悶えたこと

マジかよ。

やれコスパだ、タイパ重視だ、と
映画を倍速で観る人は結構いるらしい。

なんてこった、という感情が湧き出る。

映画って、娯楽だろう？
娯楽を倍速でチャッチャと観て面白いのか？
いやなそれよりもなんか・・・こう・・・
映画を作った人に対する敬意というか・・・
ああ、なんか私気持ち悪いこと言ってる・・・？
独りよがりの意見を押し付けようとしている！？
これが老害化ってやつなのかもしれない。
うむむ、気を付けなくては、でも、でもなあ！

「どうしたの夫くん。一人で悶えちゃって」

おお嫁ちゃん聞いておくれ！かくかくしかじか。

「いやあ、私もYouTube倍速で見る時あるし」

ウッ、YouTubeなら私も1.5倍速で見たりする。
痛い所を突いてくるなあ、さすがだ。

「早送りしたほうがいい動画ってあるでしょ」

むう、確かにそれもある。

「夫くん、気にしすぎなんじゃないの？」

でも！でもねえ！映画だよ？
細かい伏線とかさあ、展開とかさあ
倍速とかにしちゃうと見逃すでしょ？
なんで敵だったやつが仲間になったんだ、とか
ワケわからなくなるんじゃないの？

「ネタバレ見るんじゃない」

ん？

「だから、そういう人は、ネタバレ見てから
映画をパーッと観てるんじゃない？って」

んん？なんだって？

「おおまかな流れを知っていたら
倍速で観ても理解できるでしょ、たぶん」

少し調べてみたら、確かに一定数いるようだ。
ネタバレ前提、ネタバレ当たり前で
コンテンツを楽しんでいる人というのは。

マジかよ！

そういえば私の知り合いにもいたっけ。
チートで最強状態にしてゲームする人。
あまつさえそのチートプレイを
100％善意で勧めてくる人が、いたなあ。

なんだろう、この
途中経過をすっとばして
おいしいとこだけ堪能する、みたいな。

なんか焼き魚をぐちゃぐちゃに食べるみたいで
なんか、嫌な感じがする・・・

「でもさあ、夫くんも、マンガの考察動画とか
見てるじゃない。イイ感じにまとめてあるやつ」

ウッ、たしかにそれは…

「ああいうのも、同じようなものじゃない？」

それは違う！と言いたいところだけど
大きなくくりでは、その通りかもしれない。

時間は有限だ。
自分の時間をどう使おうが、いいではないか。
最大効率で自分が楽しめるようにするためなら
巷に溢れるコンテンツを食い荒らすがごとく
ネタバレ前提で大量消費もアリのはずだ。

自分が受け入れられないことだからといって
他人のやり方を否定する理由にはならない。

でもなあ・・・しかしなあ・・・

「まあ、いいじゃない」

ん？

「わたしと映画観るの好きでしょ？夫くん」

はい。そりゃもう。

「よそはよそ、ウチはウチで」

うーん理屈を超えたこの納得感。
さすがの嫁ちゃん。ベストマイワイフ。