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2022年6月18日②

今日のココ日(ココルーム日記)

釜芸に長期滞在中の通称コビー。

自他共に認める古着マニアで、古着に対する情熱と知識がハンパない。

今日は仕事がお休みだったコビー。

釜芸のバザーに繰り出して、整理しながら品定めを始めた。

時々気になるものを発掘しては写真に収めていたが、しばらくして何本かネクタイを持ってボクたちのところにやってきた。

「ちょっとヤバい感じの何本か見つけちゃいました。」

そう言って本間にブックカフェのカウンターに持ってきたネクタイを並べる。

確かに素敵なデザインではあるが、いったい何がヤバいのだろう。

コビーは左から順に説明を始めた。

「これ、イヴ・サンローランのデザインなんですけど、日本製なんですよ。ものはすごく良いです。」

「へぇ〜、そうなの?」

「次のやつもヤバいです。クリスチャン・ディオールの80〜90年代のです。タグの形が違うんで分かるんですよ。裏地全体にも丁寧にブランドのロゴが入ってて相当モノが良いですよ。」

「ほぉ〜。」

「それからこれ、ハッキリ言ってヤバいです。バーバリーなんですけど、よく見るとタグに書いてあるブランド名がバーバリーズって最後にSが付いてるバージョンなんですよ。これが貴重で、マニアの間ではSが付いてるバーバリーばっかり探してる人もいるんですよ。」

「ほぇ〜、そんなん全然知らんかったわ。この最後のやつもヤバいの?」

「いえ、これは大してヤバくないんですけど、バーバリーのライバルブランドってことで面白いかなと思って一緒に持ってきました。」

「知らんがな…」

「それで売り値なんですけど、いくらにしましょうか?ネクタイって今全部300円で売ってますよね。それだとだいぶもったいないと思うんですよね、こいつらほんとにヤバいんで。」

「そうだよねぇ、そんなに良いモノだったらもっと高く値付けしてもいいかもね。」

ボクは、コビーによる熱のこもったプレゼンを思い、そこまでマニアが欲しがるものだったら最低でも1500円くらいかな、と頭の中でそろばんを弾いていた。

その瞬間、一緒にコビーの解説を聴いていたスタッフのゲンちゃんが言った。

「思い切って2倍の600円でいこう!」

「えーーー!思い切ってるのに600円?!」とボクは思わずコビーの反応を見る。

「ですね、600円にしましょう!」コビーも続く。

「えーーー!!キミもあんだけヤバいを連発してたのに!!」

釜ヶ崎プライス恐るべし。

(書いた人:テンギョー)



今日のココイチ(ココルームの一枚)
釜のからくり博士、大学生たちの受けるワークショップに興味津々。
扉を閉められても「聞いてみたろか」と壁に耳あり。


現在、ココルームはピンチに直面しています。ゲストハウスとカフェのふりをして、であいと表現の場を開いてきましたが、活動の経営基盤の宿泊業はほぼキャンセル。カフェのお客さんもぐんと減って95%の減収です。こえとことばとこころの部屋を開きつづけたい。お気持ち、サポートをお願いしています