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『回顧録 第一章-完全盤- / KISAKI PROJECT feat.樹威』レビュー

1.中絶

コロコロしたシンセ音、赤子の鳴き声と鼓動のようなリズム。不安を感じさせるような雰囲気かと思いきや、どこか暖かく、むしろ心地良ささえも感じてしまう導入部分。
柔らかく綺麗な樹威さんらしい歌い方の1番は
白系や耽美系の雰囲気に。サビになって力強い歌唱へ変化しています。
1番が終わるとまた頭の雰囲気に戻り、V系らしい美しいギターソロが始まります。この音源はギターでZephyrのシノブさんが参加してらっしゃるので、「久遠の月」に近しい様な、メロディアスなギターフレーズが堪能出来ます。

囁きパート後、2番に入ると一気に雰囲気が変わります。ツタツタドラムにシャウト混じりの歌唱。終わりに向かうにつれてどんどん歌い方が荒々しくなっていきます。ですがその激しさの中、この楽曲は最後まで美しさが完全に掻き消えることはありませんでした。これがダークさと耽美さを併せ持つ「名古屋系」へのリスペクト、そしてKISAKI PROJECTの持つ「色」かもしれません。

2.I.D.

あくまで個人的な意見ではありますが、私の中ではこのI.D.が1番クオリティが高く、楽曲としての完成度が高いものだと思っています。
本家MIRAGEでも20年の時を経て「BIOGRAPH」に収録されましたね。MIRAGEはコテ系のバンドなので、バンドの特色を活かしたものとしては上記音源に収録された声に色々エフェクトを掛けたコテっぽさもありながらデジタル加工も使って新しさも感じられるAKIRAさん歌唱のものが世界観的にマッチしてると思ってます。完全版以前の回顧録もAKIRAさんが歌唱担当でしたが、最新のMIRAGE版はそちらの音源を進化させたもののような印象ですね。

私は回顧録(完全版)の樹威さん歌唱のものが初めて聴いたI.D.で、初めて聴いた時率直な感想として「なんて美しいサビのメロディなんだろう」と思いました。今回のアレンジは本家MIRAGEとは異なり、声にエフェクトを乗せすぎず、樹威さん本来の歌声を活かしたアレンジの楽曲となっています。それにより、本来のメロディの美しさが際立って聴こえるんですね。
サビの1番キーが高い部分を素直に聴かせることによって、素直に美しい楽曲に。歌とメロディ・キーボードの音を目立たせることによって実質白系のように。ですがそこに本家のMIRAGE版のトランス系なアレンジも加え、
白さのあるデジタルサウンドという後期Laputa辺りと近しいアプローチで、私が喜んで連続再生する楽曲の出来上がり。どうもありがとうございました。

3.White period.

初期La’cryma Christiのレアな白系満開ガチ名曲のカバー、良くこの楽曲を選んでくれた!どうもありがとうございます!と何度もこの音源の制作陣に感謝申し伝えたいところでございます。個人的この楽曲が現時点で回顧録最強、というかキサプロ最強曲だと思ってます。人の曲なんですけど(笑)

初めて聴いたのが知り合いの方の車の中だったのですが、あまりにも良過ぎたせいで人の車の中でパニクり、パニクったせいでホワピリだとすぐに気付けずサビで全てを理解し(アホ)、気付いた後に「ラクリマのホワピリのカバーとかあるんだ…」などと言い、早口で爆褒めし、聴かせていただいたことに対してその方に感謝し、その後に速攻音源を購入しました。

↑ここ自分語り入ってるので読んでも読まなくても大丈夫です。

まず頭っからどう転んでも白系にしかならない氷のような、クリスタルのようなキラキラしたシンセの音色から脳が停止します。
その脳が停止した私のことなどお構いなく、キラキラシンセの後に突然疾走感ドラムが加わり、好きな音しか存在しない世界に突然投げ込まれて脳内は【HEAVEN〜宇宙空間〜】へ転送されてしまいました。これに加えて美し過ぎる樹威さんの歌声と大好きなシノブさんのギターです。𝑩𝑰𝑮𝑳𝑶𝑽𝑬──────────

なんかよく分からないんですけど、KISAKIさんは私のためにメンバーを集めてこの曲をカバーしたのか?と錯覚してしまいそうになりました。それかワンチャンKISAKIさんの美しいと思う感性が私と同じである可能性がかなり見えてきました。またこういう音源出してくれませんかね?

気を取り直して他の注目ポイントも書いておきましょう。完全版以前のホワピリはオルゴールのレイさんが歌唱していました。こちらは本家のTAKAさんの歌い方にかなり忠実で、これはこれでとても好きな音源でした。完全版の樹威さんはかなり本家で癖のあった部分をストレートに歌っており、かなり樹威さん色が強く見られます。
違う曲に聴こえるとかでは全くないのですが、原曲のホワピリはこちらの調べによると1994年あたりの曲のようなので、音使いやボーカルの声質から「2009年のホワピリ」(1986年のマリリンみたいになってしまいましたが)といった雰囲気が良いんじゃないでしょうか。
アウトロ前に入る樹威さんの吐息が本家とレイさん版にはない部分で、冷たい中白い息を吐くような、どこかほんのりと色っぽさも感じられるような雰囲気が綺麗な楽曲とマッチしていてナイスアレンジ!


4.Midnight Promise (strings version)

ボーナストラックです。これぞキサプロ!といった感じのらしさ満開のバラード調の楽曲です。タイトルの綺麗な単語を並べた感じもキサプロっぽいですよね!(語彙力無くて適切な語彙が思いつかなかっただけでバカにしてる訳では無いですからね!?)素直に本当のことを話すと恐縮ながら上記の3曲で満足してしまい全然ここにたどり着けず、マジで過去2回くらいしかfullで聴いてませんでした。

申し訳なくなって改めて聴いてみました。うんうん、本当にこれぞまさにキサプロのバラードだ!と言った感じの楽曲!!(語彙力)(キサプロ沢山聴いてる人には伝わると信じてます!)寝落ちする前に聴いたら安らかな気持ちで眠れそうです!キサプロのバラードを聴くタイミング、なんか無性に不安を感じて眠れないって時に子守唄的な感じで聴くのが個人的にはベストかもしれないって思いました。樹威さんの暖かな歌声が心地よいですよね。落ちサビのキラキラ効果音、やっぱりこういうのが好きです。

まとめ

最近色んな音源を買いすぎて聴いている音源の偏りが凄いですが、このCDは安定して定期的に再生してます。そのくらいには好きでおすすめしたい音源です。そして有難いことにこの音源はサブスクが解禁されてます。破産気味の人にも救いがあり良いですね!

そして音源買った当時はそこまで知れてなかったコトですが、1曲目のドラムはヴィドールのテロさん、ギターにはEzeːquLや現unknown:REの玖蘭が参加されてますね。関西オールスターズ感あります。(小並感)知識が増えた今さらに熱いメンバーだと感じました。メンバーも豪華ですしアレンジも素晴らしい出来映えとなっているので是非一度は聴いていただきたい音源であります!


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