忘れられない景色とか。
人は生きている中で、いくつの忘れられない景色に出会えるのだろう。
この世界に生まれ落ちて、まだ19年。そんな私にも一つ、忘れられない景色がある。本当はもっともっと、たくさんあるかもしれないけれど、今日はふと思い出したあの景色についてお話ししようと思う。
あれは中学3年生になりたての頃だった。私たちの学年は人数が多かったために、3年間最上階の教室を使っていて。おかげで毎朝、登校するたびにふくらはぎが鍛えられた。笑 みんなで「うちら、まじで3年間毎朝これ登るとか、どんまいよな、、。」とか苦笑いしながら頑張って上がってたなぁ。
そんな文句をぶつくさ言っていた私たちですが、そんな3階だからこそ見えた景色が私は今も忘れられなくて、時々見たくなります。
それは、3階から見えた桜の花吹雪。
ちょうど始業したばっかりで、桜が満開、もしくはちょっと終わりに向かっている季節だったっけ。3階だからかなり景色が良くて、桜の枝がとっても近かったんです。掃除終わりの開いたままの窓から、外を眺めていました。
すると、春特有の温かくて、でも強い風がぶわっと吹いて。その風といっしょに桜の花びらがふんわりと、それはそれは美しく舞ったんですよね。あの景色を隣で誰が見ていたのか、何人で見ていたのか。景色に圧倒されてそれさえも覚えていないのだけれど、その瞬間のあの映像だけ脳裏に焼き付いているんですよね。
あんなの、ドラマとか映画とかミュージックビデオでしか見られない景色だと思っていたから、そんな場面に遭遇できて、言葉を失ったなぁ。
その時にはもちろん感動したのだけれど、あの景色を頭の中で反芻していた時には、また別の感情が湧き上がってきました。
「3年同じ階段を登って、同じ窓から、同じ景色を見ていたはずなのに、どうして最後の一年になるまで気づかなかったんだろう、、。」
その事実が不思議で、少し残念だった。結局あの美しい景色を見たのは一度きりで。当たり前のように繰り返す毎日だと思っていたけれど、必ずしも毎日が変わり映えしないわけではないし、こんな特別なことがある日突然起こりうるというんだということを、自然界に教えられた経験だった。
桜は毎年咲く、春が今年も来るかぎり。だけど、同じ桜を同じ人と同じ場所で見られることなんて、奇跡のように特別なことで。同じ桜が毎年見られていた中学、高校時代。今思えば、あれは特別なことだったのかもしれない。
JKブランドはとっくに失ってしまった。そんな今だからこそ、あの桜をもう一度見上げたい。今なら、どんな気持ちになるのだろう。どんな思い出が湧き上がってくるだろうか。中高生に戻れない悲しさ?それとも当時の懐かしさ?大人に少しずつ近づけていることへの嬉しさも感じるかもしれない。
あぁ、母校が恋しい、あの桜が、校舎が、そしてクラスメイトと笑い合った日々が。
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