店と利用者の「マッチング」は珈琲をさらに面白くする【MEMO】
珈琲に関するニュース/情報をインプットし、
噛み砕いてアウトプットするマガジン。
「COFFEE_MEMO_365」のマガジン記事です。
2020.7.15
【今回の引用記事】
【概要】
ティガリアルエステート株式会社が、
部屋探しのマッチングプラットフォーム「マテバ」のβ版を先月末にリリースしたと発表。
同プラットフォームにより、新たなスタイルの「逆住まい探し」を提案していく。
マンションなどの賃貸契約においては借り手が物件を探す形が一般的だが、今回の「マテバ」では物件のオーナーが入居者を探す「逆住まい探し」というユニークなコンセプトを採用。
借り手であるユーザーは、まず無料のユーザー登録を行い、希望条件を登録する。
その内容に興味を持ったオーナーからスカウトが入り、チャットでのやり取りが可能になる。
チャットを通じて無事にマッチングが成立すれば、契約を結ぶことができるという仕組み。
空室はオーナーにとって悩みの種だ。
この課題を解決する手段の1つとして、オーナー自ら入居者を探せる「マテバ」が登場した。
空室期間の短縮や広告宣伝費の削減など、同プラットフォームがオーナーにもたらす恩恵は多い。
【MEMO】
僕らがマンションやアパートの部屋を借りようと思ったとき、
よっぽどピンポイントで気に入った物件があったり、大家さん自体と顔馴染みでない限りは、直接大家さんのところへは行かないですね。
基本的にはまず不動産屋へ行きます。
普段みんなが当たり前のようにしているこの流れにも、デメリットは存在します。
まずは金額面。
借りる人の貸す人の間に仲介者が入ることで、当然その分のコストはかかります。
仲介手数料や礼金などが当たります。
次にマッチング面。
借りる人も貸す人も人間です。一定期間そこに住む/住まわせる以上、そこには人となりや相性みたいなものも大切ですが、多くの場合は契約が済むまでお互いのことはわかりません。
当然、仲介者が入ることで内覧や手続きなどの事務的なことや、管理業務の手間を省くことが可能ですが、全てがメリットというわけでもありません。
では、
例えば大家さんに、借りる人と直接マッチング出来るという選択肢があれば?
大家さん自身が借りる人とやり取りや手続きを進めたり、プロモーションを行う必要は生じますが、
その分、例えば好きな趣味・趣向が合う入居者を限定で集めたりして、立地や家賃だけではない付加価値を付けることだって可能です。
今回のサービスは、
新たな手間やリスクなども孕む実験的な部分もありますが、既存の仕組みに一石を投じるサービスであり、面白いと思います。
こういった、
仲介者を省いて当事者同士が直接マッチングしてやり取りを行うシステムは、
他の分野でも見かけるようになりましたね。
例えば、
人材系だと「キャリオク」とか「Wantedly」とか
物販系だと「メルカリ」とか「ジモティー」とか
こういったマッチング系は、
対象となるものがより細かな条件で分けられるほどニーズが生まれますね。
不動産なら、立地・家賃・間取り・設備・etc.,
人材なら、経歴・スキル・希望年収・職種・etc...
物販なら、品目・値段・状態・etc...
あとは中古車・中古バイクなんかも相性が良さそうです。ニッチなカスタムなんかは、マッチング次第ではより価値も付きそうです。
では珈琲は、、、??
生産国・品種・精製・焙煎・抽出・価格・etc...
あ、なんかイケそう!笑
なのでここからは、
珈琲店にマッチングの機能を取り入れると何が出来るか?
