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似合わない、似合ってる

この際だからハッキリ言っておくけど
ウチの嫁様はかわいい。

もちろん女性としてかわいいのだけど
どちらかといえば猫とか狸とかピカチュウとか
そういったケモノ的なモフモフっぽい
「かわいい」が強め。
たぶん前世はマスコットキャラか何かだろう。

そういうことを直接本人に伝えるたびに
ぐふふ…と喜ぶような威嚇するような声が出る。
やっぱりどことなくケモノ的である。
すかさず頭をぐりぐりと撫でる私。
途端にぐおーと寝だす嫁様。
ここだけの話頭がウイークポイントなのだ。
よだれが枕に沁み込んでいく。カオス。
だがこれが我が家の実態なのだ。

・・・

ちょっと想像してもらいたい。
可愛い犬に服を着せたら大抵似合うでしょう?
可愛い猫が鍋から出てきたら悶絶するでしょう?

そう、かわいい生き物にアイテムを加えたら
どうやったってかわいさが倍増しちゃう宿命さだめ

まあそんなわけで
ウチの嫁様は大体どんな格好をしても似合う。

ちいかわキャラパジャマを着ようが
ドラえもん柄のエプロンを締めようが
お忍び芸能人的なグラサンをかけようが
ウチの嫁様はなんでも似合ってしまうのだ。

「きみ、どんな服でも似合うよねぇ」

ぐふふ…

余談だけどウチの嫁様はよく私の服を着る。
男物の私のあれやこれを着用するへきがある。
それで一度怒ったことがある。

「やめろ!ぼくの服を着るんじゃない!」

ぐふふ…

あんまり心に響かなかったようだった。
響かないどころかむしろ喜んでいるじゃないか。
こっちの話が通じない時がかなりある。
やっぱりケモノ的な何かかもしれない。

「そういえばきみ、似合わない服あるよね」

ぐふ…?

そうなのだ。嫁様でも似合わない服がある。
ほとんどの人が似合うであろう冬の必需品
ダウンジャケット。暖かいモコモコのやつ。
嫁様はダウンジャケットが似合わないのだ。
これは私たちが付き合い当初から謎だった。

「でもね、最近わかっちゃったんだよねぇぼく。
きみがなぜダウンジャケット似合わないのかを」

ぐ、ぐふ…?

「いいかい?ぼくのような普通の顔をした
普通体型の男がダウンジャケットを着ると
丸みを帯びて優しい男っぽく見えるんだよ。
これはダウンジャケットのシルエットとか
素材、質感が持つ特徴が、そのままぼくに
影響を与えた結果、そう見えるってわけさ」

ぐふふ…

「でもきみはほら、存在がもう癒しキャラだ。
癒しキャラが癒し装備をしても効果が薄いの。
むしろ過ぎたるは猶及ばざるが如しってヤツ。
つまりね、ダウンジャケットを装備したって
その恩恵を全く頂戴できないってわけなのさ。
だからきみには似合わないんだよ。わかる?」

ぐ、ぐふ…

「でも落ち込むことはない。きみにはとても
似合う服があるんだよ。コンサバ系ってやつ?
落ち着いた色を基調にしたお忍び芸能人的な。
あれがドンピシャできみに似合っているんだ!
なぜならきみの持つゆるふわ癒し的な外見と
真逆のコンセプトであるがゆえに際立つから。
だからね、ぼくはきみのグラサン姿好きだよ」

ぐふふ…

後日。ふたりでコストコドライブツアーの日。
嫁様はかっちょいいグラサンスタイルで
キメキメだった。惚れ直した。
もちろんその日の買い物が最高に楽しめたのは
いうまでもない。


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