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立冬に寄せて。
冬の澄んだ空気が好きだ。
上空の気流が見えるほどの澄み切った青空。
スカイブルーの海をジェット機がスーッと泳いでゆくように横切る。
そびえ建つビル群を見上げる。
バチで叩けばキーンと音が響き渡りそうなガラス張りの窓。
木枯らしに首を竦めコートの襟を立てる。
「マフラー、早めに出そうかなぁ」
と冬仕度の足りないものを頭に描く。
日本に秋は無くなった。
このまま行けば日本人の中に季節感など消滅してしまう日が来るかもしれない。
夏と冬があるじゃないかといってもその期間が長ければそれが当たり前になり季節が移ろってゆくワビサビも感じなくなって行くだろう。
年中行事も猛暑や極寒を避け時期をズラし更に季節感が無くなる。
それに関連して旬も危ういところ。
クレープにしても真夏に「イチゴはないですか?」と聞かれることももはや当たり前。
そう思いきや先日ある農家の方が「真夏が旬のイチゴ」を提案してきた。すごく良いところを狙ったなぁと感心しきりだったがやはり旬も薄れていく定めなのかなぁと思った。
そうなると季節感は自分で意識的に感じるしかないかと思う。
旬の物を食べ年中行事を大切に、例えば「中秋の名月」とか「春の花見」、「夏の海」や「正月の初日の出」など。
そんな季節感なんて地球環境の変化に適合させて忘れていけば良いじゃないか!
と言われそうだが僕はそうした季節感を大事にしたい。
薄れていくからこそ大事にしたい。
今日は「立冬」だ。
立冬の日がこんな素敵な冬らしい日で良かったと思う。
ジムの帰りに「寒ーいっ!」と首をすくめる瞬間が待ち遠しい。