夫婦の醍醐味
「夫くんの好きなジブリ作品って何?」
風邪気味の嫁ちゃんがうっすら火照った顔で
唐突に聞いてきた。いきなり何の話だろうか。
「しょーがないなあ!私も言うから、ね?」
一体何がしょーがないというのか。
君も言うからなんだっていうのか。
「じゃあTOP3をお互い言い合う形式で、ね?」
“ね?”って言われましても困るのだが。
「あーもう!いいから言ってよ!ね!!」
嫁ちゃんは熱が出ると少し強引になる。
しかし、そんな所も嫌いではない私だ。
・・・
「嫁ちゃん、落ち着いて?話を整理するよ」
「ふうふう」
「お互い、好きなジブリ作品を言い合うの?」
「そう。第三位からね」
「わかった。ぼくはもう決まっているよ」
「私だって、決まっているよ」
じゃあ行くよ!第三位は・・・
「魔女の宅急便!(ぼく)」
「ハウルの動く城!(嫁)」
「ほう、ハウルかぁ。そうきたか」
「夫くんは、どうして魔女宅なの?」
「魔女宅っていうのは成長物語なんだよ!
そもそも(5分くらい熱く語るので割愛)」
「ふ、ふーん。なるほど(引いてる)」
「そういう嫁ちゃんは、どうしてハウル?」
「ハウルがカッコいいのよ~!」
「ん?」
「え?」
「ハウルって、声優がキムタクだっけ」
「いや声優は関係ないの。ハウルの顔面よ」
「あぁそう・・・(引いてる)」
「じゃあ2位、行ってみようか」
それでは行きます!第二位は・・・
「風の谷のナウシカ!(ぼく)」
「もののけ姫!(嫁)」
「おー、もののけ姫か。面白いよね」
「そうでしょ?アシタカがカッコいいから!」
「ん?」
「え?」
「何?主人公の顔面で選んでいるの?」
「ち、違うよ。ヤックルだって可愛いし」
「ああそう・・・(引いてる)」
「夫くんは、どうしてナウシカなの?」
「ナウシカといったら巨神兵!早すぎたんだ!
あの退廃した世界観が(熱いので割愛)」
「へ、へー。いいよねナウシカ(引いてる)」
ではいよいよ第一位は・・・
「天空の城ラピュタ!(ぼく)」
「耳をすませば!(嫁)」
「出たね。耳すま。知ってたけど」
「やっぱり天沢聖司くんでしょ!」
「高橋一生が声優やってたんだよね」
「声もいいし顔面もいい!最高よねぐへへ」
「嫁ちゃんはブレないね。嫌いじゃないぜ」
「んで、どうして夫くんはラピュタなの?」
「ラピュタってのはロマンの冒険活劇だ!
天から降りてきた少女が(長いので割愛)」
「お、おう(ドン引き)」
・・・
振り返ってみるとぼくたち夫婦で
好きなジブリ作品TOP3が
一つたりとも合っていなかった。
おっかしいなぁ、感性ズレていたのかなぁ。
それでも、こうして夫婦の会話になるから
多少の感性のズレはご愛敬。適度な刺激よ。
なんでもない話が楽しい。これが夫婦の醍醐味。