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京のど真ん中に、駄菓子屋があった!

アニメ映画に登場する「駄菓子屋」は、ある時代を語る上で欠かせない存在である。「となりのトトロ」や「火垂るの墓」、「クレヨンしんちゃん」などにも、駄菓子屋のシーンが登場人物たちの生活や心情を映し出す重要な舞台となって描かれている。そういえば、お兄ちゃんやお姉ちゃんと行った駄菓子屋の淡い思い出があった。忙しい日々の中で忘れがちだったが、ある記事に巡り合い、最近になって駄菓子屋という存在を再評価している。

女流作家の草分け的存在、旧5000円札の肖像画だった、明治の女流作家、樋口一葉は、駄菓子屋モデルを作った人といっても過言ではない。歴史に残る小説を世に出した文人は、「たけくらべ」に駄菓子屋をデビューさせ、自らも駄菓子屋ビジネスを切り回した先人だ。大好きな樋口一葉が5000円札から去ったことにわだかまりを感じていたが、樋口一葉と駄菓子屋の関りを知って、天才ぶりを再認識している。

樋口一葉のたけくらべに登場する、駄菓子屋「筆や」

明治時代を代表する作家である樋口一葉は、明治26年(1893年)に台東区龍泉寺町で日用雑貨を取り扱う商売を始めた。当時の仕入帳が残されており、そこには蚊遣り香、もぐさ、団扇、裁縫具のほか、菓子類、玩具類、豆類、煎餅、紅白四色金平糖、人形類などが記入されている。特に毎日のように「菓子」の記載があり、日用雑貨よりも子ども向けのお菓子がよく売れていたことが分かる。また、この経験は一葉の代表作たけくらべ』に登場する駄菓子屋「筆や」のモデルとなったともいわれている。

外国人の人だかり、かわいい駄菓子屋を発見

行き来する車を避けて歩く道に、外国人観光客が出入りする店は、昔なつかしい駄菓子屋だった。京都のど真ん中に堂々と店を構えている。そのあたりに小学校があるかどうかは定かではないが、かつてと違って顧客は子供時代をなつかしむ人たちや観光客、そして海外からのツーリストだった。うれしいことにその店の構えは、アニメや映画に登場する伝統的な駄菓子屋の風情を現わしていた。

ところ狭しと並ぶ、昔なつかしいお菓子たち

新旧のお菓子が並ぶ。けれど主役はなつかしいお菓子だった。
撮影:kyotoK

ショーウィンドーのようなお菓子軍団。奥までショーケースがずらりと続く

かわいいお菓子に見とれて、どんどん奥に吸い込まれていく
撮影:kyotoK

お面集団も、伝統的お面から、ピカチュウやハチワレ猫ちゃんまでがオンパレード

伝統的なキツネのお面。人気のアンパンマンやマリオ、ドラえもんも勢ぞろい
撮影:kyotoK

駄菓子屋の「船はし屋」さんのご案内

商品は商品のQRコードにアクセスして、スマホで英語や中国語の翻訳をしたり、
原材料を確認する外国人や観光客も少なくない、とお店の奥さん。21世紀の駄菓子屋の新風景だ。
撮影:kyotoK

「船はし屋」近くの地図

京都の中心、四条通を寺町に東へ約数分の立地にある「船はし屋」

「わらりひょん」さんの記事で、駄菓子屋愛に目覚めた

ふひとさんの短編小説に、駄菓子屋の厳しい現実を学んだ

子供に夢や楽しみを与えると思っていた駄菓子屋。こうして、いろいろな方々の創作のおかげで、駄菓子屋のある存在感に気づき、これはもはや単なる子供相手の商売に留まらないと思うに至った。そしていつしか、駄菓子屋という文化遺産を掘り下げて書いてみたいという意欲をもつようになった。
いつになるかは未定だけれど、この続きを書いてみようと考えている。

フロント・イメージPhoto/撮影:kyotoK

付録


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kyotoK
noteの2年目はチャンレンジングな創作にもアプローチしたいです。応援いただいたチップで取材をしたり、作品づくりに活用させていただきます!