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【考察】そういう世界があるなら行ってみたいと思った「sonny boy」

この記事は最初から全てネタバレなので見てから読むのをオススメします!

長文ですが気になる箇所だけ読んでも問題ないので、見出しごとに読んでいただくといいです。

ぶっちゃけ話は難解すぎてなんと説明していいかも難しいが、中学生が夏休みのある日突然異世界の島に漂流されてしまったと同時に生徒それぞれに超能力が与えられており、そこは概念や心情が擬人化したり現象として具現化された世界で、少年少女らが元の世界に戻ろうと奮闘するちょっと不思議な青春SFストーリー。

登場人物

長良(ながら):内気で冴えない性格。世界そのものを作る「観測者」という能力を持つ。この能力のせいで「この世界に飛ばしたのは長良」だと疑いの目を持たれてしまう。

希(のぞみ):中学3年の2学期にベルリンからやってきた転校生。明るく分け隔てない性格。能力は希のみが光を見ることが出来る「コンパス」。元の世界では既に死んでいるらしいが...

瑞穂(みずほ):曲がったことが嫌いな一匹狼。猫を使って通販が出来る「ニャマゾン」の能力を持つが、それは猫の持つ能力で瑞穂自身は何かしらを「静止」させる能力を持っているらしい。死を極端に恐れている。

ラジタニ:インド人。頭脳明晰の発明好きで好奇心旺盛。

朝風(あさかぜ):重力をコントロールする「スローライト」の能力を持つ。あき先生のお気に入り。希が好きで、希と仲良くしている長良が嫌い。

明星(ほし):星マークの傷がある。学校ごと漂流すると知っていて漂流された狂ったやつ。能力はイメージを具現化出来る「Hope」で、また唯一校長の声を聞き取ることが出来る。

ポニー:ポニーテールの生徒会長。能力は入れ替えることが出来る「スイッチ」。

はやと:長良の友人。超能力をまとめたノートをつけている。自身は指先が光る能力を得ている。

キャップ:野球好きで長良とは同じ野球チームだったらしい。能力は集中すれば部屋を作ることが出来る「万能部屋」。

ヴォイス:校長であり神の正体。

あき先生:突如海から現れた白衣を着た巨乳女教師。漂流した生徒を狂わせる。主に朝風を洗脳する。

やまびこ:野良犬。元々人間だったがいつの間にか野良犬になってしまった。5000年生きている。

こだま:白髪ショートでそばかすのある美女。やまびこが人間時代「祝祭の森」で出会ったリーダー的存在。

骨折:骨折した少女。人の心が読める「モノローグ」の能力を持つ。朝風が好き。

1話ごとのテーマの考察

主に2〜10話についてだが、1話ずつ何がテーマとして掲げられているのか考察。

【1話:夏の果ての島】
学校が闇に包まれて漂流。
【2話:エイリアンズ】
漂流させられた島でもらったものなど対価の払わない物から青の炎が出たり、お金が降ってくる奇妙な事件が勃発。不正で生徒会長に当選したポニーを気に食わない瑞穂がネットに誹謗中傷していた。
ネット炎上を示唆?
【3話:下駄を履いた猫】
影の薄い生徒が真っ黒になったフリーズ状態で発見される事件が多発。実態は生活が嫌になった生徒たちだった。
引きこもり
【4話:偉大なるモンキー・ベースボール】
黒の湖のある世界に飛び、長良にランダムで世界をワープしたり作る能力があることが発覚。キャップからモンキーズリーグの伝説を聞く。エースと野球対決。キャップは才能の無さから野球を辞めようとしていたことを告白。

常に正しい評価がされる世界を望む
欲しかった才能が無かった=虚無だと仮定
③黒の湖は真っ黒の穴。”心に穴がポッカリ空いた”を具現化=長良の心の中?
【5話:跳ぶ教室】
あき先生登場。コンピューターのネズミを解放し結び付きが解ける「マウス」をゲット。漂流の犯人が長良だと陽キャグループの標的にされてしまう。あき先生が朝風を救世主として洗脳。

