やっと伝わった!お母さんから娘さんへの思い
とても興味深いお話をお聴きすることができました。書いてもよいとのことでしたので、そのお話をしたいと思います。
突然泣き出した娘さん
沙知さん(仮名)は、中学3年生の娘さんと小学校6年生の息子さんを持つお母さん。沙知さん自身は、3人兄弟姉妹の末っ子です。
沙知さんの子供さんたちへの思いはとても強く、いつもお話をお聴きするたびに、深い母の愛を感じます。
ある日のこと、それまで良かった娘さんの成績が急に落ちたそうです。翌年の受験を控えて、このままだとよくない。そう思った沙知さんは、娘さんに、もうちょっと真剣に取り組まないといけないんじゃないのと話したとのこと。
その話をしている途中で、娘さんが急に泣き出したのだそうです。
沙知さんは、お母さんに成績が悪かったことを言われて泣いている感じじゃないなと直感。
普段からあまり自分のことを話さない娘さん。
沙知さんは、なんかわからないけど、その時に泣いている娘さんの思いを聴き出さないといけないと強く感じたのだとか。
泣いているそのわけは
いつも娘さんのことを思っている沙知さんは、1人でこころの中に持ったままだと余計にしんどいから、なんとか出させてあげないといけないと思ったそうです。
「お願いだから、今、なんで泣いているか話して。なんでもいいから、怒らないから。なんでもいいから話して」
そう言う沙知さんに、娘さんは、ヒックヒックしながら。
「すごい心配だった。今まで成績が良かったのに、急に落ちたから、どうしていいかわからなくて。不安で怖い」と話してくれたそうです。
「そう思っているんだったら、なんかできることはあるから。言ってくれて、ありがとう。いくらでも助けるし、手伝うから」と沙知さん。
娘さんの変化
沙知さんは、ちょっと強引な気もしたけど、無理矢理にでも、娘さんに本当の気持ちを話すように頼んだのだそうです。それは、何かが見えた感じがして、それを出してあげないと、そこから腐ってくるような感じがしたのだとか。
このことがあって以来。それまであまり自分のことを話さなかった娘さんは、いろんなことを話してくれるようになったのだそう。
2人でショッピングに行っても、いろいろ話してくれるし。学校でこんなことがあったとか、今までと違って、本当にいろんなことを話してくれるようになって良かった。そんな沙知さんの言葉には、安堵の気持ちが感じられました。
とてもいいお話だなぁと思ってお聴きしました。
長女のこころと母のこころ
わたしが心理カウンセリングをしていた時、不思議なくらい、ほとんどのクライアントさんが第1子長女、3歳下に弟という方でした。
夫婦にとって、初めての女の子。
それは、とても可愛がって育てたに違いないと思います。
ところが、3歳になってちょうど物心がつく頃。弟さんが生まれて、お母さんに今までのようには、かまってもらえなくなります。
3歳の女の子にとっては、「あ、愛されなくなってしまったんだ、、、」と思ってしまうのも無理ないわけです。
「末っ子のお母さんとは話が合わない。おばあちゃんとは長女同士で話が合うので、おばあちゃんは好き」と言う長女さんの話もお聴きしたことがあります。沙知さんのように、お母さんが同じような第1子長女ではない場合。どうしても微妙なところで気持ちを汲んであげられないところも出てしまうのかもしれません。
沙知さんは、娘さんにそう言う思いをさせたくないと、一生懸命でした。大切に思っているよと、娘さんに、ずっと伝え続けてきたそうなのです。それでも、娘さんはどこか「どうせ、わたしなんか」という気持ちがあったのでしょう。
ところがこの出来事で、沙知さんの思いが、ついに娘さんに伝わったに違いありません。
娘さんも、お母さんから愛されなくなったという誤解が、この時期に解けたのだとしたら。その後の人生に大きな違いが出てくるかもしれません。
沙知さんも娘さんも、よかったですね。
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