猫と嫁に思う
猫はいい。癒やされる。
あたたかくて、モフモフしていて
撫でたらゴロゴロと奇妙な音を出して
ぼくの手に一生懸命頭突きをしてくる。
な、なんだこのカワイイ生き物は、反則だろ。
・・・
ぼくは小学生の頃、常に猫と遊んでいた。
といっても飼い猫ではなく、野良猫。
ウチを散歩コースにしている野良猫がいて
よくウチの庭先でくつろいでいた。
体は大きめ、灰色と黒の毛がまばらの猫。
名前はなかった。「猫!」と呼んでいた。
はじめの出会いはもう記憶にないけど
膝の上に載せて丸まって寝ている映像や
産んだ子猫二匹と一緒にウチにきた映像
他の猫と喧嘩をしている映像とかはある。
ぼくの脳内でいつでも再生可能だ。
小さかったぼくは親の目を盗んで
ほらほらと牛乳や煮干しを与えていた。
まあ、親も残飯を与えていたのだから
大丈夫だろうって感覚で。
何かの話で読んだけど
猫は人間のことを人間だと思っていないらしく
「デカい猫」だと思って接してくるらしい。
種族が違うからといって上下関係はないみたい。
コミュニティ内での「ボス猫」の認識はあって
一応のヒエラルキーは存在しているようだけど。
たぶん、あの猫は、ぼくのことを
「なんか食べ物をくれる便利な猫」だと
思っていたのではないだろうか。
まあ、そんなこと、子どものぼくには関係ない。
遊び相手である猫がいればいいのだ。
こっちが優しくしたら、お腹を見せてくれる。
優しく撫でたら、ウトウト顔を見せてくれる。
猫!と声をかけると「ナー」と返してくれる。
それだけでサイコーじゃん。
言葉は通じていないんだけど、なんだろうか
こっちの気持ちが伝わっている感。
こっちの気持ちに応えてくれる感がすごい。
ぼくはすっかり猫に夢中になっていた。
・・・
さて、嫁の話である。
ここだけの話、ウチの嫁ちゃんは猫に似ている。
まず顔がもう猫。分かりやすく言うと
夏目友人帳のニャンコ先生のような顔をしてる。
ゆるくて愛嬌があって表情がコロコロ変わる。
うーん面白い顔だ。好きすぎる。
実写ドラマ化をするときは是非ウチの嫁を!と
密かに思っているくらい、似ている。
あと性格もなんか猫っぽい。
好きなことは目をキラキラさせてやるけど
後片付けは興味がないみたいでプイ。
いやプイじゃない、片付けなさい!って
ブツブツいいながらぼくが片付ける。
だから料理でも片付けが嫌いなのかもしれない。
あと行動もなんか猫っぽい。
二人でいると「ナーオ!」とか鳴き声を発するし
頭とか鼻をぐりぐりと擦りつけてくる。
そんでぼくの上にでーんと乗って寝る。
えっ、猫じゃん。
ぼくは疑っている。
ぼくと結婚したこの嫁ちゃんは、なんだか
あまりにも出来すぎている存在なのだ。
そんなことはありえないと思うのだけど
「つるの恩返し」という昔話のように
もしかしてウチの嫁ちゃんは
猫が姿を変えて現れたのではないかと
未だに疑っている。
単なる偶然か。それとも猫の奇跡なのか。
想像するだけならタダだ。楽しいほうでいこう。