結びつきを解く能力遺物(マウス)を手にしたと同時に、突如現れたあき先生の言動に生徒は振り回され混乱=世の中の矛盾を表現?
【6話:長いさよなら】
映画の世界に行き「ディレクターズカット作戦」を決行し元の世界に戻ろうとするも失敗。希が自身の死を確認。やまびこ登場。

①異世界では「死」と言う概念がない
②神がサイコロを振る世界(アインシュタインの名言では”振らない”が一般的)
③”選ばれなかった側の人間”なのに超能力を与えられる(通常なら超能力を持つ方が選ばれた側の人間になる)
=通常世界の”普通の概念”とはあべこべの世界
【7話:ロード・ブック】
ラジダニが観察していたアリを外に逃しに行ったところ、長良が塔の建設現場に迷い込み”働きアリ”としてしばらく労働することに。そこで出会ったコウモリは世界を「逆さまに」する超能力を持つ。ラジタニが冒険に出る。

世界をひっくり返したいと言う願望?
【8話:笑い犬】
希が長良らと別行動に。やまびこの人間時代の昔話を聞く。やまびこには心を具現化する能力を持っていた。

自分が変わらないと世界が変わらない
②自分の世界に閉じこもっていると戦争が起こっていたことすら知らない世間知らずになること
9話:この鮭茶漬け、鮭忘れてるにゃ】
髪の毛1本の多さで長年争う「ソウとセイジ」と言う双子の兄弟に会うがもとは「荘誠司」と言う1人の人間。世界を巻き戻しリセットする「リバース」の能力を持つ。ソウがセイジを射殺、また喪失感を覚えたソウも直後自決し荘誠司はソーセージとなる。瑞穂の猫のコピー能力についてラジダニが解明。

①世界をひっくり返したいどころかリセットしたい
目的を見失った瞬間自決した荘誠司。生きる意味を見失い自殺者が増え続ける現代人を現している?
【10話:夏と修羅】
「戦争」を止めるべく骨折、朝風、希、あき先生と共に行動。三角関係がヒートアップ。希が死亡。

①「ベルリンの壁」を示唆?
②「修羅」は仏教では戦争や好戦の意味。また三角(四角)関係から修羅場の意味も含むと推察。
【11話:少年と海】
希の葬式を行う。希の死を知ったラジダニが2000年の冒険を経てオウムと共に帰還。元の世界に戻る準備を進める。
【12話:二年間の休暇】
長良、瑞穂が元の世界に戻ることに成功。元に戻った世界は—

転生と能力遺物

ここからは掘り下げたいことを書いていく。

この異世界では”死”と言う概念が存在せず、その世界を攻略したり誰かが死ぬと”物”に転生する。これをこの世界では「能力遺物」と呼んでいる。またやまびこのように人間以外の姿に変わることが可能。

・やまびこ→野良犬
・ラジタニ→森
・希→コンパス(方位磁石)

【やまびこ】

自分をよくしてくれたこだまの僕でありたかったことと、自らを居場所のないホームレスと言っていたため忠実な犬で特定の宿のない野良犬になったのだと思う。

【ラジダニ】

ラジダニが森になったのは吹いたが、好奇心旺盛なラジダニは人間に飽きて森に転生したのかと。あともう一つ、鎌倉には人々を守るために龍が森になったと言う伝説があるので、案外日本発の伝説から来ている可能性があるのでラジダニ自身が伝説になりたかったのかも...?

【希】

長良と瑞穂がコンパス(希)と共に元の世界へ戻る。2人が何故コンパスになり話すことが出来ない希を元の世界に連れて行こうと思ったのか、以前希は長良に「もし元の世界に戻るとしたら」と話をしており、またラジダニはU字磁石で「彼女の意志は生きている」と確認。「自分が生きていようが死んでいようが元の世界に行きたい」と言っていた希の願いを叶えるべく、長良と瑞穂は迷わず連れていった。

希の死

【元の世界の希】

現実世界では病死ではないかと推測。ストーリー内では何も明かされていないので転がるヒントを元に察するしかない。

・卒業式の時点で希は死亡
・死因は病院の先生のエピソードと花瓶のシーンから察するに病死が有力
・死亡時期については、コピーの希が卒業式の時点で亡くなっていたことを自覚したので漂流した8月〜翌年2月頃のどこかで命を引き取ることになる
・もしくは転校した時点で既に死亡していた?
・ベルリンから転校してきたのは日本で病気の治療を受けるため?(通常なら余程の事情がない限り受験の年に転校はしないはず)

