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「は」から始まる自己主張

嫁の料理は大好きだけど
家では到底作れない外食も好き。

1000円前後であれこれオトクな
ランチセットに目がない私たち。
今回のお店では三種類のランチ。
むむ、どれにしようか・・・

①季節の野菜とエビのパスタセット
②ふわとろオムライスセット
③ランチドリアセット

「ぼくは久々にドリアにしようかなぁ」

「オムライスの写真もヤバいねー」

「んー、でも季節の野菜とエビもいいな」

「やっぱりエビは美味しそうだねー」

「決めた!ぼくは①のセットにするよ」

「じゃあね、私は①のセットにする」

「ん?」

「え?」

「ぼくの聞き違いかな?」

「何が?」

「今、ぼくは①にするって言ったよね」

「言ったね」

「で、それを受けて嫁ちゃんはこう言った。
私は①にするって」

「言ったね」

「“私も①にする”が正しい会話じゃない?」

「ふっふっふ」

「なんでそこで笑う」

「これはワザとだよ、夫くん」

「なんだって!?」

「ほら、私もってばかり言っているとさ
自分の意見を持たない人になっちゃうのよ」

「ほう?」

「なにかの本で読んだんだけどさ
あえて私はって言うことで、自分の意思表示を
しっかりすることになるわけさ」

「・・・なるほど。一理あるかも」

「私もね、確かに!って思ったから言ってみた」

「へえー、なんかいいね。あえて言うんだね」

「でしょう?夫くんも使っていいよ」

「いや君のワザじゃないだろ」

たとえ先に会話した人と同じ意見であっても
あえて『私は』と意見を言う。
時と場合によっては空気が凍りますけど
知った仲なら笑って許せるので
会話のアクセントにちょうどよいかも。

何を言っても「あー」とか「んー」とか
「まかせる」とか「なんでもいいよ」なんて
気の抜ける相槌を打たれるより数百倍いい。

長年同じ人と会話をしても飽きないのは
こういったサプライズを仕込んでいるから
なのかもしれない。


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