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料理下手のエビチリ作り
「夫くん、じゃエビチリ作ろっか」
「うっす!おねがいしまっす!」
私と嫁ちゃん、二人の休日が重なる日。
新年の抱負に掲げた目標のひとつ
エビチリ作りが開催された。
・・・
はじめにことわっておくけど
私は料理が下手である。
下手というか、おそろしく手際が悪い。
①食材を並べる
②食材を洗う
③調理道具を並べる
④食材の皮をむく・切る
⑤食材を炒める・煮る
⑥調味料を入れる・味を調える
⑦皿類を出す
⑧盛り付ける
これくらいのことはできる。
しかし、順番通りにしかできない。
おまけに、一つのことしかできない。
さらには、分量通りにしか作れない。
嫁ちゃんは同時進行で阿修羅の如く調理する。
私とは調理スピードが5倍くらい違うと思う。
おそらく、嫁ちゃんから見た私の調理は
非常に鈍くさく映っているのだろう。
それは分かっている。
それでも、私は料理を作りたい。
私が料理を作ることで嫁様の負担を減らしたい。
私が嫁ちゃんに美味しいと言ってもらいたい。
良いカッコしたいのだ。
そんなわけで今回は二人の大好物のひとつ
エビチリ作りにチャレンジ。
クックパッド様のレシピを参考にして
タレから作ってみようという試みだ。
ちなみに料理上手で鳴らしている嫁様も
エビチリのタレまでは作ったことがない。
なぜなら、今どきは美味しくて手ごろな
エビチリのタレが売っているからである。
美味しい食材大国ニッポン万歳。
かくして料理下手のエビチリ作りが始まった。
・・・
「しまったあああああ!」
「どうしたの!?夫くん」
やらかしてしまった。
みじん切りにした大量の玉ねぎを炒める前に
エビチリソースとエビを絡めて炒めてしまった。
手順通りにやっていたはずなのに、ミス。
もうだめぽ。テンパってしまった。絶望だ…
「どどどどうしよう、玉ねぎが無駄になった」
「大丈夫だよ。レンチンすればいい」
「レンチン?何を?どうするって?ホワイ?」
「だからね、そのみじん切りにした玉ねぎを
レンチンしてね、ソースに絡めれば大丈夫よ」
「えっ?・・・えっ?それでいいの?
それで玉ねぎを炒めたことになるの?
ソースと上手く絡むっていうのかい?」
「そうだよ。レンチンを信じなさい」
なんという自信。揺るぎないハート。
なんという心強さ。心のリカバリーも完璧だ。
言われた通りにやってみると…上手く絡んだ。
こ、これは美味しそうに出来上がった予感!
…おや?嫁ちゃん、君は何を作ってるの?
「あぁ、こないだ漬けたキムチを使ってね
チゲ鍋を作ってみたよ。豆腐もあったから」
いつの間にやら嫁ちゃんは熱々のチゲ鍋と
謎のしゃっきりポンなサイドメニューまで
作り終えていた。本当に同じ人類なのか…。
・・・
「いただきまーす!」
正午ぴったりに豪勢な昼食が完成。
早く食べたい…もう我慢できない!
ばくばく。
うぉっ…これはッ!!
「うん。美味しいね!」
はい嫁ちゃんの美味しい頂きました。
ありがとうございます。勝ち申した!
さすがクックパッド様に載っているレシピ。
エビチリのソースが美味すぎて想定以上だ。
市販のソースを軽く超えてもう外食レベル。
これが自宅で作れるとは…すごい時代だね。
「このソースなら鶏にも抜群に合うねぇ。
なんなら魚料理にも使えそう。美味しい!」
嫁ちゃんの太鼓判。べた褒め炸裂。
うむ、またしばらくしたら作ろう。絶対に。
しかし、エビチリは抜群に美味しいのだが
真に恐るべきはチゲ鍋よ…
「チゲ鍋も美味しくできたね。はふはふ」
いやいやいや、とんでもないっす。
このチゲ鍋、外食レベルを遥かに超えてる。
マジで過去一の美味しさを誇るチゲ鍋が降臨。
あの超絶激ウマ手作りキムチがここまでとは…。
「ふーむ、味噌を入れてみて正解だった」
私はチゲ鍋にさほど明るくないのだけど
チゲ鍋って、味噌を入れるものなのだろうか。
とにかく、嫁ちゃんは手作りキムチに加えて
味噌やら何やらで味の調整を施していた模様。
どうやったらこんな激ウマ調整ができるんだ…。
「勘だよ、勘。野生の勘」
げへへへと不敵な笑いがこだまする。
ウチのキッチンは今日も美味しさ満点です。