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不妊治療中に強い不安、心配に襲われた時

2022年4月から不妊治療が保険の対象となり、悩みを持つ様々な夫婦の選択肢が増えました。しかし、その分「不妊治療のストレスで悩む女性」が増えたのも事実です。この記事では、不妊治療に伴うストレスをどう受け止め、どう向き合っていくのかについて一緒に考えていきましょう。



私だけ不妊治療にストレスを感じているの?

日本には、約2,900万組の夫婦(夫婦共に日本国籍)がおり、不妊治療などを受けたことがある夫婦は、最近の調査では「全体の4.4組に1組」の割合になっています。1)

その内、「妊活中の女性がストレスを感じた割合」は87.9%で、約9割の女性が「ストレスを感じながら治療を行っている」ことがわかります。2)

まだ見ぬ可愛い赤ちゃんに会いたい一心で頑張っていても、終わりの見えない不妊治療に高額な費用、「友達の妊娠を素直に喜べない自分に嫌気がしてしまう…。」などと思っている方も、多いのではないでしょうか?

〈1〉不妊治療中の3つのストレス対処法

不妊治療は、特に女性の精神的・肉体的負担が大きいため「ストレスが常に付きまとってしまう状態」だと言えます。このストレスを軽減し、向き合っていくためには、以下のような対処法が効果的です。

①楽しいことやリラックスすることをルーティンにする

あなたが楽しいと思える瞬間は、どのような時でしょうか?
例えば、「起床後は温かいココアをゆっくりと飲む」「月に数回は好きな物を買う」「趣味に没頭する」など、心地良いと感じる時間を自分にプレゼントしてあげることが大切になります。3)


②涙活(るいかつ)をする

映画を観たり、本を読んだりして意識的に涙を流すことを、「涙活」と呼びます。

無意識に出る涙ではなくても、涙活によって副交感神経(リラックスしているときに活発になる神経)が活発化されると言われています。そのため、睡眠をとったようなリラックス感を得ることができるのです。

また、涙活は幸せホルモンと呼ばれるセロトニン(ストレスに対抗できる脳内物質)を活性化することも可能になります。4)



③マインドフルネス瞑想をする

瞑想は「心を鍛える」ために有効で、過去でも未来でもない「今という瞬間を見つめる方法」として注目されています。5)
瞑想は、約2,600年も前から仏教の教えの中で取り入れられてきました。

生理学的に「瞑想をすることで起きている心身の変化」は不明でしたが、約20年前に脳内をリアルタイムで視ることができるfMRI(機械的時期共鳴装置)などの医療測定器によって、瞑想の効果が科学的に証明されたのです。瞑想の効果としては、次のようなものがあります。

  • 集中力が上がり、ポジティブになる

  • 「幸せ」を感じやすくなり、充実度が増す

  • ストレスレベルが減る

  • 自分にも他人にも思いやりを持つことができるようになる など


〈2〉妊活うつについて

不妊症と診断され、不安や孤独などの感情に襲われるストレスレベルは、「がんと診断された患者さんが持つストレスレベルと同程度」だと考えられています。

そのため、上記で紹介したストレス対処法を行っても、なかなか心がスッキリしない場合も多いかもしれません。

多くの女性が妊活うつと呼ばれる症状に陥る可能性も高いと言われています。妊活うつの症状の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 「嬉しい」「楽しい」などと思えない(感じない)

  • 妊娠を焦る気持ちが止まらなくなってしまう

  • 「死にたい(消えたい)」と考えてしまう

  • 寝つきが悪くなったり、眠れなくなったりする

  • 友達や他人と比較してひどく悲しくなる など


※なお、妊活うつという診断名はなく、妊活中または不妊治療中に心身の調子を崩して、日常生活を送ることが困難になった際に、妊活うつと呼ばれることがあります。

妊活うつの治療方法とは?【薬物療法以外の選択も】

妊活うつは、めずらしいことではありません。そのため、不安や心配が強すぎる場合は、妊活うつに陥っている可能性を頭に入れておきましょう。その際は、適切なケアを受けることが重要になります。

①現在通院している産婦人科の医師に相談する


妊活うつになる方は少なくないため、産婦人科の医師も理解をしてくれるケースが多いです。自分自身の気持ちや治療内容をふまえて、医師と「不妊治療・妊活うつ」の治療方針を決めていくのも、1つの方法だと言えます。


②精神科か心療内科を受診する

うつ症状の重さによっては、現在通院している産婦人科で適切な治療を受けることができない場合もあります。そのようなときは、精神科や心療内科に相談してみましょう。

【精神科と心療内科の違い】
精神科:
心の問題などが原因で、「精神症状が現れる病気」を治療する診療科

心療内科:
心の問題が原因で、「身体に症状が現れる病気」を治療する診療科

【治療】
必要であれば薬物療法を行いますが、「妊活しているのに、薬を飲んで大丈夫なの?」と思う方も多いはずです。しかし、現在は子どもや妊婦へ影響がない薬もありますし、TMS治療(磁気刺激治療)という方法もあります。不妊治療を受けていることを伝えた上で、医師と相談して選択してください。7)


③カウンセラーなどへの相談

なかなか結果が出ない不妊治療中は誰かに相談することも大切です。
でも、会社の人や友人には相談しにくい場合もありますよね。
そんな時は、専門の窓口やカウンセラーに相談するのがおすすめです。

相談先やカウンセラーの種類については以下をご参考ください。


④不妊治療を休憩する

一度思い切って不妊治療を休憩し、「もう心身ともに大丈夫」だと感じてから、治療を再開するもの1つの選択肢です。ホルモン治療の副作用が落ち着いてきたり、ストレスの原因から離れたりすることで心が穏やかになる場合もあるので、検討してみても良いでしょう。


まとめ


不妊治療中には、「自分にふさわしいストレス対処法を探す」「辛いときは立ち止まって休憩する」「妊活うつの場合は適切な治療を受ける」ことを心がけましょう。自分の気持ちに嘘をつかずに現在の気持ちと向き合い、【自分の心の状態を知る】ことが重要です。


1)国立社会保障・人口問題研究所 出生動向基本調査
2)厚生労働省「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」
3)精神保健福祉士・社会福祉士/コラムニストの久木田みすづ 不妊には心理的問題もあった!女性のストレスを癒す方法について
4)せたがや内科・神経内科 自律神経のしくみ②:交感神経と副交感神経
5)MindfulnessProject
6)不妊治療のうつとストレスについて
7)そよかぜ病院 心療内科と精神科はどう違う?


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