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元気な人から受け取るパワー #創作大賞感想

面白いと思った小説、作家さんを応援したい。だから公式の応募期間は過ぎてしまったけど感想記事は投稿する。

ひよこ初心者さんの「普通の高校生は人形劇の夢を見る」


「女子高校生陰陽師シリーズ」ということで、上記の小説のあとに2章・3章と主人公がバトンタッチされ物語が続いていく。


せっかくなので1章に絞って感想を書こうと思う。なぜかというと、私は1章主人公の奈那が好きだから(˶ᵔ ᵕ ᵔ˶) ←読むとこういう顔になる

前島奈那は元気が取り柄の高校生。だが最近、妙な夢をみる。昔通っていた小学校の夢だ。しかも真夜中で無人で外にも出られない。黒い犬のような操り人形に導かれて、それぞれの教室でよくわからない人形劇を見せられる。はじめはただ見せられるだけだったのに、劇に反応したことをきっかけに、夢は急激に現実味を帯びてくる。次第に身の危険を感じる出来事が起こり出す、夢が現実に近づくホラー×コメディ×ファンタジー。

「普通の高校生は人形劇の夢を見る」あらすじより


あらすじにもある通り、奈那は本当に元気。
寝坊し遅刻しそうになりながらトーストをかじり自転車で猛ダッシュし同級生とぶつかってしまうがラストスパートでギリギリ間に合う(ここまでひと息で読みましょう)。その勢いに、いつもは怒鳴る担任の先生も固まってしまうほど。
しかも授業をさぼるため迫真の演技でお腹を痛めるし、かなり自由だ。

小説は奈那の視点で語られる。読むとわかるが、奈那は自分の意思がはっきりしている。「〇〇という理由があるから、あたしはこうする」と、きちんと自分で考えて行動できる人なのだ。
奈那の理屈は大多数の人に当てはまるかはわからない。それはいいことも悪いこともあるが、本人の中ではきちんと理屈が通っている。それが奈那に対して「自由」と感じるところだ。「自分」という存在がしっかりと根付いていて、周りに惑わされることがない。

私は現実でもそういう人が好きだ。話していて楽しいし、思いもよらない新たな気づきをもらえる。

でも彼女は、今の私の周りにいないタイプなのだ。なぜかというと……女子高生だから。そもそも高校生との接点がない。

小説を読むときは、頭の中で映像化して読み進める。奈那のビジュアルは、自信に溢れハツラツとした女の子のイメージだ。そんな女の子が元気いっぱいに動いている姿を想像すると、連日の猛暑と労働で疲れ切った私は
(˶ᵔ ᵕ ᵔ˶) ←こんな顔になる。元気だねぇ可愛いねぇ! とパワーをもらえるのだ。

この小説はホラー×コメディ×ファンタジー。しっかりとホラー描写がある。初めて奈那がそういう場面に遭遇したとき、私は彼女が怯えて逃げ出すのかと思っていた。でも実際は「そうきたか!」という反応で、ここで奈那のことが好きになった。立ち向かえる強さがある人のことが、やっぱり好きなのだなと思う。憧れがある。

私はホラーが好きな部類なのでもっと過激な表現もどんとこいだが、この物語は苦手な人でも読みやすいと思う。それは奈那の語り口が楽しくてさっぱりしているから。おかげでさくさく読み進められた。

そして、なぜ奈那は人形劇の夢を見るのか?
なぜ危険な出来事が起こるのか?
というミステリーな部分もあり、最後まで気が抜けない。最終的に謎は解明されるが新たな謎も生まれる。

「嘘だろ? ここで終わり……!?」
と一瞬思うが、続きがあるので安心してほしい。2章は奈那の親友・未紀の視点で物語が語られる。「1章のあの話だ!」という発見がいくつかあり、探しながら読むのも面白い。
そして3章は未紀の祖父・仁雅の若き日の物語。ちょっと大人なストーリーになる。

主人公が変わるからなのかもしれないが、3章とも作品の雰囲気というか色が違う。それを書き上げて、且つ面白さまで出してしまうひよこさんは本当にすごい。もうひよこさんじゃなくて、金の鳥さんなのではないでしょうか……

ホラーって気になるけど怖くて読めない
元気な主人公が好き
シリーズものが読みたい
陰陽師が好き(3章は特に陰陽師のお話)

そんな方におすすめの作品です。
皆さんもぜひ(˶ᵔ ᵕ ᵔ˶) この顔になってください。


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