【異世界での希】

異世界では朝風・骨折・あき先生らと「戦争」を追っていたところ、崖から転落死。

もし仮に事故で崖が崩れたとしたら、朝風の重力コントロールで希を助けることが出来た。だから朝風がわざと崖を崩れさせたとしても、自然と崖が崩れた事故だったとしても、どっちみち朝風が希を殺害/見殺しにしたのだ。

①プライドの高い朝風はフラれた理由が図星で苛立った
②希と長良が仲良くしていることが気に食わず、矛先を長良ではなく希自身に向けた(その後希の死は長良のせいにしているが)

朝風は既に希が既に死んでいたことを知っており「どうせ希が死んでも変わらない思っていた」ことも考えられるが、片思いの相手にそんなことは出来るとは思えない。

朝風が片想いの相手である希を見殺しにしたのは、ガンダムシリーズ「逆襲のシャア」でハサウェイが恋するクェスを自らの手で殺してしまったことと同じだと考えている。

猫を失った瑞穂、報われなかった長良

2年の異世界生活を経て、最終的に元の世界に戻る決意をしたのは長良と瑞穂のみ。ラジダニの力により無事2人(3人)は元の世界に戻ることが出来た。

【瑞穂】

元の世界に戻ったが、瑞穂の猫らは長寿を全うして亡くなってしまった。

瑞穂が覚悟を決めてあの異世界に猫を置いてきたのは、向こうの世界では”死”が存在しないので、猫たちはずっと生きることが出来る。

瑞穂も猫も別れは寂しかったはずだったが、おばあちゃんの死を経験した瑞穂は愛する猫を死なせたくない。そんな愛猫家が誰でも思う猫たちの幸せを思って死ぬことのないあの世界に猫たちを残し、自分は元の世界に戻る覚悟をしたのではないか。元の世界でとら、げん、さくらが生きていることを期待して。

瑞穂が深夜の学校に忍び込んで不可解な行動を起こしている。描写は無いが彼女の過去を考えるに①元に戻った世界で自らが死ぬことが怖い②異世界に戻って猫たちに会いたいと、元の世界に来たことを後悔しているように見える。

瑞穂にとっては望んでいない世界だった。

【長良】

一方でこの世界では死んだはずの希が生きている。つまり長良が願い、希が見た未来に戻ることが出来た。だがしかし、長良が駅で見かけた希には恋人がいた。

ストーリー冒頭で「私たちが漂流した日も鳥を見殺しにした」と長良の行動に激怒する希。そんな漂流前の長良が駅で鳥の巣を気に掛ける。今まで何事にも無頓着だった長良が鳥に気にかけるようになった彼の成長と同時に、希と話すきっかけとして駅の鳥の巣をわざわざ踏み台を使って登ってまで心配したのだと思う。

もしこの世界が長良が作った世界だとしたら、希と再会し恋人同士となってハッピーエンドにするはずだ。だがここは希が見た未来だから、長良がコントロールすることが出来ない。

元の世界に戻って彼女と恋仲になれなくとも、彼は彼女が生きている事実に安堵しているように見えた。

長良のファムファタールは希ではなかった。だが物語の最後にどこか人生を諦めていた長良が「人生はまだこれから、先はもう少しだけ長い」と言う。

彼女が生涯を共にする運命の相手でなくとも、今までどこか冷めていた長良が前を向き、自らの意志で元の世界に戻る言う選択肢をしたのも希のおかげであり、希が運命を変えたと言っても過言では無い。

①ベルリンの壁

希はベルリンからやってきた転校生。日本語はペラペラで生い立ちや家庭事情など不明。現実世界では既に死んでおり、異世界では自分が死んだのか分かっていないまま漂流されたようだった。

ベルリンと言えば「ベルリンの壁」だ。

戦争で敗戦したドイツが大きく東西に分裂。資本主義の西ドイツは次第に裕福となり、対して東ドイツの経済は悪化。そのため東ドイツの人々は自由で裕福な暮らしを求めて西ドイツに逃亡するものが絶えず、亡命を防ぐために作られた壁が次第に頑丈になった。それが冷戦の象徴「ベルリンの壁」である。

