珈琲の「情報」を味方につけて味のことをより知ろう【MEMO】
珈琲に関するニュース/情報をインプットし、
噛み砕いてアウトプットするマガジン。
「COFFEE_MEMO_365」のマガジン記事です。
2020.7.9
【今回の引用記事】
【概要】
LIGHT UP COFFEE代表 川野優馬さんの、stand.fmの6/29放送分より抜粋。
「各生産国の珈琲の流通の特徴や、それが豆の品質に与える影響についてお話を聞きたいです」
という質問に対して、
珈琲の特徴の違いは、国によってではなく、
以下の3つの要素からなっている。
・品種
・作り方(精製方法)
・環境(気温や標高)
作り方(精製方法)については、
ウォッシュド→スッキリした柑橘系
ナチュラル →ベリー系のフルーティさ
豆の選び方については品種の影響が大きい。
国で選んでいるようで、実は品種で選んでいる。
例えば、ルワンダの柔らかな甘さが好みだとしたら、それはルワンダで多く作られている「ブルボン」という品種の特徴で選んでいる。
中南米地域はこのブルボンが多く、エチオピアでは原種、ケニアではSLが多く栽培されているというように、この国だからこういう味とは一概にら言えない。
そして今では、色んな品種が手に入りやすくなっていることもあり、新しい品種の発見やハイブリッド種(病気に強い、味の掛け合わせなど)の開発などが増えてきている。
ワインやお米と同じ感じ。
▪️品種の歴史について
エチオピアに華やかでクリアな元々の原種(珈琲のルーツ)があった。
それが色んな国や地域に伝播され、
フランスの植民地ではティピカ種が、
ブルボン島ではブルボン種が発見され、
ケニアではイギリスと共同研究機関を作り新たな品種、SLが開発された。
国ごとに珈琲の木を植えた歴史が違い、だからこそ味も違う。
なぜそこに農園があるのか、なぜそこの人は農園をやっているのか。
僕らが味わっているのは歴史。
クリーンな歴史だけではなく、奴隷時代や植民地時代の背景もあり、かつては強引に作らされていたりそれを未だに引きずっていたり、課題は今も山積み。
とはいえ、どういう歴史で栽培が行われてきたかが、今味わっている豆ごと・産地ごとの特徴の違いという面白さに表れている。
▪️精製方法について
国ごとで、あるいは場所ごとで伝統的に行っていた精製方法や立地背景に依存して味が決まっていた。
水が豊富にある場所ではウォッシュドが採用され、逆に乾燥地域では必然的にナチュラルしか手段がなかった。
今でこそ、品種であったり精製方法であったり、生産者の選択肢は増えて「目指す味を狙える」ようになってきたが、そういった農園はごく一部。
ほとんどの農園では“なぜそこに農園があるか”の歴史で品種が決まり、精製方法の伝統や、標高・天候といった環境条件におけるフルーツとしての育ち方の違いが味に影響している。
これがいわゆる「テロワール」。
「国ごとに味が違う」という漠然としたイメージは、分解するといろんな背景やロマンが詰まっていて、発見がある。
同じ農園であってもたくさんの品種、味、キャラクターが違う珈琲が出来て、しかもそれは年ごとに出来も変わる。
つまり、飲むたび無限に味が変わる。
ただ美味しいといっても、
その裏側にある生産国の歴史や人、暮らしが引き継いで来たものを、僕たちが味という「結果」として味わっている。
普段珈琲を飲んでいて、「美味しい」「この味好き」となったとき、上の3つの要因をもとに理由を探っていくと、
次以降の豆選びがしやすくなるし、
要因の関係性や、なぜこんな味になるのかの理由が理解出来ると美味しさの理由に納得がいく。
そして新しい広がりになる。
これが、珈琲の味の本質。
【MEMO】
もはや概要だけで完結する内容ですが、、、
まず今回の引用記事は、
LIGHT UP COFFEEの川野優馬さんがstand.fmで配信しているQ&A式の番組の1回を取り上げたものです。
川野さんについてはこのマガジンの6/22の記事でも取り上げていますが、メデイアを上手く活用しています。
初心者から同業まで参考になるのでぜひ聴いてみて下さい。
そんなこんなで、
今回の配信では珈琲の味に影響を与える要素をズバリ紹介されてます。
詳しくい内容は本編を聴いて頂くとして、
この放送で特に共感したのは、
味に影響を与える様々な要因の関係性から、なぜこんな味になるのかの理由が理解出来るようになると、美味しさの理由に納得がいく。
そして新しい広がりになる。
この部分です。
7/6のマガジン記事でも述べましたが、
珈琲を最大限に楽しむ方法は、
経験を積み、珈琲を「操る」ようになること。
ドリップの技術もそうですが、
それよりまず「珈琲の味に関する理解」が、
下地として何より大切です。
スペシャルティコーヒーと格付けられるような、
最近のハイスペックコーヒーは産地どころか、
どの農園の誰がどんな品種の豆をいつ収穫してどんな精製方法で加工し、どのように運ばれてどれぐらいの焙煎に仕上がったのか?
という5W1Hを見事に伺い知れるだけの情報が揃っており、親切なことにそのアロマ・フレーバーがオレンジなのかグレープなのかフローラルなのかまで教えてくれます。
「情報」を飲んでいる
といっても過言ではないくらいです。
ではその情報から何を読み取り、どう味のイメージに繋げていくのか?
そのための要素を、川野さんの番組が見事に言語化してくれています。
珈琲の味を本質的に楽しもうと思えば、
ただ情報を飲み込むだけではなく、
この要素があれば、こんな味が出るはずだ。
その味を最大限引き出すには、このアプローチで抽出していこう。
というように、
経験を積めば想像力・発想力を鍛えられます。
味わうだけでも十分楽しいのが珈琲ですが、
珈琲の歴史は長い年月をかけて、
「情報」の解像度を上げてきました。
この「情報」をうまく味方につけて珈琲を見ることで、より味を楽しめる時代になったと思います。
最後に、
僕らが味わっているのは歴史。
という一文は素敵ですね。