1年成績不振。評価されなくても、価値を求め続ける覚悟はあるか。 大企業時代2/3

大企業の研修時代、前回の投稿の続きです。
今回は、新卒配属後まったく結果が出せず悩み続ける中、一切評価はされないが、お客さんに価値がありそうな事をやり続けたお話です。

新卒の営業研修も春に終わり、夏になると地方の営業所に配属されました。
僕の働いていた企業では、営業は全部署の中でも、別会社なんじゃないかと思うほど最も過酷であり、同時に全社の売上の大半を支える花形であることで超有名でした。

そんな訳で、新卒で配属された後、かるーい営業研修というオンジョブトレーニングがあり、1ヶ月でベテランの人と変わらない営業がスタートします。

もちろん、商品知識やお客さんの情報はやりながら覚えろ、引き継ぎ資料はほとんどなし、というなかなかアレな状況でした。

さて、前回の研修編で触れましたが周りの新卒は、コミュニケーション能力も高く多少の無茶もできる人が多いので、前と同じ要領でスイスイと毎月の契約を取ってきました。

はじめは、僕も研修と同じ要領で圧倒的に商品知識を読み込んで、なんとか契約を取って成績もよかったのですが、次第に顧客数が増え、目標が上がるにつれどう考えても合理的な提案ではまず達成できない状況が訪れました。


達成できないことがわかっているのに、毎日朝起きて無駄な電話をしなければいけない、上司に数字を詰められる、どうやってできるか同じ事を考える、、、という無限ループが続くと本当にハードです。(平気な人はこんなの本当に平気だけどね)

「虚数解しかない二次方程式で、実数解を出せ」みたいな無理難題を毎月死ぬまでずーっとやり続けるのか、、、と社会人のハードさを身に染みて実感してました。(もはや今となっては良い思い出。鍛えられた。)

そんなこんなで、毎朝早くから遅くまで、ひたすらもがいて2年目の春。いつものように分析とお客さんのヒアリングを続けていた中で、商品をかなり改良できるかもしれない可能性をたまたま発見したのです。

しかも社内でその存在に気づいている人はおらず、社外の有力なお客さんもそうした改善の可能性があることも知りません。

自分の営業の数字だけを考えたら、黙って見過ごしただ電話をかける方がよっぽど価値があります。が、僕の見つけた改善点は僕しか知らず、しかもリスクも伴うため社内の商品開発に相談しても絶対に対応されることはないものでした。

迷った末にそれでもお客さんにとって価値があるならばと思いなんとか実現させてやると密かに決意を固めました。その日から営業が終わった後に夜な夜な自分で商品の作り方を勉強し、自作で改良品を作り始めました。

3ヶ月ほど土日も費やし勉強を重ね、お客さんにも試作品を使ってみてもらいながら、やっと試作品にもインパクトがあることが判明してきました。その頃には職場の先輩も面白がって協力してくれるようになり、大手のお客さんに導入してみてもらったり、反応もかなりポジティブなものになりました。

そうして2年目の夏になった頃には、相変わらず営業の数字は悪かったですが、試作品の出来はとてもよかったので、「これはいける!やっぱり改良したことの価値はある!」という確信が自分の中に芽生え始めました。

たしかに自分は大胆なリスクのある提案をしたりはできていないが、全国のお客さん全体に価値のあるものを作った!このインパクトは相当なものになるはずだ、だから多少は会社も評価をしてくれるに違いない!と思っていました。

そうして今度は全国の同僚にも声をかけ、日本中の支社を通じて全てのお客さんに改良品の配布を進めていました。その頃には「大手のお客さんはだいたい試作品を利用し始め、それを真似して他のお客さんも使い始める」、というすごい光景が広がるようになってました。

はじめは誰も共感してくれない、いいねとは言ってくれるけど商品改良を手伝ってくれるわけでもなかったし、お客さんに進めてくれることもなかった。商品開発の担当者もへー面白いねとは言ってくれるけど、自分の査定目標じゃないからやってくれない。

でも、言い訳しても仕方ないし、自分の中で価値があるという確信があったから、自分で1から勉強して作り方を覚えて、形にしてまた協力してもらえないか相談してみる、そうすると形になったものを見て今度は少しだけ協力してくれる人が出てくる。その人と一緒に試作品を試して、結果を分析して支社で発表する、、、すると支社の中でやってもいいという人が出てくる、、

「価値があっても、誰かがやってくれないから実現しないこと」って割とあるんだなとこの時あたりに思い始めました。そういうものに心当たりがある方は、ぜひ「それって本当に自分でできないの?」と一歩やってみることをオススメします。

また、そういう時に周りを巻き込むのが上手な人もいますが、本当に最初の核となる部分を作る時には、他の人は何もしてくれないことの方が圧倒的に多いです。だからと言って「周りが悪い!なんで助けてくれないんだ!」と言っても、仕方ないので、「他人に期待することをやめて、やってくれたらめちゃ嬉しい」みたいな期待値にしておくと良いです。

(そうした新しい挑戦をやり抜く時のコツはこちらの記事が参考になるかも)

さてはて、脱線しましたが、
こうして2年目の夏が終わり査定の季節がやってきます。

もちろん営業の成績は芳しくないので、半年くらいやり続けた試作品のインパクトを加味しても成績は並か、並の上くらいかな、と想像していました。しかし、待ち受けていたのはなんと「ほぼ最下位の査定」でした。。。(次回に続く)

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