見出し画像

運営仲間の集め方

YouTubeなどで個人が仲間内などで小規模な対戦を行う、いわゆる「カスタム企画」などとは異なり、出場選手を広く公募し、ルール(レギュレーション)を明確に定め、決勝戦までつつがなく進行していく大会運営は、1人では決してできません。

開催当日だけでも、OBSなどの配信ソフトを操作する人、実況・解説を行う人(OBSオペレーターと兼務も可)、選手対応をする人(最低2人)、YouTubeのチャット欄に進行状況を書き込んだり不適切な書き込みを削除したりして管理するモデレーターと、少なくとも4人は必要です。次戦のスタンバイに当たる選手の対応を行うスタッフやSNSでの発信、配信の音量や映像の確認なども、兼任ではなく専属で当たれるスタッフがいると運営は安定します。

また、ある程度運営が軌道に乗ってきて、出場選手の人数枠や開催頻度を増やしていくためには、さらなる運営人員の補強が必要となります。

ところが、eスポーツ大会の運営人員を募集することは、結構難しいです。なぜなら、ゲームユーザーのうち「大会シーンを知らない・興味がない層」というのがそこそこの割合で存在し、興味のある層の中では「出場欲のある集団(選手集団)」と「観る専門の集団」が多くを占めるためです。

それでは、運営仲間を集めるためにはどうしたらいいのか。新たに大会を立ち上げるときは、①SNSで広く募集する②同じゲームをプレイしたことがあり、馴染みのあるプレイヤーを誘う③過去にそのゲームで大会運営経験があり、現在は辞めているプレイヤーを誘う――の3点が現実的な選択肢となるでしょう。

中でも、②で一本釣りができればベストです。オンライン大会の運営陣はリモートで行うことが一般的ですので、ある程度の信頼性が初めからあるとないとでは大きく違います。

③は大会コミュニティをある程度把握していないと難しいかもしれませんが、大会主催者に近い自分と親しいユーザーなどから情報を仕入れ、交渉してみるのも手です。運営を辞めた理由が「多忙だから」「運営に興味がなくなったから」などであれば難しいかもしれませんが、「本来やりたかった役割を任せてもらえなかったから」「主催者と意見が合わなかったから」などであれば交渉の余地はあります。

①の場合は手軽に行動に移せますし、アルバイトやパート募集で言う「オープニングスタッフ」ですので、一から一緒に大会を創っていきたい人、という訴求ができます。その一方で、応募者はゲームの理解度や一般的なマナー、やる気の濃淡などが千差万別であることに注意が必要です。信頼関係を構築する前の入口の段階では、年齢やプレー歴、コミュニケーションに問題がないか、運営として稼働できる時間、過去にそのゲーム界隈で問題を起こしていないかなど、本人とのやり取りやSNSなどで確認することが大切です。

できれば運営入りを判断する前に、直接Discordなどで会話したり、一緒にボイスチャット有りでそのゲームをプレイしたりして人となりを確認することをオススメします。面接のように堅苦しくする必要は全くありません。同じゲームタイトルが好きないちユーザー同士、一度一緒に遊べば気が合うのか合わないのか、一緒に運営できそうか否かはある程度判断はつきます。

既に大会運営実績が一定程度あり、今後人員を補強したい場合は、①のSNS募集が効果的です。運営実績は信頼につながりますので、「自分もこの大会の運営の一員になりたい」という人の存在は運営立ち上げ時にはない強みとなります。公募の際には、どんな役割が用意されているのか、何曜日の何時から何時の時間を空けておく必要があるのか、運営として参加するメリット(こういうスキルが身に付く、運営スタッフの証となるSNSアイコン用マークがもらえる、運営一覧にクレジット表記されるetc.)などの情報もきちんと提示すると集まりやすいです。

ただ、そうは言っても複数のコミュニティ大会が乱立しており、「大会運営に興味のある集団」がパイの奪い合い状態であるゲームタイトルも多いと思います。公募と並行して行えるのが、④「各運営メンバーによる一本釣り」作戦です。

それぞれの運営メンバーには、同じゲームつながりで仲のいい人がいます。その中で、大会運営に興味がある人を探してもらい、紹介(推薦)という形で新規メンバー候補を集める方法です。運営集団と全くつながりのない応募者に比べ、既存メンバーの紹介という点では一つの安心材料になります(ただし吟味せずに無条件に受け入れてしまうのは危険です)。

大会開催期間中だけ一時的に人手が足りない、という場合は、⑤「他のコミュニティ大会運営への助っ人要請」も有効です。実際に私は、大会規模が大きくなってからはこの方法で何度も助けていただきました。

コミュニティ大会の主催者は、基本的に「同志」だと思っています。これは特定のゲームコミュニティの中にとどまる話ではなく、ゲームタイトルを超えた大きな「オーガナイザーコミュニティ」にも言えることです。主催者同士だからこそ、一度は同じ道を通り、共感できる悩みはいくつもあります。そんな時、気軽に相談できる相互扶助の関係性をあらかじめ主催者間で構築しておくと、運営はかなり機動的になります。

ゲームタイトルを超えた主催者同士のコミュニティでは、困ったときに相談し、類似の状況の打開策を聞くこともできます。

同じゲームの主催者間では、大会の開催日時が丸かぶりしてしまえば出場選手や同時接続数を奪い合う競合となってしまいますが、横の連携をしっかり作っておけば、事前に開催日時の調整もできるようになります。参加プレイヤーや視聴者にとっても、大会シーンを楽しむ機会が増え、まさに理想的なWIN-WINの関係となります。

既にある程度大きなコミュニティ大会があるゲームタイトルでは、大会主催の新参者は緊張するかもしれません。私もかつてはそうでした。それでもまずは少しずつ開催実績を積み上げて、コミュニティの認知を広めていきましょう。頃合いを見て、「開催日程の調整の相談」などを理由に含めながら他のコミュニティ大会の主催者をゲームに誘い、一緒にプレイしながら仲良くなることが、運営の機動力を高める大きな武器となります(戦略的な視点だけでなく、大会運営ならではの悩みや愚痴などのトークをしながら遊べることは単純にとても楽しいですよ)。

もちろん、ギブアンドテイクの精神が肝要ですので、他の主催者から協力を依頼されたときはできる範囲で協力することも重要です。

まとめると、これから新たに大会運営組織を立ち上げる際は、

①   SNSで広く募集する
②   同じゲームをプレイしたことがあり、馴染みのあるプレイヤーを誘う
③   過去にそのゲームで大会運営経験があり、現在は辞めているプレイヤーを誘う

以上3点で運営メンバーを募集していく。

既に一定程度の開催実績があり、さらに大会規模を拡大していく際の人員補強策は、

④   各運営メンバーによる一本釣り(推薦)
⑤   他のコミュニティ大会運営への助っ人要請


以上2点も加えて行うといいでしょう。

なお、「大会運営に慣れているから」という理由で、他大会の運営メンバーを直接誘う行為は、仮に個人的に仲が良い関係であっても慎むべきです。大会運営は当日だけではなくその前から様々な準備が必要になります。掛け持ちでの運営は基本的に難しいので、そのスタッフが所属している運営主催者に筋を通さずに直接勧誘すると、思わぬトラブルになる可能性があります。せっかくの主催者同士の横の連携も構築が難しくなってしまう危険性があるため、自分だけでなく④の施策を行う際は各メンバーにもその点をしっかり周知しましょう。

メンバーが集まれば、いよいよ大会の企画に移ります!

いいなと思ったら応援しよう!