君の音 #毎週ショートショートnote
目を閉じ耳を澄ます。
教室の窓から入った風が私の頬を撫でた。
トロンボーンの軽快な音が聞こえる。
宝島。文化祭で披露する曲だ。
今日の音は弾んでいる。機嫌がいい。彼のトロンボーンの口調が楽しそうだと、私も嬉しくなる。
隣の教室を覗く。
トロンボーンを吹く三浦先輩と、彼を見守る沙紀先輩がいた。
知っている。
三浦先輩の音が嬉しそうなのは、沙紀先輩がいるからなんだ。でも、今日こそ、先輩は1人かも。いつも淡い期待を抱く。
「あれ? 3年生は?」
同級生の悠斗が戻って来た。
「まだ休憩時間だもん」
「ああ、あと10分あるか」
そろそろパート練習しようかな。
私は自分のホルンを持って、ふぅと息を吐いた。
「なんか、元気ない?」
どきり。
「てかさ、トロンボーンじゃなくて俺のを聴いてよ」
悠斗のホルンから、木星の第4主題の旋律が流れた。力強く、伸びやかな優しい音。
「どう?」
「普段はチャラいのに演奏は最高だよね」
私は拍手して答えた。
「やっぱ、わかんねぇかぁ」
(410字)
宝島
木星第4主題 3:15〜
吹奏楽は未経験です。間違いがあったらすみません!
でもトロンボーンもホルンも好き🎺
(絵文字がない)
たらはかにさんの企画に参加いたします。
今週の裏お題:トロンボーンの口調