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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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jokerを嫁と観ました

一昔前、世間の話題をさらった映画
「joker」

観よう、観ようと思ってはいたけど
有名な作品はなぜか観たくなくなる
天邪鬼病が発症してしまい、未だに
観れずにいた私。

そこにカンフル剤を注入してくれたのが嫁。
ウチの最高の嫁様である。

「ねえ夫くん、一緒に映画館で
joker2を観てもいいよ」

聞けば嫁様は既にjokerを視聴済。
そして近日公開の映画
joker2を一緒に観たいという。

これは私も観なければならない!と
奮い立った私はアマプラで調べると
なんと無料視聴の対象作品であった。
これは僥倖。

というわけで昨晩は
淹れたての炭火焼珈琲500mlと
嫁様が買ってきたスイーツを用意して
二人で夜中のjoker視聴と洒落こんだのだ。

本当は私一人で観ようとしたのだが
どうも嫁様は一度観た映像作品でも
私と一緒に観たがる癖がある。

要所要所でネタバレを放ってくる危険性を孕むが
いいじゃないか、望む所だ。
映像きょこう現実リアルの同時攻撃で
緊張感は二倍、いや五倍はかたい。
オラわくわくしてきたぞ。

ちなみに私の映画を視聴するスタイルは
事前情報を全く入れずに観る、というもの。
あらすじすら、見ない。
できればパンフレットも、ポスターだって
見たくない。
ただ目の前にポンと、置いてある映画を
「どれどれ?」と覗いてみたいのだ。
そういう観方が大好きなのだ。

だから、ネタバレなんてもってのほかである。
私は昔から蛇蝎の如くネタバレを嫌っていた。
ネタバレをドヤ顔で放つ友人を粛清してきた。
(そして返り討ちにあってきた)

もしかしたら今夜は嫁様を粛清するのかも…
私は期待と不安が入り混じる気持ちで
炭火焼珈琲を口に含んだ。うまい。

・・・

【注意:ここからjokerのネタバレ有り】

【注意:ここからjokerのネタバレ有り】

【注意:ここからjokerのネタバレ有り】

社会に馴染めず、溶け込めない男。
周囲からは疎まれ、嘲笑を受け、見下される。
それでも必死に、生きるため、生きている男。

これが主人公?
どこにでもいる。ただの冴えない中年の、男。

はて、悪のカリスマっぽいイメージがあったが
これが後々ヒーローと対峙する男なのか?

生まれつき特別な力があったり
異常なまでの残虐性を示唆する場面がない。
ほんとうに、普通の冴えない中年男。
なんなら心優しい部分まであるぞ。

十代の子供たちにからかわれ
物を盗まれて、路地裏でボコボコにされる。
悪臭放つであろうゴミの吹き溜まりで
地面に這いつくばることしかできない男。

ここから謎のダークパワーとかに目覚めたり
いかに悪そうな悪魔に魂を売って変身したりとか
そういうファンタジー展開が来るのだろうか?
(もしそうなら世界観ぶち壊しで興覚めだが…)

いやあ、安心した。
そんなご都合主義展開なんて無い。
ただただ、男のミジメさが露呈するだけ。

すごい。
マジか?
ここからどう、巻き返してくれるんだ?

期待値が最高潮に高まってきた。
この期待に見事応えてくれるというのか!?
ハードル上がりすぎ!やってくれるのか!?

・・・

きっかけは、銃だったのか。
もしくは親の存在だったのか。
それとも社会の構造だったのか。

簡単なことじゃない。
人が絶望して、傍から見れば狂うことは。
ましてやそれを、映像で表現するなんて。

男は引き金を引いたから「成った」んじゃない。
そんな単純な理屈じゃない。

もしかして共感。

富裕層と貧困層の対立が爆発したのも
jokerの行動に共感したからではないか。

貧困層も、そして視聴者も。
jokerは共感から生まれた男なのか。

街にjokerの仮面が溢れ、模倣犯が蔓延り
燃やし、暴れ、強奪する。

相変わらず男は貧相で、弱いままだ。
筋骨隆々でもないし空も飛べない。
わずか二人の警察からだって必死で逃げる。

でも変わった。生き方が変わった。
あるいは変わってないのかもしれない。
ストーリー上変わったように見えるが
その実、内包されていた個性が露わになった
ただそれだけのことなのかもしれない。

心の拠り所を考えうる限り最悪な形で
ぶち壊された男は皆、こうなるのかもしれない。
現代日本で言うところの「無敵の人」に。

失うものなど何もない。
悲しむ人も守る人もいない。
仕事も責任も愛情も温もりもなにもない。

だからこそ踏み越えられる、凶行。

気に入らない権力者をブッ〇してヒャッハー!
そんな単純な映画じゃない。

これは問題提起だ。
メッセージ性がエグい。

人とは、社会とは、何だろう?
立場の違いって、何だろう?
偉い人って一体何だろう?
善とは?悪とは?何だ?

それこそ銃口のように突きつけられる。
ぬるま湯に浸りきった胸に、喉に、後頭部に。
オマエは何を感じるんだ!?と怒鳴られる。

すごい作品だ。

何がすごいって、これだけ重いテーマなのに
ちゃんと「面白い」って思わせる所がだ。
独りよがりの芸術家気取りの監督じゃない。
エンタメに仕上げる手腕、呆然するしかない。

うむむ、観て良かった。

・・・

はて?そういえば嫁様
今回は一切ネタバレしてこなかったな。
ようやく私のネタバレ嫌いが伝わったかな。
感心、感心。ありがとうね。

「ねえ夫くん」

ん、どうしたんだい嫁様。

「私が以前観たのこれじゃなかったみたい。
たぶん観たのはダークナイトかも」

いや違ってたんかーい!
おあとがよろしいようで。


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