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保育士不足解消を阻む温度差—ヒヤリングで分かった現場と行政のギャップ
今日は、保育士不足の問題について、私自身が感じた「温度差」をお伝えしようと思います。自治体と現場 ― つまり保育施設の経営者 ― がそれぞれどのように保育士不足を実感しているのか、実際に複数の自治体と保育施設を訪問し、ヒアリングを行った結果、明らかになった現場と行政のギャップについて、具体的な事例を交えながらご紹介します。
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なお、ここでの事例はあくまで問題提起のためのものであり、特定の自治体を名指しで非難する意図はなく、具体的な自治体名は伏せさせていただいております。
現場で感じた行政とのギャップ
【自治体A】「新規開園がないから保育士不足じゃない!」
近年、新規施設の開園が減少していることを背景に、「保育士不足は落ち着いている」と自治体の担当者は発言しています。確かに、1施設で10~20名といったまとまった採用はなく、数字上は保育士不足の深刻さが和らいだように見えるかもしれません。しかし、実際にその自治体内の保育園の経営者と話をしたところ、全く異なる意見が返ってきます。
「数名が採用できない状況。コロナ前はまだ採用できたが、今は待遇や労働環境の変化もあり人材確保が難しい」
「人材の質にこだわりすぎると、保育士の確保ができません。資格さえあれば、とにかく内定を出すしかない状況です」
「本来は使いたくないのに、人材紹介会社に高額な手数料を支払わざるを得ず、1名、2名でも採用できない現実があります」
このように、自治体側の感覚と、現場で直面している苦労との間には大きなギャップがあるのです。
【自治体B】「熱心だけど、支援がズレている」という実感
この自治体では、保育士不足解消に向けてUターン促進施策や研修制度の拡充、働きやすい環境づくりなど、様々な取り組みを進めています。担当者は「他の自治体と比べても多彩な施策を実施している」と自信を持って説明していました。この自治体でも「以前より不足感は薄れている」と話しています。
しかし、同じ自治体内の保育施設の経営者はこう語ります。「近隣市よりはお金が出ているものの、現場で感じる保育士不足は依然として深刻。もっと保育者の育成に力を入れるべき」という本音です。現場に届くサポートは断片的で、実情として保育士不足の問題は解消されていません。
【自治体C】「現場無視の施策では成果が出ない」
この自治体は、新聞などのメディアで「移住してきたのに保育士不足で保育園に入れない」という事例がたびたび報じられています。
一定の取り組みが見受けられる一方、地域の保育施設の経営者に話を聞くと、「自治体の担当者は自分たちで何とかしようとするため、現場からの声―新しいアイディアや柔軟な施策―には耳を貸さない」という意見がありました。現場のニーズに応じた施策でなければ、結局、問題は解消されないのです。
【自治体D】「保育士不足解消へのリーダーシップ」
ごくまれに、現場支援に極めて熱心に取り組む自治体も存在します。こうした自治体は、アンケートのような定量分析ではなく定期的に現場のヒアリングを実施しています。保育士不足の原因や現場の課題を正確に把握しています。そして、その分析に基づいて、新たな具体策を率先して提示・実施することで、他の自治体の模範となる先導的な役割を果たしています。実際に効果が現れ、保育現場の改善に大きく寄与しているケースも見受けられます。
【自治体X】「嫌気がさしてしまった自治体…」
一方、いくつかの地域では、保育協会からの強引な資金要求が強く、結果的に自治体がすべてをシャットアウトしてしまっているケースも存在します。
自治体からすると「お金だけ要求して、汗をかこうとしない保育経営者」という感覚です。こうした状況では、行政と現場の信頼関係が損なわれ、結果として「保育士不足の問題」に何も手が付けられれいません。
温度差が生む現場と行政の溝
これらの事例からわかることは、行政と現場の間には「温度差」が存在しているということです。両者が、同じ目的 ― 保育士不足の解消― を持ちながらも、視点や優先事項の違いから、保育士不足解消に至っていないというのが現状です。
温度差を埋めるために、私たちができること
私自身の経験から感じたのは、行政と現場の間に存在する温度差を埋めるためには、調整役が必要だということです。特に、地方議員の存在は極めて大きな役割を果たすと考えています。私たちが現場から提案をしても、自治体の担当者にあっさり断られてしまうことがあります。しかし、地方議員の先生方が現場の生の声をしっかりと政治の場に届け、調整役として働いてくだされば、事態は大きく前進するはずです。
地方議員の先生方に期待すること
現場の生の声を届ける
保育施設の経営者や現場の保育士が抱えるリアルな悩みや要望を、地方議員の先生方が確実に政治の場に届けることで、行政の政策に現場目線が反映されるよう期待しています。効果的な施策の実現に向けた調整
単なる資金援助に留まらず、現場で実際に役立つ支援策を検討し、行政内部や関連団体との対話を積極的に促進していただきたいです。具体的な解決策の共有と把握
保育士不足解消に向けた効果的な具体策を現場と共有し、自治体の取り組みに具体性と実効性を加えることで、より実践的な支援策の実現につながると考えています。
保育士不足という大きな課題は、ありきたりのアプローチでは、解決できません。効果的な一手を打つために、まず「温度差を埋める」こと。
現場と行政の双方の立場や考えをしっかりと受け止め、具体的な解決策に結びつけることが、未来の子どもたちのために必要な一歩だと確信しています。
これからも、現場のリアルな声を大切にしながら、みんなでより良い保育の環境を作っていきましょう!
地域に合わせて具体策をお伝えしています。
上記のセミナーは終了していますが、興味のある議員の方は、個別に解説しますのでご連絡お待ちしています。
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自治体へのヒヤリングにおいて、うやむやにされ、状況の把握ができなかったという議員の声をいただきました。
ヒヤリングをシートを作成しましたので、希望の方には、個別相談の際にお渡しします。