東から西ドイツに脱国しようと試みたものが6万人以上もいたが、警備員に始末されたり壁から転落したり、成功したのは5000人だと言われている。また脱出未遂を含めたものは最も重い罰で終身刑を言い渡されるなど厳しく処罰されたそうだ。

【人生をかけた覚悟】

ラジダニは「元の世界には簡単に戻ることが出来る。だけどそれには覚悟と犠牲が必要だ」と忠告。

仮に元の世界=裕福な西ドイツ、異世界=貧しい東ドイツだとしよう。

この飛ばされた異世界に大事なものを捨て、また元の世界に戻ったとして必ずしも望んだ世界だと限らない長良や瑞穂らの”覚悟と犠牲”が重なる。

【戦争について】

10話で希、朝風、骨折、あき先生らが「戦争」を探し崖で発見。その姿は風に吹かれたままの空っぽの男性であり、やまびこの話に出てきた廃れたスナフキンのような容姿とは異なっていた。と呼んでいる。

おそらく「戦争」は戦争という概念を擬人化したものであり、陸や海上戦争などの戦法、領土の奪い合いや力比べ、宗教問題など戦争が勃発する理由も規模も大小様々なので、それに伴い「戦争」の容姿も変わるのだろう。

骨折は「駅でたくさんの人の声を聞いたけど、誰も『戦争』については知らなかった」と言う。このセリフは平和ボケを示しているのかもしれない(平和ボケが当たり前の世界であって欲しいが)。

・朝風、骨折、希、あき先生らが「戦争」を見つけ朝風が「戦争」を退治=終戦
・希がベルリンからの転校生
・ベルリンといえばベルリンの壁
・ベルリンの壁は冷戦の象徴。朝風、骨折、希の関係を冷戦として表現している?
・ベルリンの壁を破壊しようとしたのは市民が自由を求めるため=元の世界に戻って生活するのが”自由”?

総じて「ベルリンの壁」が連想される出来事だ。

②「宮沢賢治」の世界

「sonny boy」には宮沢賢治の世界が散りばめられていると思う。

【春と修羅】

8話で明かされたやまびこの話(能力)と、10話のタイトルである「夏と修羅」から読み解けことがある。

宮沢賢治作「春と修羅」。賢治本人は「春と修羅」を詩集ではなく「心象スケッチ」と呼んでいる。

賢治の言う「心象スケッチ」とは、ただ単に一人の人間の心のうちを描くという意味ではないようです。心象とは、宇宙や無限の時間につながるものであり、人間の心象を描くということは、個人的なものを超えて普遍的なものをスケッチすることだと賢治は考えていました。

宮沢賢治は自身を”現象”だと定義し、本質は他にあると考えていることだそうだ。心の内側を言葉にすることで宇宙に繋がると言う壮大な話らしいが、「春と修羅」の解説自体が今でも文学者の間で解釈が行われているほど難解でぶっちゃけ私も理解は出来ない。

そんな超級の頭がいい人でも定義が分からないので、心の内側を形にすることを宮沢賢治の用語を借りて「心象スケッチ」と仮定することにする。

宮沢賢治は”言葉”で心の内側を具現化。

長良とやまびこは心の内側を具現化し世界そのものを創る能力を持ち、明星はイメージを具現化する能力を持つ。また「戦争」が持ち込んだ”キズアート”も心の傷を具現化したものである。

一方で希は「戦争」を探索中にポストカードに底無しの深淵を”スケッチ”しているシーンがある。

そのことからこのアニメそのものが宮沢賢治が提示した「心象スケッチ」をモチーフにしているのでは?と考えられる。

他にも宮沢賢治の作品に関連しそうなシーンがいくつかある。

【注文の多い料理店】

男2人が森で2匹の犬を連れて狩をしており、お腹を空かせた2人は山中に出現したレストランに入店。そこは猫がオーナーで来た客を調理する人食いレストランだった。男らは入店前に死んだはずの連れの犬2匹が現れたことで九死に一生を得るが、紙屑のような泣き顔は元に戻ることはなかった。

