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NGワード
この記事は「仲良し夫婦サークル」の
企画参加記事です。
私は、嫁様に言ってほしくない言葉がある。
陰口だ。
それも、私の陰口ではない。
嫁様が嫌いな人へ放つ陰口である。
・・・
私は学生時代、もっぱら「男社会」に居たので
全然気づかなかったことがある。
「女社会」の“しきたり”みたいなものについて。
女社会というのは興味深い。
男社会には存在しない“しきたり”は沢山あるが
ひときわ異彩を放つのが陰口である。
陰口…つまり、その場にいない人のことを
あれやこれやと集団でこき下ろす行為のこと。
こんな、陰口なんて、古めかしい少女漫画とか
平成の昼ドラでしか見たことがなかったのだが
実際目の当たりにすると結構驚く。おそろしい。
何がおそろしいって
さっきまで皆陰口を叩いていたのに
当の陰口の本人が場に現れるや否や
あたかも何事も無かったかのように
ケロリと笑顔で接しはじめることだ。
女って怖いな、と震える瞬間だ。
もちろん、男にだって陰口を叩く人はいる。
しかし私が知る「男社会」において
陰口を叩く男というのは卑劣の最たるもの。
文句があるなら直接言えやボケカスコラである。
つまり「男社会」においての陰口とは
女々しい、卑怯、軟弱者の象徴であり
それを口にすることはある意味タブー。
他の男から一線を引かれるNGワードだ。
この陰口の件ひとつだけを見ても
男と女ってやっぱり違うな、と感じる。
男は直接的手法で攻撃することを好むが
女は婉曲的手法で攻撃することが多い。
それがよく表れているではないか。
・・・
誤解を招きかねないので補足しておくが
私は女性の陰口を非難したいのではない。
女性の陰口はアリだと思っている。
男性と比べて女性は集団を作ることが多く
「共感」がすこぶる重要な要素であろう。
陰口を共有することで連帯感が生まれ
ストレス発散の場として有効でもある。
そもそも陰口といっても男性が思うほど
“それ”は深刻なものではなく一つの会話。
「おしゃべり」の一つの形態に過ぎない。
だいたい、男だって集まれば
車やギャンブルの話で盛り上がるじゃないか。
それと同じようなモノと認識しているからだ。
・・・
そんなこんなで、女性の陰口にはある程度
広い心で接することができると思っていた。
実際、嫁様と結婚する前はそう接してきた。
でも結婚して、長い時間一緒に過ごしていると
自分でも不思議だが陰口が許せなくなってきた。
「ちょっとソレ(陰口)やめてよ!気分悪い」
しまいには嫁様に直接言ってしまったのである。
(そのあとめちゃめちゃ喧嘩した)
どうして言ってしまったのだろう?
どうしてイライラしてくるのだろう?
おそらく、私は欲張りになったのだと思う。
好きな人と結婚して
一緒に住むだけでは飽きたらず
自分の価値観に染まってほしい
おそらくそんなところだろうと推測する。
嫁様に「男社会」のしきたりを強要した
と言い換えてもいいのかもしれない。
が、どちらにしろ自分勝手な行為である。
「良かれと思って」は免罪符にならない。
たとえ夫婦でも強要はダメに決まってる。
これが今の私の最大の悩み。
嫁様が陰口を言う事は認めているけど
自分の本音としては言ってほしくない。
矛盾みたいな話である。
あまりに自分では耐えきれなかったので
腹を割って嫁様にそれとなく伝えてみた。
アサーション的な手法で押し付けないで。
そうしたらある程度の理解は示してくれた。
でも100%受け入れることは難しい、とも。
理屈は分かるけど感情的に受け入れがたい
要するに、そういうことなのだと認識した。
・・・
そういったわけで
私が嫁様に対して思うNGワードは陰口。
逆に言ってしまうと
陰口以外の言葉はNGワードになりえない。
私へ悪態も、侮蔑的発言も
本気で言っているわけではないので
特に私は気にならない。
むしろ親しみが増したと喜んでしまう。
意外と私は汚い言葉の掛け合いも好きなのだ。
(ただし嫁様相手に限る)
・・・
ここまで書いていて「アッ!!」と
思わず叫んでしまった。
そういえばあったじゃないか。
とびきりのNGワードが。
私は、第三者が嫁様のことを悪く言うのが
どうにもこうにも我慢ならないのだ。
もし第三者がそんなことを言いかけたら
とことん詰める。真剣なトーンで釘を刺す。
「ちょっと待って。〇〇ちゃんのことを
何か言おうとしてる?ちょっとでも悪く言ったら
喧嘩売ってるとみなすから。本気だよ」
これはまだ私達が結婚する前。
嫁様と付き合っていることを
私の友人たちと飲みながら話していた時に
友人Tがなにやら“からかう”気配を見せた。
そのとき最速で釘を刺した言葉である。
うーん、我ながら尖っていたものだ。
でもその気持ちは多分、今も残っている。
私にとってのNGワードは
嫁様を揶揄すること全般。
うん、今分かりました(笑)。