ツノがある東館 #毎週ショートショートnote
腸(はらわた)を喰いちぎられた。
畜生、痛ぇ。
なんだよ、こいつ。
糞が、死んじまうじゃねえか。
・・・
東北の〇県と▲県をつなぐ山道。
地図にない集落に「館」がある。
場違いな程に西洋風で豪奢な館。
「この館、鬼が棲んでたらしいよ」
民俗学を専攻する悪友から
酒の席でそんな話を聞いた。
俺はいわゆる廃墟系のYouTuberだ。
これは使えるネタだ。ビビっと来た。
期待を胸に単身「館」へ乗り込んだ。
・・・
東館とでも呼ぶべき場所で見つけた
朽ちた人骨が数体。いや、数十体…。
おいおい、こんなのお蔵入りだろう。
骨の中に一際大きな頭蓋骨があった。
心なしかツノが生えている気がする。
「鬼の骨?本物なのか?」
その瞬間、俺の足先に激痛が走った。
痛みに耐えきれず、その場で転がる。
反射的にライトで足元を照らすと
蛆の群れが目に飛び込んできた。
(うげえ!何だこいつは)
いや、蛆ではない。
蛆のようで蛆ではない。
小さな個体一つ一つが・・・
カチカチと歯を鳴らしている。
(410字)
今回のお題は『ツノがある東館』+『一行目で惹き付ける』。
たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】企画に参加させていただきました。
ホラーもの、大好きなんですよね。
どうしても腸(はらわた)を使いたかった。
素晴らしいお題をありがとうございました!