新人時代のやらかし
社会人になって11年目を迎えた。「社会人になるまでに身に着けておくべきことは何ですか?」「仕事の中で大変だったことは何ですか?」「仕事にやりがいを感じないんです・・・」などなど、迷える若者に寄り添い、励まし、ときには叱咤する場面も増えてきた。今でこそ採用や新人教育などを任される立場となったが、振り返ると新人の頃はそれなりに色々やらかしてきた。その中のひとつを最近思い出したので、書いてみようと思う。
社会人1年目の仕事や職場については、こちらの記事でも書いているのだけれど、現場に配属された新人が最初につまずくのは、お客様の会社名を覚えること。誰もが一度は聞いたことがあるような会社もあったけれど、それはごく一部。日本企業の99.7%が中小企業と言われているように、取引先の大半は社会人になって初めて聞く企業ばかり。しかもお客様は「いつも電話をかける会社」と思っているから、そんなにゆっくり会社名を言ってくれることは稀で、はじめは電話口で会社名すらまともに聞き取れなくて苦労した。
それでもよく電話をかけてくるお客様はだんだん覚えてくるので、聞き返すことも減ってきたのだが、ある日、夜9時くらいに電話が鳴った。初めてお電話で話すお客様だった。要件を聞いて電話を終わらせる前に、念のため社名をもう一度確認させてもらった。アルファベットがいくつか並ぶ社名だったのだが、電話口の私がどうやら新人らしいと嗅ぎ取ったお客様が、気を利かせてアルファベットを説明してくれた。
「”S”はスーパーマリオブラザーズの”S”、
”B”はスーパーマリオブラザーの”B”・・・」
例え長くない?
アップルの”A”とかキャットの”C”とかならわかるけど、スーパーマリオブラザーズはちょっと長すぎないか。どこからアルファベット持ってくるか一瞬わからなかったもん。笑わせにきているとしか思えなかった。昼間ならこらえられたのに、残業の疲労が溜まっていたため、笑いのツボが浅くなっていて、一人でガキ使の「笑ってはいけないシリーズ」に参加している気分だった。(たぶんばれてる)相手の人も疲れていたのだろうか。素で言っているのだとしたら、結構面白い人なのではないか。
肩を震わせながら電話を終えて仕事を片付けたとき、不思議と先ほどまでの疲労感はどこかへ消えていた。現場にいたのは一年という短い期間だったけれど、喜怒哀楽がぎゅっと詰まった、濃い時間だった。というか、これは私のやらかしなのだろうか。
ちなみに、X(旧ツイッター)で「事務ミス選手権」と検索すると、色々な人のやらかしエピソードが見れる。へこんだとき、たまに見ては元気をもらっている。これからもよろしくね。