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水の中における女性美

古来より、女神は崇められてきた。
どの女性の中にも様々な女神が存在すると思う。

ときに助けられ、励まされ、癒やされる。
美や繊細さから得られる力を信じている。

数年前、好きな絵画作品のジグソーパズルに夢中になった。

水蛇Ⅰ
Water Serpents I

世紀末ウィーンを代表するオーストリアの画家グスタフ・クリムトが、1904年から1907年にかけて描いた作品。世紀末特有のテーマ(再生と死、愛と性)が交えてあるといわれている。好んで描いたのは、男を惑わす魔性の女たち。

この絵は、蛇と女、それらが水の中で妖しくも美しく揺らめいている。2人の女性の抱擁表現から同性愛的な印象を見出す人もいるらしい。

一般的にいわれる女神とファム・ファタルは異なる人物像なのもしれないが、私はこの2人を眺めていると、一人の女の持つ二面性を表しているように感じてしまう。

女神であり、魔性の女。
彼女を包み込む、水と蛇。
足元にはグロテスクな魚や蛸の足。
金色に輝く水草。

男を惑わした魔性の女が、あたかも女神に抱擁されているように感じる。

女神の左手首にはブレスレットが施されている。

ブレスレットの歴史は古く、紀元前3000年頃の古代エジプトに遡るらしい。今は装飾目的であるが、昔は宗教的な意味や呪術的な意味合いが強かった。

右手は左脳とつながる手で、思考や言語、計算といった行動的な行為に繋がることから「放出」の手であるらしく、左手は右脳とつながる為、イメージ・ひらめきと言った精神的な側面やスピリチュアルなエネルギーを「吸収」するらしい。

このことから、自身の内なる女神の左手によって、過去の念が吸収されていく女が、水の中で揺らめく蛇の様な情緒と共に癒やしを得ていると解釈してしまった。

「水の中における女性美」が教えてくれたこと。

女が自らの神性さをもって自身を癒やす。
そんな姿に、人は官能を覚えるのかもしれない。