今週のアニメ業界関連ニュースまとめ 2024/10/29 #169
クリエイティブよりも、ビジネス関連強めのアニメニュース・記事をキュレーションしています。
「文化審議会著作権分科会政策小委員会」に提出されたNetflixと日本動画協会の資料が話題です。ただし後者は、アニメーターの年収水準が高すぎて誤解を生むといった指摘もありました。資料自体はよくまとまっているので、この部分は注釈が必要だったかもしれません。
文化審議会著作権分科会政策小委員会(第3回)
「DX 時代における適切な対価還元についての関係者からのヒアリング」について、文化庁がNetflixと日本動画協会から聴取した模様。提出されたNetflixと日本動画協会の提出資料は、かなり重要です。しかしNetflixの資料で、アニメ制作者の賃金上昇は「Netflixが適正な価格を支払い、価格転嫁や労働環境の改善に取り組んでいることも影響を与えている」ともありますが、少々独りよがりな気がします。インフレ・円安や日本のアニメの需要拡大などの方が主たる要因でしょうし。一方、動画協会の方はフラットに状況を分析していますね。
※Netflix 資料
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/seisaku/r06_03/pdf/94124501_01.pdf
※動画協会 資料
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/seisaku/r06_03/pdf/94124501_02.pdf
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アニメ制作会社・クラウドハーツ、Webサイトがドメイン切れに 24年春アニメ「ささ恋」などを担当
状況的に倒産してしまった感じですね。令和の現代においては、アニメ市場が伸びる一方で、人件費の高騰にともなう下請けの制作会社の赤字は拡大しています。ちょっと注意が必要かもしれません。
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アニメ映画『狂気山脈 ネイキッド・ピーク』の「プロジェクト白紙化」が明らかに。制作総指揮・まだら牛氏が第2回クラファンの謝罪・返金対応を伝えるとともに自社主導でのプリプロ“再アタック”と制作スタッフ募集も告知
アニメの制作スタジオがプロジェクトから降りてしまったのが原因です。これはかなりシンドいですね。アニメの制作ラインは3~5年後まで埋まっているのが常ですし、すぐに他のスタジオでというわけにも行かないでしょう。TRPG発のアニメとして期待していたので、残念です。
熱狂!NYコミコンで見た世界の“日本アニメ愛” 4.6兆円市場最前線【INSIDE/USエコノミー】
テレ東BIZの動画ニュースです。やはり「空気感」を伝えるのは動画が良いですね。コミコンの熱気が伝わってきます。男性の手作り感あふれるコスプレ姿が印象的で、黎明期のような混沌と熱意が感じられます。まだまだ市場も伸びるはずです。
「日本アニメをもっと世界に」東宝が強化するIPビジネス戦略
「アニメ事業における国外のシェアは22年2月期14.1%のところ、24年2月期では34.1%まで上昇」とかなり好調な東宝ですが、「アニメ事業を第四の柱」にすべく今後も投資を続ける模様。アニメ配給会社「GKIDS」も子会社化し、引き続き快進撃は続きそうです。
プライムビデオで「ルックバック」世界独占配信 押山清高、藤本タツキが喜びのコメント
Amazonは作品の権利を丸抱えするのではなく、『ルックバック』のように製作委員会の中の一社としての参画もあります。Amazonに限らず、数年前までは全額出資・全権利取得も多かったですが、今は様々なスキームで展開されていますね。