たいがい大笑いしている
あ~さ~さんと話をしてみた。実はかまぷ~どうしでサシでじっくり話をしたことはほとんどない。しょうゆさんが本名なのかどうかもわからない。小川さんのモヒカンが今日何色なのかも知らない。あ~さ~さんがいつ最後に散髪したのかも知っている人いますかー?という感じだ。秘密にしているわけではなく、過去のことをねほりはほり聞かないのが釜ヶ崎の礼儀であるのと似ているのかもしれない、昔語りをねだりあうことはあまりない。
あ~さ~さんが釜芸で一番感銘を受けたのは”詩の講座”だという話を何かの折に聞いて、「わっ!わたしも!」と思っていた。そのエピソードと感銘を受けた理由は、聞いてみると当然それぞれの受動体で異なっていたけれども、話していて重なる部分があることも気づいた。というよりは、重なる部分の存在にはずっと前から気づいていたんじゃないか。かまぷ~を続けているのは、その重なる部分が下支えしているに違いない。
“詩の講座”は自分で自分の見えている世界や自分の内面を表現するのではなく、自分の語りをもとに他人の視点と表現で詩をつくってもらう。次には交代して、他人の語りを聞いて他人の物語の詩をつくる。釜芸は一人で学びを追究する場ではなく、人と人が関わりあってなにかを表現することがほとんどだ。
釜芸で表現されたものはとても自由に見えて彩りが豊かで、時には突飛に感じることもあるけれど、複数の人が共同して一緒につくるので、必ずやわらかな気遣いを経て表現されているんだろうと思う。その証拠に、わたしはココルームや釜芸でたくさんの人と出会って関わりあっているのに、一度も心が傷ついたということがない。みんなの気遣いが、気遣いが標準装備の場をつくり、わたしは安心してそこに行けているように思う。
釜芸に行くと必ずと言っていいほど、新しい人との出会いがある。そして、たいがい大笑いしている。大笑いも多彩な表現も、その心地よさを支え続けてきたことを敬服し、感謝し、享受しているわたくしはかまぷ~4年目で、かまぷ~を楽しんでいる。
2020年釜ヶ崎芸術大学パンフレットより再掲
江藤まちこ(間の人)
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