止まらない水
数日前から水が止まらない。
清流のようにサラサラとした水が
私の鼻から止め処なく流れ落ちる日々。
高級ティッシュが凄い勢いで水没していく。
はーっくしょん。
「それ鼻風邪だよ、夫くん」
実は、うすうす感じていた。
もしかしてこれ風邪じゃないか?
でも五年ぶりくらいだよ、風邪なんて。
マスク多めの生活なのにどうして風邪なんか…
はーっくしょん。
「ごめんね夫くん、私の風邪感染ったかな」
恐るべき犯人は目の前にいたのだ。
これ推理小説になるんじゃなかろうか。
献身的な助手が実は黒幕でした!みたいな。
いいや、それこそ手垢のついた手法ではないか。
ひーっくしょん。
「さっきから何ぶつぶつ言ってるの?」
微熱は思考回路がおかしくなる。
ここには書けない単語を怖じもせず
嫁ちゃんの前でベラベラと語りつくす。
見よ、我が伴侶が生暖かい微笑みを返す。
ぶえーっくしょん。
「夫くん、ドラッグストア行こうか」
・・・
私、どうやら風邪をひいたみたいです。
しかし幸か不幸か、熱はないし身体も軽い。
ノドの痛みもなく食欲だって落ちちゃいない。
・鼻から出る水の量が尋常ではない
・口呼吸生活を余儀なくされて辛い
上記二つくらいの実害しかないため
日常生活にほぼ支障がないのが救い。
しかし、それでもやはり不快すぎる。
できることなら一刻も早く治したい。
というわけでやってきましたドラッグストア。
・温めて食べるおかゆ×2食
・葛根湯(液体タイプ)×3本
・半額になっていたトマト2個
買うものを買ってさっさと店を出る私。
この日は休日なので引きこもる気満々。
嫁はあいにく仕事なのでここでお別れ。
「ほら、これ飲みなよ」
そういって嫁ちゃんが渡してくれたのは
高級な栄養ドリンク。えっ、これは?
「これ結構効くんだ。早く良くなってね」
そう言って颯爽と嫁ちゃんは仕事へ向かった。
ちょっとちょっと、惚れてしまうじゃないか。
ごくごく。
そうして帰るなり
一日中ベッドでYouTube生活が幕を開ける。
寝て、起きて、おかゆ食べて、葛根湯飲む。
ふいにYouTube観て、寝落ちして、起きる。
自堕落ベッド生活極まれり。意外と快適だ。
早く止まるといいな。水。