD受容体欠損マウスでは、レニンアンジオテンシンの上昇をきたし、高血圧に関与する. 6.抗炎症・抗酸化作用あり. (D.D. Bikle. Chem. Biol., 21 (3) (2014), pp. 319-329. Vitamin D metabolism, mechanism of action, and clinical applications.)
白身魚:オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸を摂取するひとは緑内障になりにくい.(Wang Y E et al. JAMA Ophthalmol.2018)
魚の摂取が脳腫瘍のリスク低下と関連している可能性があることを示唆している.(Lian et al. Nutrition Journal (2017) 16:1)
白身魚:亜鉛
亜鉛は不可欠な栄養素で、UKでは男女それぞれ9.5mg/7mg/日摂取が推奨され、25mg/日を超えないことを推奨。骨格筋・骨に存在し、ついで目の網膜脈絡の亜鉛濃度が高く、特に網膜色素上皮における濃度が高い.タンパク質の構造と安定性を維持する。多くの酵素の触媒因子でシグナル伝達に関与し、細胞分裂やアポトーシスに関与、また、免疫系に関与する.網膜における亜鉛の関与、亜鉛の摂取量と視機能に関する複数の論文を引用している.(Rosie Gilbert. Mol Nutr Food Res. 2019 Aug;63(15):e1801049.)
亜鉛の摂取は、免疫系機能、DNA合成と細胞分裂、酸化ストレスからのDNA・タンパク質・脂質の保護、骨の維持、認知機能維持、生殖能力と生殖、脂肪酸の代謝、酸塩基代謝、ビタミンA代謝、視力の維持に関与すると結論付けた.(The European Food Safety Authority (EFSA) Panel 2009. https://doi.org/10.2903/j.efsa.2009.1229.)
AREDS(加齢性黄斑変性の大規模研究)はじめ、AMD(加齢黄斑変性)における複数のRCT(ランダム化比較試験)デ―タ、亜鉛含有のサプリメントにおける、AMDの進行予防効果、視力改善効果の報告あり. (Susanne Csader. Nutrients. 2022 Oct 13;14(20):4273. doi: 10.3390/nu14204273.)
パプリカ:ビタミンC
VitCは水晶体中の含有量が多い。多くの観察研究において、vitCの摂取は白内障発症リスクを低減させ135-500mg/日の摂取が推奨されている. 無作為臨床試験においてはvitCサプリメントによる白内障予防効果ははっきりしない. (Karen A Weikel. Nutrition ReviewsVolume 72, Issue 1First published: 26 November 2013)
横断研究において、低BMI女性で、エネルギー、タンパク質、脂肪、炭水化物、灰、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、ビタミンA、B-カロチン、チアミン、リボフラビン、ビタミンCの摂取量が低いとPOAGと関連する. (Lee, J.Y.; Kim, J.M.; Lee.; Park, K.H. Nutrients 2020, 12, 878.)
多くの観察研究から、抗酸化ビタミン(カロテノイド、ビタミンC、E)またはミネラル(セレンと亜鉛)が豊富な食事を食べる人は、加齢性黄斑変性(AMD)発症リスクを下げるが、5つのRCTではそれぞれのサプリメントに予防効果なしという報告がある.(1) John G Lawrenson et al. Nutrients. 2019 Sep 6;11(9):2123. doi: 10.3390/nu11092123.)
AREDS(眼疾患と栄養摂取に関する研究)の大規模なRCT(ランダム化比較試験)においては、ビタミンC(500 mg)、ビタミンE(400国際単位(IU))、ベータカロチン(15 mg)、亜鉛(酸化亜鉛として80 mg)、銅(酸化銅として2 mg)を含むサプリメントを毎日長期補給すると、中等度以上のAMD患者において、後期AMDへの進行の相対リスクが5年後に28%(プラセボで観察)から20%に減少した. ただし、喫煙者においてはβカロテンの過剰摂取は肺がんのリスクでもある.(Age-Related Eye Disease Study Research Group. : AREDS report no. 8. Arch Ophthalmol. 2001;119(10):1417-1436. / Chew EY, Clemons TE, Agrón E, et al; AREDS report no. 35. Ophthalmology. 2013;120(8):1604-1611, e4. Epub 2013 Apr 10. / Tanvetyanon, T.; Bepler, G. Cancer 2008, 113, 150–157.)
パプリカ:ベータカロテン
50mg/日の隔日投与を行う無作為臨床試験においては、明らかな発症予防効果は得られなかったが、喫煙者の中では白内障の予防効果がある1)2). 多くの大規模な観察研究では白内障の予防効果が示されている.(William G Christen et al. Arch Ophthalmol. 2003 Mar;121(3):372-8. / William Christen et al. Ophthalmic Epidemiol. 2004 Dec;11(5):401-12. / Karen A Weikel. Nutrition ReviewsVolume 72, Issue 1First published: 26 November 2013 / Martyna Falkowska et al. Nutrients. 2023 Oct 28;15(21): 4585. doi: 10.3390/nu15214585.)
大規模な前むき観察研究において、βカロテンやレチノール、vitBなどの抗酸化物質の摂取が少ないと緑内障発症のリスクが上がる. (Ramdas, W.D.et al. Eur. J. Epidemiol. 2012, 27, 385–393.)
AREDS(眼疾患と栄養摂取に関する研究)の大規模なRCT(ランダム化比較試験)においては、ビタミンC(500 mg)、ビタミンE(400国際単位(IU))、ベータカロチン(15 mg)、亜鉛(酸化亜鉛として80 mg)、銅(酸化銅として2 mg)を含むサプリメントを毎日長期補給すると、中等度以上のAMD患者において、後期AMDへの進行の相対リスクが5年後に28%(プラセボで観察)から20%に減少した. ただし、喫煙者においてはβカロテンの過剰摂取は肺がんのリスクでもある.(Age-Related Eye Disease Study Research Group. : AREDS report no. 8. Arch Ophthalmol. 2001;119(10):1417-1436. / Chew EY, Clemons TE, Agrón E, et al; AREDS report no. 35. Ophthalmology. 2013;120(8):1604-1611, e4. Epub 2013 Apr 10. / Tanvetyanon, T.; Bepler, G. Cancer 2008, 113, 150–157.)
パプリカ・白身魚:ナイアシン
5371人のNHANESコホートデータから。ナイアシン摂取量が1mg増加するごとに、緑内障の確率が6%減少する.(Samuel Y Lee. J Glaucoma. 2023 Jun 1;32(6):443-450.)
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