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好きの伝え方。
夏目漱石が"I Love You"を「月が綺麗ですね」と自分の教え子に訳させた話は、今では有名すぎるエピソードだろう。この逸話が原因で、月が綺麗だという、文字通りの意味を伝えたいときにも、なんだか照れが生じるのは私だけだろうか。
色々な作家さんがそれぞれに "I Love You”を訳している本とかも、そういえば出ていたなぁ。
今日はなんのお話がしたいかというと、個人的に私が素敵だなって思った「好きの伝え方」についてです。
私が解説するより前に、是非この歌を聴いてほしい。
あいみょんの「桜が降る夜は」
恋愛リアリティーショーの主題歌に使われていたりもしたので、私と同世代の人は耳にしたことがある方もいるかも?
あいみょんと言えば、まぁ言わずと知れたすごいシンガーソングライターさんなわけですけど、そんな中で私が何を語りたいかというと!
あいみょん、好きの伝え方のレパートリー多すぎ問題
この曲の歌詞を調べてもらったらわかるんですけど、直接的に「好き」ってほとんど言ってないんですよ、この歌。サビの部分でのみ「この体ごと貴方に恋してる」とはいうんだけれど、あとは好きという言葉を一度も使わないんですよ!
なのに、好きという感情がひしひしと伝わってくる、、。
その中でも、私に特に刺さった歌詞は
「でも貴方の心に雨は降らないで?」
なんと健気な思いの伝え方、、。遠回しすぎて気づかないかもしれないけれど、可愛い。会えなくても、貴方には元気でいてほしいし、毎日楽しく過ごしていることを願っている、っていう「好き」が見え隠れしてる感じ、すごく素敵。
好きな人が充実してワクワクした毎日を過ごしてくれていれば、それだけでこっちまでエネルギー湧いてくるもんなぁ、、。
もう一つ私がすてき、、って思った歌詞は
「Ah 心から思うこと 今伝えるべきなのか 考えている間に春は終わる」
いや、桜の命(咲いている間の)って本当に短くて、儚いし、自らの焦る気持ちをそんな季節の様子と重ね合わせたあいみょんのすご技よ、、。
春っていう季節自体が一瞬な気がしているのだけれど、ここ数年さらにどんどん短くなってる気がする。ゴールデンウィークとか、まだ5月なのに、もう外を半袖で歩ける程度の日差しだもんな、、。春ってどの季節よりも早いスピードで過ぎていっちゃう気がするの、あれってなんでだろう?
そして何より「桜が降る夜は貴方に会いたい、と思います」の破壊力。普段からもっと明るい系統の歌を歌うアーティストさんなら「満開の桜は貴方と見たいなって思ったの」とかそういう柔らかさ、とかピュアな感情を全面に出してくると思うんですけど、あいみょんはそうじゃなくて、散りかけの桜を、しかも陽が落ちた後の桜を見て、好きな人を思ってるんですよ、、。ちょっと影がある世界観を描くのがとっても上手なあいみょんだからこそ出てくる言葉なのかな、って思いました。
しかも「思います」っていうことで、なんか断言してない感じが、より恋愛のグレーな気持ち「好きなんだけど、うまく言えない、、」みたいな感情をうまく引き出してるな、って。
久しぶりに音楽について語った気がする。こういうのって難しいけれど、歌詞をかなり丁寧に感じたい私みたいな人としては、書いているのがとっても楽しいです。
恋愛について語ったり、音楽についてとか、ライフスタイルを紹介したりとか、系統はバラバラだけど、自分の好きなものを好きなように、感じたままにこれからも表現していきたいなぁ。
「桜が咲いているから見に行こう」
本当は君に会いたいっていうのが一番なのに、そんな口実をつけて好きな人を誘う女の子は可愛いなって思っちゃいます。