紳士の泣いた顔は元に戻らなかったと言う点。瑞穂の能力は「ニャマゾン」かと思っていたらそれは猫たち自身の能力で、瑞穂自身は「静止(死なせない)」が本当の能力らしい。

骨折の骨折は一向に治らない。「時の静止」がリンク。

【まなづるとダァリヤ】

自分のことを綺麗だと思っている1本の赤いダリア、そんな女王気質の赤ダリアをヨイショする2本の黄色ダリア、少し離れた場所に咲く赤ダリアをよく思わないつつましい白ダリアの話。

①祝祭の森で「戦争」の仕業による赤い結晶が身体に出現する疫病が流行。やまびこは赤い腫瘍だらけで決して従来の美しさでは無いこだまに「綺麗だ」と嘘を言い、一方でこだまは「醜い」と戦争に事実を言われる。本当のことを言って欲しかったこだまは「戦争」の言葉に歓喜する。

こだまはお世辞ではなく醜いとただ真実を言って欲しかったことを望んだ=老化なのか黒いぶちが出来てしまった人間につまれる前の赤ダリアと心情が近い。
②自己顕示欲の強く女王になろうと思っていた赤ダリア→朝風、赤ダリアの機嫌を取る黄ダリア→骨折、マイペースな白ダリア→希だとすると、それぞれの性格が当て嵌まる。

【銀河鉄道の夜】

仕事を終え病弱な母のために牛乳とパンを買いに行った主人公のジョバンニが突然汽車に乗って宇宙に行ってしまい、その汽車には友人のカムパネルラも同乗していた。様々な乗客とも会話し2人は「本当の幸せを得る」ことを誓う。ジョバンニは気がつくと元にいた丘にいて、川の橋の人だかりに行くと溺れたジョバンニをからかっていたザネルを助けたせいであのカムパネルラが行方不明になっていると大騒ぎ。一方で出稼ぎに家を出ていたジョバンニの父が帰ってくると聞き急いで家に帰った、と言う話。

突然宇宙(異世界)に行ってしまう
②元の世界に戻るとハッピーエンドとバッドエンドが同時に起こっていた(希が生きている世界はハッピー、でも恋人がいたので思春期の青年にとってはバッド)
③仮に「銀河鉄道」同様、この異世界でも「他者貢献=本当の幸い」と定義する。希のために元の世界に戻る決意をした長良が願った通り希が生きている世界に行くことが出来、一方で「やりたいことがある」と決意した元の戻った瑞穂の愛猫は死んでしまっていた。

【やまなし】

2匹の兄弟蟹が主人公の「クラムボン」が出てくる名作。一瞬だが2匹の蟹が映る描写がある。

度々本文に出てくる「クラムボンは笑ったよ」も、今まであまり笑わなかった長良と重なるような気もする。

【よだかの星】

容姿の醜い鳥である「よだか」が居場所を失い、命を奪って生きる自分に嫌気がさして星に転生する話。「sonny boy」においての転生は「能力遺物」だ。

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これまでの考察は全て自分の考え。書いていて無理矢理だなと思う部分も多いが、どこまでが製作者の狙いで、どこまでが偶然かは分からない。

そういう世界があるなら行ってみたいと思った

このストーリーが何をテーマに、何を伝えたかったのか言うと「どうせ世界は変わらない。なら自分が変われば世界が変わる、かもしれない」。

不思議で難解なストーリーを紐解いても、核となるメッセージはシンプルにたったこれだけなのかもしない。

ラストの見出しは主題歌である銀杏BOYZの「少年少女」ではなく、MONOEYESの「グラニート」のワンフレーズだ。フェスでこの曲が演奏された時、みんな笑顔で、あたたかくて、ピースフルで、ハッピーで、パッと新たな世界が開けたような気がして、以来大好きな曲だ。

学校という狭い水槽のまま開放的な島であるパラレルワールドにワープした少年少女たち。

漂流した先が電波の届かない自然豊かな島で、超能力が使えて、動物と喋れて、ときどき神秘的な世界にワープ出来て、「元の世界に戻る」という目標に向けて仲間と試行錯誤する。

そういう世界があるなら、行ってみたいと思った。



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