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2022年8月21日
今日のココ日(ココルーム日記)
今日の午後にお客さんとしてやってきた大学院生さん。
ココルームの活動に興味があり、釜芸でインターンをやってみたいと言ってくれた。
さっそく夜のまかないご飯の準備を手伝ってもらう。
武道をずっとやっているという院生さん。
大学になって始めた合気道は現在二段の腕前らしい。
それを横で聞いていた釜ヶ崎の伝説の活動家・ミノルちゃんが目を輝かせて言った。
「俺小さい頃からずっと合気道やりたかったんだよ!周りに教えてるところが無くてなぁ、諦めたんだけどもね。というわけで、ぜひ教えてください!」
院生さんは、まさか目の前のオッチャンが、長く釜ヶ崎の労働者の権利獲得のために闘ってきたリビングレジェンドとは露知らず、「もちろんです!一緒にやりましょう!」と元気に返事をした。
院生さん「どんなことから始めましょうか?」
ミノルちゃん「やっぱりまずは受け身からかなぁ。合気道は板の間でやるの?」
院生さん「畳が殆どですけど、板の間でやる時もありますね」
ミノルちゃん「畳やったら釜ヶ崎にはいくらでもあるからなぁ。袴は穿くんか?」
院生さん「足の動きを相手に見られないために穿きます」
ミノルちゃん「ほう!見られないと言えば催涙弾な、あれはホンマに目が開けられんようになるんやで。俺が食らった時はメガネ着けてたから多少は平気やったけどな。メガネが真っ白になってな」
院生さん「はぁ…そうなんですねぇ。(催涙弾?)」
ミノルちゃん「放水銃なんかもな、痛いでぇ。水にそういう薬品混ぜてるからな」
院生さん「えっと、、(放水銃ってデモ隊鎮圧とかに出てくるやつ?)」
ミノルちゃん「やっぱりな、一番肝心なのは無駄にイキがってるやつの不毛な争いに巻き込まれないことやな。その場から逃げられるんなら逃げるし、たとえ逃げられなかったとしても、なんとか相手の攻撃を凌いで凌いでしてるうちに相手も疲れてくるからな。そこを説得したりして、相手のやる気をうまく削ぐわけや」
テンギョー「あのー、これは一体なんの話をしてるんでしょうか?さっきから合気道の話全然出て来ないんだけど」
院生さん「でもミノルさんの仰った無駄な争いを避けるというのは、まさに合気道の基本でもあります」
ミノルちゃん「ただな、弱いチンピラほどイキって手ぇ出してきよるからな、そういうのがややこしいねん。そういう輩に絡まれてどうしようも無くなった時のために合気道で何か良い捌き方とかあったらな、教えて欲しいと思ってるんだけどね」
院生さん「なるほどぉ、まぁそういう時はこの手首の…」
ミノルちゃん「やっぱりな、そういう時は、相手の様子見ながら「どうした、腹減ってるんやろ。飯でも食いに行こか?」って言うて飯を食わしてやったらええねん。その後は「酒でも飲んだらどうや」ってチューハイを買ってやったらすっかり大人しくなりよるけどな」
テンギョー・院生さん「あなたには合気道は必要ありません!卒業!」
(書いた人:テンギョー)
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