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『愛の美学』 Season2 エピソード 5 「愛の素因」(2531文字)

前回は、「愛の象限」について、こころの立体モデルから、還元的手法を使って基本四象限を概観してみた。

『理の面』の身体、『知の面』の尺度、『感の面』の活力の部分に「自己側」という側面を見出せた。

一方、『理の面』の心理、『知の面』の表現、『感の面』の知力の部分に「他者側」が見出せた。

それぞれの側面アスペクトを平面的に見ると自己側という側面と他者側という側面が現れる。これは、『理の面』『知の面』『感の面』という三つの側面によって生み出される、自己と他者の基本的な見立てである。

1)愛の素因は中央の「5」にある


さて、今回は『愛の素因』について語る。素因は「5」に関与する。東洋思想では、五行という概念があり、5つから成る要素にまとめられている。よく知られているのが、「木火土金水」や、五臓の「肝心脾肺腎」などである。

また、あまり知られていないが、素因は5番目が一つになる「4+1=5」というシステムがある。これは「ペンターブシステム」とも呼ばれるが、4つがまとまりとして新たな「1」を生み、全体で「5」としてまとめられるものだ。

「木火土金水」も、五行としてまとめられているが、一方で「ペンターブシステム」の解釈に近い『土王説』がある。

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上図のように、「土」を中心に据え「木火金水」が取り囲むような理論である。季節ごとに「土用」という期間があるのはご存知だろうか。

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一年の四季折々に「土用」という期間が存在する。夏の土用は、ご存知「うなぎ」を食べるので有名だが、その他にも実は、「土用」の期間が四季折々にある。

立春、立夏、立秋、立冬の前17日間を「土用」とし、それを中央の一つにまとめるとした理論が「土王説」である。

これは、数秘術にも使われている。4つをまとめて1つをつくり、つぎの4つの纏まりの中に組み込まれていく。

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このように、4つの物が集まって、新しい「1」を形成するシステムだ。

じつは、人間の手の骨の数もこのようなシステムで説明できる。

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話を元に戻すが、これまで触れてきた「自己側」と「他者側」の二つの正四面体がカップリングした構造の中央部分に、非常に重要な「位置」がある。

私たちはここから、全てのつながりを意識し、また、意識そのものがそこから生み出されている。そのことを理解するために、この中心を探索する。

したがって「5」の「位置」は極めて重要な「場所」なのである。私たちの意識の「場所」であり、それは、「愛の素因」になっている「場」である。

「素因」は中央の「ペンターブシステム」が開かれたときに、同時に意識変化をもたらす。

これは、中心というパラダイムに到達することを意味しており、同時に中央から内部への意識の変遷を見出す。そこは、愛の入り口であり、また放出される「場」である。

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上図の黄緑色の正四面体は自己側に、頂点の一端を向けている。前回表示した自己側が常に自分に向いている視点だ。

これと次に掲げる図でもう一歩踏み込んだ解釈をしていく。

中央の「場」を意識するには、「4」の上の意識、つまり「5」が必要だ。これは、次元命題と絡んでくる。

これから説明するように、「4次元」でわれわれは内部の意識を見出す。しかし、同次元の意識では、その観察はできない。

次元の話;そもそもはじめは点(0次元)から離れないと「点」は観察できない。また線(1次元)も離れてはじめて観察できる。平面(2次元)も面から離れると観察できる。同様に立体(3次元)も離れると観察できる。立体(3次元)も同様だが、ここからの次元上昇の視点は「内部」へ移る。内部の視点を持ち得たとき、既にその視点は内部構造の把握を探り出している。それが「5次元」の視点、内部の展開であることが分かる。つまり、『4次元』で新たな視点が出現することを意味している。それは、自分の視点以外の他者の視点であり、視線だ。それが次の図である。

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自己側と他者側がカップリングした構造に、それぞれの視点から放出される視線を模式的に表記した。上図の赤青緑の実線が自己側からの視線眼差し、点線は視点の動きである。

2)自己と他者の視線「X」


次に、この立体モデルを念頭に入れた上で、再度還元した平面モデルとして見比べてみて欲しい。

このように立体モデルの側面にできる「X印」(つまり、自己側から見える立方体の三面から見える「X印」)からの視線が、客観的他者視線となる。


「青」は『理の面』に投影された客観的他者視線。実線が自己視線、点線が他者視線である。

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「赤」は『感の面』に投影された視線。

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「緑」は『知の面』に投影された視線。

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これらの視点は、すべて自分を蚊帳の外に置く視点ともいえる。私たちはこの視点で物事を見るように生きているし、教育されている。

つまり、宇宙の中にある小さな太陽系に土塊のように存在する「地球」という星に棲む自分、のような意識である。この意識には、自分は入っていない。つまり他人ごとのような意識の視点なのである。

幾何学的には、これは、√2の時のように結構簡単に解釈できる。4の象形的カタチの意味は、3つの「X(赤、青、緑)」+「1」=4。つまり下の図のようになる。

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そして「1」は自らの視点から伸びる視線(上図では黄緑の矢印)。

周囲の立方体を外して見ると下の図形のようになる。

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さらに、4+1の「1」は他者視線へ延びる視線と他者視線そのもの(上図では紫色の矢印)が揃うことで、「5」が生じる。

他者視点の話;他者視線は、もともと「0」からあるのだが、それを認識できない状態が3次元までつづく。しかし4次元を把握するために、5次元の視点を得ることで、他者視点があることに初めて気づく。『哲学』の散歩道 SEASON2 Vol.9 『意識と次元』(4)で、数字の象形的には、5は2の裏返し、2は他者視点の気づきと関連していることに触れた。5は他者の1視線を加えることを意図している。

4次元の理解は、同じ次元からでは解決できない。つまり3次元の解釈は4次元空間認識を必要とするように、4次元の理解は5次元空間認識をもつことで解決する。

さて、つぎは5次元世界から生み出される、意識的な「場」についてお話していこう。「愛」の話は奥行へ進む。


つづく








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