おいらボーイ🐶 chapter 14.
やあ、元気だったかい?
おいらは元気だよ。寒いけどね。
散歩に行くときはコート着せて欲しいな。
クツも履かせて欲しいな。
おい!創!聞いてる?
無視、された。
雪降るってうわさがあるんだけど、本当?
散歩はお休みにしてくれ。
さて、先週の話をしないとね。
可愛い可愛いくり毛の子。
名前はマロンちゃんって言うんだ。トイプーだ。
えっとね、おうちは商店街の端っこの豆腐屋さん。
似合わないよな。豆腐屋って顔じゃないんだ。
美容院とか、洋服やとかだったら納得するけど。
まぁ、仕方ない。現実は厳しいんだ。
公園で出会って、おいらはビビッと電撃あいさつを
受けたんだ。
側に来たんだけど、おいら、上がり症だから
黙ってしっぽを振るだけしか出来なかったよ!
そこに現れたのが、ぶさいくな柴のやろう。
おいらが居るのにだよ。図々しく臭いを嗅ぎに来た。
それが、またしつこいのなんのって、ずんずん近づいて
マロンちゃんは逃げ腰だったよ。
おいら、我を忘れて「やめろ!!!」って怒鳴った。
時すでに遅し、周りの人間が一斉に振り向いたんだ。
みんなの顔が引きつってるのが分かる。
しばらく、沈黙。
創が小さい声で、「すみません、ボーイが指を噛むから」
誤魔化してるつもりなんだろ。
仕方ないから、創の指を甘噛みしてみせたさ。
「やめろ」って創も言ってくれたから
周りも納得したのか笑顔になった。
創の機転で難を逃れたってところかな。
後でこっぴどく文句いわれたけどな。
でさ、豆腐屋って分かったから、おいら毎日でも
会いに行きたくて、創に頼んで毎日豆腐を買いに行くんだ。
冷蔵庫には豆腐がいっぱい!
おいらも1/3は食べるんだ。大きい声では言えないけどさ、
飽きちゃって喰いたくないよ。
豆腐を買わなくても会える方法は無いのかな。
人間はいいよな。スマホってのがあるからさ。
おいらも欲しいよ。そうすればLINEってやつで
お話とかできるのにな。いいなぁ、人間って。
ずるいなぁ、人間って。
くそっ! 犬になんてなるんじゃなかった!!!
じゃ、また会おうな。
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