『きりこについて』を読んで
今回読んだのは、
西加奈子さんの『きりこについて』📚🐈⬛
西加奈子さんワールドの中で
すごく大事なメッセージを感じることができる作品でした🍃
主人公がぶす、という珍しい設定で、
(しかも毎回ぶすって太字なのが苦しい...笑)
彼女が猫のラムセス2世と共に成長する中で
率直に感じたことを届けてくれます。
今回は、本の中で好きだった描写と共に、
この本のメッセージを改めて噛み砕いてみます。
詳細なあらすじと私なりの意見は
その後にまとめたので、興味があればぜひに🤲🏻
当たり前だけどできないこと、に気づかせてくれる
この作品の1番のメッセージは、
「容れ物」と「中身」でできているのが自分
ということかなあ💭
どちらかに固執する必要はなくて、
「容れ物」(外見)も自分、
「中身」も自分
誰かに評価されるものでも、
世間的に決められたものでもない。
「容れ物」にとらわれないで、きりこ、という存在そのものを受け止めて欲しい。
きりこのこの言葉はすごく直球で、
心にまっすぐ飛んできました。
もちろんその人を表す言葉は大事にしたいけれど
それが不必要にレッテルになりうるんだなあと
んでまたオツなのが、
「見た目」にこだわらないきりこが最後に、
「中身」だけでなく「見た目」も含めて私なんだ、と気づいてくれることが素敵!
こんなふうに、きりこの言葉は、当たり前に大事にしたい観念を、丁寧に、直球で届けてくれる気がしました。🤝
とはいえ、自分を大事にしようとしても、
他人の目や評価、世の中の基準に逆らえずに
自分らしく生きられない人ばかりなのが現実🌒
それって本当に大事なこと?って疑問なのに
自分らしく生きる、ってのが
すごく難しいことだとも、この本では分かってる
それでも、自分の気持ちに逆らうことが自分らしく生きることを一番妨げていると
きりこの生き様や葛藤から感じることができます。
好きなことを好きなままにしている友達、ちせちゃんが、周りに理解されずに苦しむ姿を見て放つきりこの言葉...すごくすごく沁みます。
こういう、当たり前やん、綺麗事やん、って頭では理解しててもできてる人なんていないことは、もちろん論理で説明されても実践できなくて
だからこそこうやって、誰かの人生が代弁してくれたメッセージを受け取ることが、一番心に響くんじゃないかって思いました。🫰🏻
「きりこについて」どんな話?📖
メッセージだけ見るとめちゃくちゃ感動的なお話みたいに見えるかもしれませんが、設定や展開は本当にぶっ飛んでる笑
(これが西加奈子!!)
まず、主人公にぶす、ぶす、って言いまくって
そのぶすさを超丁寧に説明する本なんて
なかなかないよな〜...😿
主人公きりこは、生まれた頃からとんでもないぶすだったのですが、両親に愛されてきたことで、
自分がぶすだと認識しないまま小学生になります。
しかし思春期に入り、心が成長し始めた高学年。
きりこの初恋の相手こうたくんの一言で、クラスのみんなは「かわいい」「ぶす」を区別して認識するようになります。
こうして次第に、ぶすのきりこは男の子に煙たがられ、周りにいた女の子たちも減っていきました。
こうした変化の中でも、きりこは
「私のどこがぶすなん?」と無自覚。
しかし、ぶすな友達のみさちゃんが描く漫画の主人公を見て、自分との違いに気づき、ついに自分がぶすなのだと知ってしまいます。
ここからきりこは高校にも行かず、1日中眠り続けるように...😿
このようなきりこの変化に最も寄り添ったのは、
ペットの猫ラムセス2世でした。🐈⬛
引きこもっていたきりこは、ラムセス2世と共に
夜中に猫たちと戯れるようになります。
そんな夜行性の生活をしていたきりこですが、
近所のセクシー美少女ちせちゃんがレイプされて悲しんでいる予知夢を見て、自分も悲しみが溢れ耐えられなくなってしまいます。(急展開)
ちせちゃんは色々あって(ここは説明しづらいから読んで欲しい笑)レイプ被害を救ってもらえないのですが、きりこも共に闘う中で、
今まで「容れ物」にとらわれていたこと
自分らしく生きればいいやん!ということ
いろんなことに気づいていき、次第に心を取り戻していく、というお話です。
🌟シリアスじゃないから読みやすい!
先述した通り、メッセージの深さに対してシリアスさが全くないことが、メッセージをすっと読者に届けるのにつながっているのかなと思います。
西加奈子さん特有の癖あり表現とか、
キャラクターのリアルな描写が
よりお話を身近に感じさせてくれます。
🌟様々な登場人物を通してメッセージを届ける✉️
あらすじには書ききれなかったけれど、
この本にはたくさんの個性的なキャラクターが登場します。
美人な友達のすずこちゃん、ノエミちゃん
ぶすな友達のみさちゃん
そしてラムセス2世の友達の猫...
それぞれがいろんな個性を持っていますが、
成長していく中でそれぞれの「容れ物」と「中身」に対する見方に影響される様子が描かれています。
だから、それぞれのキャラクターがそれぞれの形で「容れ物と中身」について気づいていく(いやはや気づかず生きている)のを見ることができるので、色んな角度からこの作品のメッセージを受け取ることができると感じました。
🌟まさかの視点が「猫」🐈⬛
そして何よりこの話の肝は、きりこのペット、
ラムセス2世の視点で話が描かれていることだと思います。
視点だけでなく、
「猫は実はめちゃくちゃ天才」とか
「猫より人間が偉いってなんで?」といった
猫目線の描写がちらちらとあることで、
🐱あんたらが気にしてることって、猫からしたらまじでどうでもいいねんで。
と言われてる気分になる。人間が気にしていることがすごくちっぽけに見えてくるんだよなあ
この話は、いろんな仕掛けでストーリーに引き込ませ、気づいたらハッとさせられている...
そんな本だと思います😌
軽いようで重いようで軽い、そんな素敵なこの本をぜひ読んでみてください📚
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