を考えながら話を進めます。
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①店単位ではなく商品単位での横展開
例えば、
同じホンジュラス産の珈琲を販売していても、店によって農園や精製、また焙煎アプローチなどで仕上がりが変わるのが珈琲の特徴です。
喫茶であっても、やはりペーパードリップかネルドリップか、はたまたプレスなのかによってもやはり感じ方は変わります。
自分の生活圏内で、複数の珈琲店を利用するという買い手は、もしかしたらあまりいないかもしれません。
どちらが良いという話ではないですが、普段通っている店と違う店では、同じようなラインナップでも「商品」になると違いがあり、それが珈琲の面白さでもあります。
「こんな感じの珈琲が飲みたいな」と、好みの条件を入力すると、商品情報単位で店がズラッと検索される。
普段利用しなかった店に、好みの珈琲が置いてあることを知って、利用するきっかけになる。
選択肢が増えることで、買い手の楽しみや珈琲店のリーチは広がるような気がします。
②顧客ニーズの掴み取り
世の中の珈琲店で、自店の商品の味の方向性(生豆選定や焙煎、抽出アプローチなど)を決める際に、お客さんのニーズを反映させている店って多いんでしょうか。
僕は少ないんじゃないかなと思っていて、
それはなぜかというと、
そもそも味決めは自店のこだわりだから。
そしてもう1つ、
精度の高いニーズは分からないから。
例えば不動産であれば、
一般的には駅や都心部に近く、広くて新しいほど価値は高くなります。
つまり、人気の理由が明確です。
しかし珈琲になるとちょっと違ってきますね。
浅煎りの酸味か、深煎りのコクか。
ウォッシュドのスッキリ感か、ナチュラルの個性か。
人に好みがある以上、何が人気なのか明確かといえばそうではありません。
かといって、アンケートなどで調査するのもなかなか難しいです。
その点、マッチング条件=ニーズそのものです。
単純に、マッチング条件として多いものはニーズが高い。
各珈琲店ごとのこだわりはとても面白いですし、珈琲の魅力でもあります。
ニーズに合わせ過ぎることでその個性が出しづらくなることを歓迎するわけではないですが、
一方、ある程度のニーズが把握出来ることで、市場と乖離し過ぎた商品づくりが防げるのではないかと思います。
③ニッチ顧客を集める
上記では顧客ニーズのボリュームゾーンを拾いやすくなるという内容ですが、こちらは逆にニッチゾーンを拾う上での利点になります。
どの業界にも、ニッチを好む層は一定数存在します。
しかしその層にリーチすることは、同時にその他のボリュームゾーンを度外視することでもあり、踏み切るのはなかなか難しいことです。
とはいえ、その道にハマってる人ほど、ありふれたものよりもそういったニッチな領域が魅力的に感じるし、刺さることが多いです。
例えば、
「ウチの看板ブレンドをJBrC全ファイナリストのレシピで再現したらどれが合うのか決めるテイスティングイベント」
みたいなコアな企画が開催されようものなら、僕としては是非とも参加してみたいです。笑
世の中には、これ面白そうだけど、
・広く受け入れられなさそう
・参加者集まらなそう/集めにくそう
・レベルが高すぎる/低すぎる
といった理由でボツになった企画や商品が結構あるんじゃないでしょうか。
でも、予めそれを希望しそうなニッチな相手に狙い撃ちしたアプローチをして、
「行きたい人が行く」「呼びたい人を呼ぶ」ような環境や仕組みが出来れば、
世の中にもっと尖ってて、面白くて、ニーズを満たすようなものが生まれる気がします。
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今回の引用記事にある「大家さん」や、珈琲店にしても、どちらかというと市場に対して「待ち」「受け身」的な立ち位置だったと言えます。
かといって、「攻め気」を出し過ぎてしまうと個性が出て、逆に間口を狭めてしまう。
この辺りのバランスの難しさが、大きな課題だったのではないでしょうか。
ここに、希望条件が見える相手と個別にマッチング出来る仕組みが加わることで、「待ち」「受け身」をしつつ「攻めたいところに攻める」ことがもっと可能になりそうです。
店と利用者の「マッチング」は珈琲をさらに面白くする。
あると思います。