Short Story コロナの嫁と呼ばれて2
私が彼と出会ったのは
33年前の1989年の春でした。
そして細菌大学に入学した18歳若かりし日のことであります。
私は入学に関する手続きをするために大学の教務課に足を運んでいました。
そこで、彼は職員と大喧嘩をしていたんです。
旦那のコロナは大学の5年生、22歳。一年留年していました。このままでは卒業できない、もう一年分の大学費用を払って残りの単位を取るようにと言われていたのです。ごく当たり前のことのように私は思っていましたが、彼は納得できない様子でした。
後に知ったことですが、
彼は生まれながら特殊な能力を持っており、
彼が思う力を細菌に反映させ、それを周囲の人達に感染させることが出来たのです。
当時は今ほどの力は持っておらず
親類、友達くらいまでに細菌を繁殖させる力の程度でした。
その力を持ったせいで彼は大学の人間から煙たがられていたのです。
そして、親や友達も彼から離れていってしまいました。
ちなみに、彼がどんな力の細菌を持てるのかと言う点ですが、彼の中である一定の感情、悲しい、悔しい、辛い、何らかのマイナス感情が爆発的に強くなると、世の中に蔓延するレベルの感染力を持つウイルスが誕生してしまうのです。
かなりの厄介者である、コロナ。
旦那は口も達者で当たりも強いヤツだし、
基本亭主関白っていうんでしょうか。
自分の思い通りにいかないことがあると私に八つ当たりしてくることもありました。
悪いことばかり言ってしまいましたが、本当の彼は優しいのです。
大きいマイナス感情に飲み込まれるまでは。
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