雨のあと
風もなく、静かに降る雨が好きです。
そんな雨のあと、森に行くと、
そこには、静寂があります。
「音がない」を聴くのが、
とても好きです。
今年も、暑い、異常にあつい夏でした。
雨はほとんど降らず、
じりじりと焼けつくような太陽に照らされ
カラカラに乾いてしまった大地。
9月下旬になって、やっと、まとまった
雨が降って、白っぽくなった土が、
しだいに黒々としてきました。
やわらかな土に落ちた枯葉も
こげ茶色になって、湿った土の匂いに
さらに、変化をつけているようです。
雨に濡れた枯葉や、やらかくなった土は、
周囲の音を吸いとってしまうのかも
しれません。
そんな地面に目を向けると、
ふんわりとした土から、
キノコがたくさん出てきています。
押しつぶされそうになりながら、
赤い実をつけた
サンザシの枝もありました。
春に白い花を咲かせ、
夏の暑い日差しを浴びて、
秋に赤い実をつけたサンザシ。
そうして、次へとつなげていく姿。
朽ちながら、周囲に多くを差しだし、
周りの命とつながる姿。
自然の中の時という縦のつながり、
場という横のつながりに、
大きなものを感じます。
Reiko
満月が西の空に沈んでいくのを見た日に。